森の生き物図鑑
東京ガスの森ではこれまでに、植物351種(植物相調査2018)、哺乳類17・鳥類75(生物相モニタリング2018)、合計447種の生き物の生息を確認しました。
本ページでは東京ガスの森に暮らす動物や鳥、木々などたくさんの生き物たちを、写真とともに紹介します。
生き物の痕跡
キツネの痕跡

キツネはイヌ科で、同じ仲間のイヌやタヌキとの足跡の区別が難しいです。
タヌキの足跡はキツネよりもひとまわり小さく、縦横比をキツネと比較すると、少し横長です。キツネはまっすぐに歩くことが多く、タヌキは蛇行しながら歩くことが 多いのも特徴です。
では、イヌとキツネとの違いとはといいますと、同じ体の大きさでもイヌの方が足跡は大きくなるようです。
しかし、イヌと言っても品種は様々。そんな時チェックするのが、人間の足跡です。散歩のイヌだと人の足跡もついているはずです。
雪上に残されたキツネの足跡
キツネのふん
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ニホンジカの痕跡

偶蹄目という分類の通り、爪が変形した二つの蹄(ひづめ)が発達し、その後の少し高い位置に、あまり発達していない二つの蹄(副蹄)があります。
土の上では大きな二つの蹄だけがつくことが多く、深い雪の中などでは蹄と副蹄の両方が残ることもあります。
足跡の細くとがり気味の方が前なので、どちらに移動しているかがわかります。
東京ガスの森では、あちらこちらにシカの痕跡が見られますが、見晴らし展望コースでは、道沿いにオスジ力が角こすりをした木々を見ることができます。
角こすりをした跡
ニホンジカのふん
ニホンジカのぬた場
関連項目
イノシシの痕跡

イノシシの足跡はシカの足跡とよく似ています。
二つの蹄の後ろにちょん、ちょんと副師がつくのが特徴といえますが、シカも副蹄がつく場合もあります。
イノシシの副譜は、シ力の場合よりも少し外側に開いた感じでつくようです。イノシシはぬかるんだ場所で、土に体をなすりつける“ぬた場“を作ります。
ダニなどの寄生虫落とし、体温調節(汗腺がないと言われています)、コミュニケーションの場として、ぬた場を利用しているようです。
雪上に残されたイノシシの足跡
イノシシのぬた場
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ノウサギの痕跡

センサーカメラの写真からもわかるように、移動している時には、後足が前足よりも前につきます。
ノウサギの前足は、イヌなどと同じように指だけが地面につきます(指行性)が、後足は人間のようにかかとまで地面につきます(蹠行性)。
雪上のノウサギの足跡をたどってみると、時々、後戻りしてピョンと横にジャンプして、また後戻りするといったような跡があります。
これは“止め足”といって、キツネなどの捕食者を惑わすための技なのです。
ノウサギとキツネの足跡を同じ場所で見ることも度々ありますが、そこでは生死をかけたドラマが展開されているのです。
ノウサギのふん
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テンの痕跡

テンは直径1cm程のフンを石の上や倒木の上など、目上立ったところにします。
彼らにとって“フン”は、単なる排泄物ではありません。目立つところにするのは、自分の縄張りをアピールするためでもあります。
もしかすると、オスはメスのフンの臭いをかいで、メスの発情を知ったりするのかもしれません。
フンを木の棒などで崩してみると、何を食べているか知ることができます。
ノネズミの下あごの骨がまるごと出てきたり、1mmにも満たないノイチゴの種がたくさん出てきたり。
フンは彼らの生活を知る上で、とても重要なものなのです。
テンのふん
関連項目
オオルリの巣

