トップコミットメント

CO2ネット・ゼロに向けた企業変革を進めます

CO2ネット・ゼロにチャレンジします

新型コロナウイルスにより世界は未曽有の衝撃を受け、当たり前であった安心・安全さえ脅かされています。このような中、当社はエネルギー事業者として「決してエネルギーを止めてはならない」との使命感のもと、ガス・電気の安定供給に万全を期してまいりました。その結果、コロナ禍においても、お客さまに安心・安全をご提供できていると自負しています。
一方、コロナに翻弄されながらも、世界は着実に持続可能な社会に向けて歩みを進めています。特に脱炭素の流れは加速化しており、我が国においても2020年10月の菅総理のカーボンニュートラル宣言以降、あらゆる分野において脱炭素への取り組みが始まっています。この流れは、経済・社会を大きく変える、まさにパラダイムシフトといってもよいでしょう。
当社は2019年11月に発表した経営ビジョン「Compass2030」において、「CO2ネット・ゼロをリード」を経営課題の一つに掲げ、チャレンジをスタートさせています。

東京ガス株式会社代表執行役社長内田 高史

移行期はCO2のさらなる排出削減です

CO2ネット・ゼロに到達するまでにはいくつかのステージがあります。現在はトランジション期間(移行期)であり、CO2の排出削減に貢献することが求められています。脱炭素は一朝一夕に達成できるものではありません。そこに至るには、さまざまな分野でのイノベーションや大規模な投資が必要で、時間を要することになります。そのため、脱炭素に至る移行期にCO2の排出量を可能な限り削減し、大気中のCO2蓄積量を抑制することが必要です。そこで、当社では、2030年ごろまでをトランジション期間と位置付け、以下の取り組みを進めています。
その第一は、天然ガスの高度利用です。例えば都市再開発地域や工業団地でのエネルギー利用をスマートエネルギーネットワークの技術を用いて高度化する、各家庭では家庭用燃料電池エネファーム等の効率の良いガス機器を導入する、工業用燃料を重油や石炭等から天然ガスに変えていく。こうしたことに取り組むことで、CO2の排出量は大幅に削減できます。
第二はCO2の分離回収です。排出されたCO2を分離し回収して地中深くに埋めたり、再利用したりするCCS(Carbon dioxide Capture and Storage)やCCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)によって、CO2を直接大気放散することなく、実質的に減らすことができます。
第三は天然ガスの採掘から燃焼に至るまでの工程で発生する温室効果ガスを森林の再生支援等によるCO2削減分で相殺したLNG(液化天然ガス)、カーボンニュートラルLNG(CNL)の普及・拡大です。当社グループは3月に持続可能な社会の実現に向け、15社でカーボンニュートラルLNGバイヤーズアライアンスを設立しました。私たちが調達したCNLを供給し、各社がオフィスビルや工場等の燃料として利用する他、バイヤーズアライアンスに参加する各社が一丸となり、CNLの普及・拡大とその利用価値向上を目指します。

水素活用の技術開発をさらに強化します

都市ガスの究極の脱炭素化は、ガスを燃焼させてもCO2を排出しないことです。そこで注目されているのが水素です。水素は工業用燃料としても、発電用燃料としても、さらには輸送用燃料としても使えます。しかし、現状では製造価格が高いことや、製造時にCO2を排出してしまうことから、その利用は限られています。そこで当社は、太陽光等の再生可能エネルギーにより発電した電気を用いて水を電気分解することで水素を製造する装置を開発しています。これは、当社が永年培ってきた燃料電池の技術を応用することで実用化でき、電気分解の核となるセルスタックを安価に製造することで、水素価格を大幅に低減できます。再生可能エネルギーにより発電した電気が十分安価になることが前提になりますが、現在、2020年代の半ばには、2030年における政府目標の水素価格を実現すべく、(株)SCREENホールディングスとアライアンスを組んで開発に取り組んでいます。
また、水素とCO2を反応させて合成メタンを作る、メタネーション技術の開発も進めます。合成メタンは燃焼時にCO2を排出しますが、製造時にCO2を取り入れていますから、カーボンリサイクルが成り立ち、CO2ネット・ゼロとなります。
LNGの主成分はメタンです。したがって、海外の安い再生可能エネルギー電源を用いて作られた合成メタンは、LNG液化設備、出荷設備、LNGタンカー、受入設備、パイプライン等、既存の設備を用いて供給することができます。脱炭素には莫大な投資が必要といわれていますが、都市ガスを合成メタンに置き換えることにより、経済的に脱炭素を達成できるのです。
これら、水素やメタネーションの技術開発を加速するため、本年4月に「水素・カーボンマネジメント技術戦略部」を設置しました。

