CO₂ネット・ゼロ実現に向けた技術

スマートエネルギーネットワーク

環境への負荷を抑えた持続可能な社会を築いていくために、エネルギー利用には常に進化が求められています。東京ガスがご提案する「スマートエネルギーネットワーク」。それは、再生可能エネルギーとガスコージェネレーションを組み合わせ、これを デジタル技術により最適に制御し、電気と熱を面的に利用して省エネルギーとCO2削減を実現するシステムです。

ガスコージェネレーションを核としたエネルギーセンターにて、電気と熱を作り出し、エネルギーネットワークで繋がったビルや工場などの複数お客さまに、経済性と環境性に優れたエネルギーを供給します。

太陽光発電や風力発電などによって得られた再生可能エネルギーも最大限活用しながら、ネットワーク内のエネルギーの需要をAI技術も活用しながら高精度に予測し、機器を効果的に制御することでエネルギー利用の最適化を実現します。また、ガスコージェネレーションに備わった高い防災機能を活用いただくことで、停電時にも電気の利用などが可能となり、レジリエンスの向上にも寄与します。

お客さまのエネルギー利用とご要望にあわせて、常に新しい技術を適用していくことにより、スマートエネルギーネットワークを進化させ続けています。

最新の事例についてはこちらをご覧ください。

スマートエネルギーネットワークのイメージスマートエネルギーネットワークのイメージ

水素ステーションの技術開発

水素は様々な資源/エネルギーから取り出すことが可能で、利用時にはCO2が発生せず、燃料電池を用いる電力との相互変換が容易である等の特徴から、脱炭素化やエネルギーの多様化に資する分野として注目されています。

目的

東京ガスでは、エネルギー利用における脱炭素化の実現に向けて、水素の製造や利用に関する技術開発を行ってきました。水素ステーションの取り組みもその一つであり、技術開発および建設・運営を通じて、燃料電池自動車(以下FCV)の普及と水素供給基盤の確立に貢献しています。

2019年に開所した豊洲水素ステーション2019年に開所した豊洲水素ステーション

国や他社と連携した取り組み

東京ガスは、2002年から経済産業省やNEDOのプロジェクトに参画し、水素ステーションの技術開発・実証を行ってきました。この中で当社は、水素ステーション内において都市ガスを用いて水素を製造し、FCVへの充填までをワンストップで行う「オンサイト方式水素ステーション」の技術検証や、高圧70MPaでの水素充填データの取得による国際充填規格の策定等に貢献してきました。
また、水素ステーション整備の加速を目的としたインフラ事業者、自動車会社、金融投資家等の連携による世界初の取り組みである「日本水素ステーションネットワーク合同会社(JHyM)」に2018年の設立時より参画しており、持続可能な水素社会の実現に向けて、今後も他社との連携を通じた取り組みを続けていきます。

最新技術を集約した豊洲水素ステーション

2014年にFCV・水素ステーションは商用フェーズへ移行し、当社は練馬/千住/浦和の3箇所の水素ステーションを整備・運営するとともに運用等に関する技術開発を継続してきました。ここで得た技術知見を活用し、当社は2019年12月に日本初となる燃料電池バス(以下FCバス)の大規模受入が可能なオンサイト方式の水素ステーションを豊洲地区に整備しました。本ステーションは、東京湾岸エリアの公共交通を支えるインフラとして水素の安定供給と脱炭素化を志向し、最新の技術・知見を導入しています。
主要設備を2系統とすることで、水素充填能力と供給安定性を高めています。FCバスとFCVの同時充填や、機器メンテナンス時にも運営を継続できるBCP対応の機器構成など、柔軟なシステムを構築しました。さらに、国内商用水素ST初となるダイヤフラム式圧縮機および最新の鋼製蓄圧器を採用することで、高耐久でメンテナンス頻度の少ない効率的な運用を実現しています。
また、他の水素ステーションに先駆けて脱炭素化にも取り組み、製造する水素はカーボンニュートラル都市ガス*1を原料としています。また、電力についても全量をグリーン電力(100%再生可能エネルギー由来)とすることでCO2フリー水素の供給を目指した水素ステーションとしました。

主要設備の2系統化主要設備の2系統化

豊洲水素ステーションは、2019年の開所以来、既存の水素ステーションをはるかに上回る高稼働を実現し、東京都交通局のFCバスを中心とする湾岸部のクリーンな公共交通機関の実現に貢献しています。今後も革新的な水素ステーションとしての地位確立を目指すとともに、機器や運用技術等の知見を獲得し、脱炭素化に向けた本格的な水素の利用拡大に向けて取り組みを進めていきます。

同時充填を活用したFCバスの高稼働受入同時充填を活用したFCバスの高稼働受入

*1 当社がShellグループからLNGを調達する際、天然ガスの採掘から燃焼に至るまでの工程で発生するCO2と、Shellが保有するCO2クレジットを相殺する(カーボン・オフセット)ことにより、地球規模ではこの天然ガスを燃焼させてもCO2が発生していないとみなされる都市ガス。

