R&D
水電解用CCM(商品名:PEXEM®)
水電解用CCMとは?
水電解とは、電気を利用して水を水素と酸素に分解する技術です。
水電解装置は水素を製造するための装置であり、再生可能エネルギー(再エネ)由来の電力で製造された水素をグリーン水素と呼びます。
触媒層付き電解質膜(以下、「CCM」)は水電解装置の心臓部にあたる最も重要な部品です。
水素の製造方法の種類について
水素は製造方法によって色分けされ、環境負荷が異なります。
グレー水素とは、石炭や天然ガスなどの化石燃料を原料として作られる水素のことで、製造過程でCO2が排出されます。
ブルー水素は、グレー水素と同じく化石燃料から作られますが、製造時に発生するCO2を回収・貯留・利用することで、大気中へのCO2排出を抑えた水素のことです。
これらに対して、グリーン水素は、太陽光や風力など再生可能エネルギー由来の電気で水を電気分解して製造するため、製造過程でCO2を一切排出しない、極めて環境負荷の少ない水素です。
取り組みの背景
2050年までに世界全体でネット・ゼロを実現するためには、膨大な量のグリーン水素製造が必要不可欠です。
グリーン水素は直接利用するだけでなく、CO2と化学反応させることで都市ガスの主成分であるメタンを合成することもできます。
このようにして製造されたメタンはe-methaneと呼ばれ、カーボンニュートラルなエネルギーとして注目されています。
目指す姿
グリーン水素の普及には、大幅なコストダウンが必須です。
NEDO※は水電解システムコストを現状の40万円/kWから、2040年頃には5.7万円/kWまで低減させる目標を策定しました。
この目標達成には、システムの中核をなす水電解装置自体のコスト削減が必要不可欠です。
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※NEDO:国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構
取り組み詳細
東京ガスは株式会社SCREENホールディングス(以下、「SCREEN」)と共に、水電解用CCM(商品名「PEXEM®」(呼称:ペクセム))の共同開発を行っています。
東京ガスのエネファームで培った触媒・評価技術と、SCREENの世界シェアNo.1を誇るディスプレー用塗布現像装置で培った塗布・乾燥技術とノウハウを融合させ、水電解用CCMを低廉に製造する体制を整えました。
水電解用CCMは電解質膜と電極で構成されており、電極にはイリジウムや白金などの非常に高価で希少な貴金属が触媒として使われています。
東京ガスは、エネファームで培った触媒少量化技術により、欧州の2030年における貴金属使用量目標の3分の1まで削減することに成功しました。
東京ガス独自の触媒技術を究め込むことで、さらなる貴金属使用量の削減に取り組むとともに、特に高価なイリジウムを使わない代替触媒の開発にも挑戦しています。
なぜ東京ガスが水電解用CCMの技術開発に取り組むの?
東京ガスは、水素と酸素を化学反応させて発電する「家庭用燃料電池エネファーム」の開発の歴史と知見があります。
水から水素と酸素を取り出す水電解は燃料電池の逆反応が進行することから類似点も多く、燃料電池開発で培った技術を活用することができます。
一方で作動条件が異なるため、燃料電池で使用していた触媒や構成材料をそのまま使用することはできず、コストダウンを実現する新たな技術開発が必要です。
その取り組みの一つが、高価で希少な貴金属使用量の削減です。
働く人の声
■担当している業務
PEXEM®の商品化に向けた技術開発
■どのような仕事ですか?
お客さまニーズに合わせてPEXEM®を改良し、お客さまに心から満足いただける商品に仕上げることが私のミッションです。世界に通用する商品として社会に貢献できるレベルまで品質を高めることを目指しています。そのためにこれまで培ってきた技術やノウハウの深化に加え、世界の技術者との対話を通じて最新技術の調査・導入も進めています。カーボンニュートラル実現という大きな目標に技術の力で貢献し、最先端の現場で挑戦できることに大きなやりがいと誇りを感じています。技術者の使命として必ず低コストなグリーン水素製造を成し遂げたいです。
■所属グループでの働き方は?
多様なバックグラウンドを持つメンバー同士、そしてパートナーのSCREENとも、専門性や企業の垣根を越えて活発な議論を重ねています。お互いに刺激を受け、共に成長しながらPEXEM®の改良に励んでいます。
グリーントランスフォーメーションカンパニー
水素・カーボンマネジメント技術戦略部
水電解事業化推進グループ
T.M.