グリーン水素社会実現に向けたPEM形水電解用CCMの取り組み
PEM形水電解用CCMの「大型」「高圧力対応」「低コスト」「高耐久性」「安定供給」を同時に実現
PEM:プロトン交換膜(Proton Exchange Membrane)
CCM:触媒層付き電解質膜(Catalyst Coated Membrane)
東京ガス株式会社は株式会社SCREENホールディングスと、PEM形水電解用セルスタックの性能、コスト、耐久性能を左右する重要構成部品の水電解用触媒層付き電解質膜(以下「CCM」)について、大型・高速量産化技術を確立しました。
両社は、2021年5月より、SCREENの「ロールtoロール方式」を活用したグリーン水素製造用水電解装置の中核部品である低コストCCMの高速生産技術開発に取り組んできました。
本開発における最大の課題は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援により開発された燃料電池用CCM製造向けの触媒塗工技術を水電解用CCMへ転用するにあたり、電極にクラックや触媒の凝集等が生じてしまうことでした。製造プロセスおよび触媒インク配合を水電解用に最適化することで、その課題を解決しました。これにより、大面積の水電解用CCMの製作に成功し、量産化技術を確立しました。
今後、更なるサイズ拡大に向けた技術開発を加速し、水電解システム・スタックメーカー様の需要帯である大型(5,000 cm2)サイズ、高圧力対応(4 MPaG)の水電解用CCMの量産設備を早期に構築し、2025年度量産開始を目指してまいります。
特長
東京ガス「燃料電池・触媒」技術とSCREEN「高速連続生産技術」が融合
東京ガスのエネファーム(燃料電池)で培った燃料電池・触媒・評価技術とSCREENの世界シェアNo.1を誇るディスプレー用塗布現像装置で培った塗布・乾燥技術とノウハウを活用し、従来は実現困難とされていた、電解質膜に高速連続で電極触媒を直接塗工・乾燥する技術開発に成功しました。
大型・高圧力対応
2023年3月に電極面積800 cm2超サイズの水電解用CCMの製作に成功。量産技術も確立しました。今後、さらなるサイズ拡大に向けた技術開発を加速し、水電解システム・スタックメーカー様の需要帯である5,000 cm2サイズ水電解用CCMの量産開始を2025年内に目指します。また、4 MPaGでの運転が可能な高圧力対応のCCM開発を進めています。
量産体制
SCREEN彦根事業所に最新の量産設備を建設中
大型CCMの商用高速連続生産設備を建設中で、2025年度内の量産開始を目指しています。
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この成果は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業の結果得られたものを含みます。