高効率燃料電池発電システムの開発

最新鋭火力発電所を凌駕する発電効率を、お客さま先に設置できる規模で実現する固体酸化物形燃料電池(SOFC)システムの実用化開発を進めています。この発電効率を高める技術は東京ガスの研究所で開発され、原理実証試験も当社の研究所で行われました。

現在はシステムメーカーとの協力体制のもと、フィールドテスト機を製作・運転する実証フェーズに進んでいます。このシステムの商品化と利用サービスの提供を通じて、業務・産業用のお客さまの省エネルギー・CO2排出量の削減に貢献します。また、脱炭素化技術のイノベーションを推進して、CO2ネット・ゼロの実現を目指していきます。

2019年12月より東京ガス千住テクノステーションにて実証試験を行い、発電出力5kW/AC発電効率65%の性能を確認済みです。また、2020年7月から、豊洲にあるガスの科学館(がすてなーに)および田町スマートエネルギーセンターにてフィールド実証を開始しました。

高効率発電の仕組み高効率発電の仕組み

原理試作機(東京ガスの横浜研究所で原理実証)原理試作機(東京ガスの横浜研究所で原理実証)

豊洲・ガスの科学館実証機(2020年7月より運転開始)豊洲・ガスの科学館実証機(2020年7月より運転開始)

田町・スマエネセンター実証機(2020年7月より運転開始)田町・スマエネセンター実証機(2020年7月より運転開始)

CO2フリー水素の導入に向けて

二酸化炭素(CO2)の排出量を大幅に低減させた方法で製造された水素は「CO2フリー水素」と呼ばれています。CO2フリー水素は、太陽光や風力などの再生可能エネルギーと同様に、エネルギーの大幅なCO2削減を実現し、長期地球温暖化対策に貢献する技術として注目されています。さらに、水素は再生可能エネルギー電力を蓄電池で貯めるよりも、大量に長時間貯蔵することに優れており、燃料電池や直接燃焼することで電気や熱に変換することが可能です。当社では、効率的かつ大規模なCO2フリー水素の製造や利用等に関する技術を研究開発・俯瞰して、将来の水素社会の在り方について検討しています。

CO2フリー水素の製造方法

CO2フリー水素は主に以下の2つの方法で製造することが可能です。

1.再生可能エネルギーによる水素製造

海外に豊富にある、または国内で余剰となる太陽光や風力などの再生可能エネルギーから作られた電力を用いて水を電気分解して、水素を製造します。

再生可能エネルギーによる水素製造

2.化石燃料とCO2地中貯留からの水素製造

天然ガス等の化石燃料から水素を製造し、その際に発生するCO2を分離回収して地中貯留(Carbon Capture and Storage:CCS)することで、水素を製造します。

化石燃料とCO2地中貯留からの水素製造

CO2フリー水素の利用方法、チェーン技術の俯瞰

CO2フリー水素は火力発電、燃料電池発電、燃料電池自動車(FCV)で利用できます。CO2フリー水素と空気中の窒素から合成したアンモニアは直接燃料として火力発電、工業用バーナで利用できます。CO2フリー水素と発電所等から回収したCO2から合成したメタン(「カーボンニュートラルメタン」ともいう)は、ガス利用機器を含む既存の都市ガスインフラを有効活用できます。

CO2フリー水素チェーン技術の俯瞰

再生可能エネルギーによる水素製造コストの低減

当社では再生可能エネルギーによるCO2フリー水素の製造コスト低減に向け、燃料電池開発で培った技術・ノウハウを活用した、水電解装置の低コスト化開発に取り組んでおります。2030年における水素価格の政府目標である30円/m3-H2の達成に向け、2020年代半ばからの実証開始を目指しております。

水電解装置の低コスト化計画水電解装置の低コスト化計画

CCSの実現に向けた研究開発

当社は、地球環境産業技術研究機構(RITE)と共同で、CO2を微細化(マイクロバブル化)し、効率的にCO2を地中に貯留する技術を研究しています。この技術により、火力発電所等の排ガス中の大量のCO2を地中貯留することが可能となり、CCSのコスト低減につながります。

CO2のマイクロバブル化

マイクロバブルCO2発生用フィルタ

CO2ネット・ゼロ実現に向けた技術のその他取り組み

東京ガスでは上記のような技術開発のほかに、下記のような取り組みも行っております。

  • 環境性とレジリエンス性に優れたコージェネレーションシステムの開発
  • ビルや街・工場における電力と熱の需要予測技術の開発
  • エネルギーの高効率利用を実現するビルや街のエネルギーマネジメントシステムの開発
  • 快適な業務空間を提供するための経済性に優れた空調・温水サービスの開発
  • 飲食店厨房の使いやすさと安全性を向上させる環境シミュレーション技術開発
  • 工場での高効率なエネルギー利用を実現する燃焼技術を活用したエンジニアリング技術開発
  • 家庭用燃料電池エネファームの開発
  • 脱炭素に向けたシナリオプランニング
  • 太陽光発電の最適運用・発電量予測・耐久性評価
  • 風力発電の発電量予測・メンテナンスの合理化
  • 再生可能エネルギーの高度利用に向けた電力自己託送技術の開発
  • メタン発酵・バイオガス精製システムの開発
  • CO2回収・利用技術の開発
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