R&D
風力発電:AIによる風車配置最適化
取り組み背景
風力発電所の建設において、限られたエリアの中で最大限発電量が得られるように風況の良い場所を見出すと同時に、土地の造成や輸送経路に要するコストなどを考慮しながら、総合的に風車の配置計画を進めることが重要となっています。
これらの諸条件を考慮した上で、風車1基1基の配置場所の検討には経験豊富な設計者が必要となります。さらに建設条件の一部が変更となる度に配置の見直しを行うことは、設計者にとって大きな負担がかかります。
そこで考慮すべき条件をAIが参照して、風車の最適な配置を探索するツールを開発し、貴重な風力資源の有効活用と設計者の負担軽減と作業の効率化を図っています。
取り組み概要
風力発電所計画地の地理情報(道路情報、送電線からの距離等)と、風況シミュレーションにより求めた、詳細な風況情報に基づき、風車を設置する適正度を算出します。
さらに風車下流で発生するウエイクを考慮し、風車と風車の距離を離しながら、各風車の適正度の総和が最大化する「風車配置最適化ツール」を開発※しました。
本ツールを用いることで、人手による作業時間を90%以上削減し、10分程度で配置計画案の作成を可能としました。また山間部などの複雑な地形においては、従来の設計よりも多くの発電量を導き出すこと事例も存在しました。
さらに、本ツールは、複数の条件を同時に計算可能であり、風車の基数・風車容量(大きさ)・風車間の離隔距離などを変更した複数のシナリオにおいて最適配置計画を短時間で導くことが可能となっています。
これにより、設計段階でさまざまなリスクやシナリオを考慮した事業プランを計画することが可能となります。
※特許番号 第7559179号
目指す姿
当社が関わる国内外での風力発電所で得られる電力を最大化するとともに建設のコストや期間を削減して、事業性の向上を目指していきます。また、誰もが活用できるユーザーインターフェイスの整備を行い、自社での利用のみならず、パートナーとなる事業者様への提供を通じてカーボンニュートラル社会の実現に貢献していきます。