再生可能エネルギーを拡大しています

以上に加え、再生可能エネルギー電源も拡充しています。当社は電力事業者として、発電効率の高い天然ガスコンバインドサイクルの発電所を所有していますが、ビジョンにおいては、再生可能エネルギー電源を国内外合わせて500万kWに拡大することを掲げています。昨年は米国テキサス州で開発を進めている最大出力63万kWの「アクティナ太陽光発電事業」を単独で取得しました。建設から運転開始後の運営管理までを当社グループ主導で手掛けます。国内では富山県高岡市と千葉県市原市のバイオマス発電事業を取得しました。これらにより、当社グループの再生可能エネルギー電源取扱量は、約140万kWとなります。
今後は、洋上風力発電も推進していきます。中でも、浮体式の洋上風力発電に注力します。これは、遠浅の海域が少ない日本国内において、浮体式は水深の深い場所でも設置可能であるためポテンシャルが大きいと見込まれているためです。昨年、米国プリンシプル・パワー社へ出資し、技術獲得を開始しました。今後は同社の技術を活用し、国内外の海域において浮体式洋上風力発電事業を開発していきます。

さらにESG経営を推進します

脱炭素に向けた取り組みは、経営ビジョン「Compass2030」における「3つの挑戦」、すなわち「CO2ネット・ゼロをリード」「価値共創のエコシステム構築」「LNGバリューチェーンの変革」の一つであるとともに、ESG経営の柱の一つです。CO2ネット・ゼロの加速は、環境【E】だけでなく、レジリエンス向上等の社会課題の解決、社会【S】にもつながる重点分野です。また「価値共創のエコシステム構築」はステークホルダーの皆さまと共に社会的価値を創造していく取り組みでもあります。さらにガバナンス【G】の観点では、不確実な環境においてもグループの成長を実現するために、グループフォーメーション改革を実行します。これによって「LNGバリューチェーンの変革」を実効あるものとし、東京ガスグループの着実な成長を確かなものとしてまいります。

東京ガス株式会社代表執行役社長内田 高史

具体的には、LNGの受け入れから輸送、販売に至る各機能を全てプロフィットセンターと位置付け、また、エンジニアリング事業や不動産事業等もより成長を促すとともに、執行への委任範囲の大幅な拡大と迅速な意思決定、取締役会における監督機能の強化を図ることとしました。すなわち、ホールディングス型グループ体制の構築と指名委員会等設置会社への移行です。
指名委員会等設置会社への移行は、経営の緊張感を高めると同時に、海外の投資家の皆さまにとっては分かりやすいガバナンスシステムとなると考えています。

東京ガスグループは、135年間の歴史の中で、LNGの導入と国内外における天然ガスの普及・拡大を通じ、暮らしを支えるエネルギーの安定供給、公害問題や気候変動への対応等、さまざまな社会課題に向き合ってきました。私たちは、「事業活動を通じた社会課題の解決によって社会価値および財務価値を創出し、永続的な企業経営を行うことで、持続可能な社会の実現に貢献していく」ことをサステナビリティ推進の考え方としており、経営ビジョン「Compass2030」の実現を通じてSDGsの達成に幅広く貢献していくとともに、幅広いステークホルダーに多様な価値を創出・提供していきます。

新しい公益事業を目指します

私は、経営ビジョン「Compass2030」において、「3つの挑戦」を共に担う今と未来の仲間に向けて、「3つの約束」をしました。「社会に大きなインパクトを与える仕事を生み出す」「多様性がぶつかり合い切磋琢磨する場を作る」「一人ひとりの自己実現にこだわる」の3つです。この約束を果たすことで、ビジョンは着実に実行に移されていくと考えます。
東京ガスグループはまさに変革期を迎えています。変革期を乗り越え、新たな未来を切り拓いていくのはグループ員一人ひとりです。多様性を重視しながら、個人の飛躍を後押しし、活き活きと社会に貢献し続ける企業グループにしていきたいと思います。そのために、企業理念の再構築にも取り組みます。東京ガスは創立者である渋沢栄一の「論語と算盤」を大切にしながら、新しい公益事業を目指して飛躍を遂げてまいります。
当社は他社に先駆けてCO2ネット・ゼロを宣言し、脱炭素に向けた取り組みに着手しました。今後とも地球の未来、エネルギーの未来に貢献し、会社の持続的な成長を確実なものとしてまいります。ステークホルダーの皆さまには、未来の東京ガスグループにご期待いただき、末永くご支援賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

東京ガス株式会社
代表執行役社長
内田 高史

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