この左の写真は、一見何も写っていないようですが、中央のあたりをよく見ると、鳥の巣があることがわかるでしょうか。
これは、オオルリという鳥の巣です。オオルリは、山地の渓流近くの岩場などにたくさんのコケを盛り上げて巣を作ります。
この巣は、観察路を歩いていたら、たまたま親鳥がこの場所から飛び出した瞬間を目にしたので、見つけることができました。中をのぞくと、ヒナが5羽、親鳥が帰ってくるのを待ってじっとしています。子育ての邪魔にならないよう、すぐに立ち去ることにしました。
オオルリの巣
コバルトブルーの羽が美しいオオルリのオス
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ヒガラの巣

左の写真を見てください。シラカバの木の幹に、小さな穴が開いているのが、わかるでしょうか?
私たち人間にとっては、何の変哲もないただの木の穴なのですが、この森に住む小鳥たちには、とても大切なものです。なぜなら、子育てをする巣として利用するための、大事な場所だからです。
この穴の中で子育てをしていたのは、ヒガラというカラ類の仲間の鳥でした(右の写真)。
ちょうどヒナがかえっていたのでしょうか。くちばしには餌をくわえていました。頑丈な木の穴の中なら、他の動物たちにヒナを襲われる心配もなく、安全です。
ヒナへ餌を運んできたヒガラの親
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ヤマドリが飛び立った跡

冬、雪が積もった森の中を歩くのは、楽しいことです。それは、雪の上にたくさんの動物たちの足跡などを観察できるからです。
この前、そんな痕跡を探していたら、ちょっと不思議な痕跡を見つけました(左の写真)。
まるで何か長い枝のようなものが落ちてできたようにも見えますが、じつはこれ、ヤマドリという尾のとても長い鳥(右の写真)が、飛び立つ瞬間に、その長い尾羽を雪の表面に打ち付けてできた痕跡だったのです。
これはよっぽど驚いて急に飛び上がったのでしょう。普段はなかなか見ることのできない貴重な痕跡です。
尾がとても長いヤマドリのオス
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猛禽類に食べられたヤマドリの羽

この森には、ヤマドリという尾のとても長い鳥が暮らしています。神経質な鳥なので、姿を見ることは少ないのですが、この森では何羽も確認されています。
あるとき、観察路でこのヤマドリの立派な尾羽が何枚も落ちていました。まわりには翼や体の羽など、ほとんど全身の羽も散らばっていたのです。どうやらオオタカなどの猛禽類に捕まって餌として食べられてしまったようでした。
ヤマドリにはかわいそうですが、猛禽類たちも餌を食べなければ生きていくことはできません。森の生き物たちはお互いにつながりあって生きているのですね。そんなことを感じさせられました。
猛禽類に食べられたヤマドリの羽
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クマがアリを食べた食痕

ちょうど夏の頃、森を歩いていると、この左の写真のように、地面に置いてある丸太がぼろぼろに崩された跡があちこちで見つかりました。これは、ツキノワグマが木の中にあるアリの巣を壊して、幼虫や卵を食べた跡なのです。
この写真をよく見ると、丸太の表面にクマの爪あとがついているのがわかるでしょうか?
ツキノワグマは雑食性で、普段は木の実や草の茎などを食べて暮らしていますが、この頃は、秋の実りの直前で、あまり食べものがありません。この時期は、アリの巣にはたくさんの卵や幼虫が孵っているので、クマたちにとって、大変なごちそうなのです。
自動撮影カメラで撮られたツキノワグマ
関連項目
ニホンイタチの痕跡

イタチは、オスもメスも「なわばり」を持ちます。
オスのなわばりは、複数のメスのなわばりと重なります。その「なわばり」の主張に役立っているのが、「フン」です。なわばりをアピールするために、石の上や橋の上など目立つ物の上にすることが多いようです。
実は、イタチのオスとテンのメスでは、同じくらいの大きさのため、同じくらいの大きさのフンをします。ですから、厳密にはフンの大きさだけではイタチかテンか区別できません。
最近の研究では、フンの中に含まれるDNAの分析によって、落とし主の種類が特定できるようになってきました。