森の生き物図鑑
東京ガスの森ではこれまでに、植物351種(植物相調査2018)、哺乳類17・鳥類75(生物相モニタリング2018)、合計447種の生き物の生息を確認しました。
本ページでは東京ガスの森に暮らす動物や鳥、木々などたくさんの生き物たちを、写真とともに紹介します。
哺乳類
ツキノワグマ
分類:食肉目 クマ科 Ursus thibetanus

胸の白い三日月模様から、ツキノワグマと呼ばれるようになりましたが、個体差が大きく、三日月が全くないものもいます。
雑食性ですが、植物中心の食生活です。春は山菜や若芽、初夏はサクランボ、ノイチゴなどの果実、夏はアリやハチなどの昆虫類などを食べています。
秋にはドングリやクリを十分に食べ、脂肪をつけて、餌のない冬に備えます。ツキノワグマが生きていける環境の下では、多くの生き物も生きていけるという意味で、クマはアンブレラ(傘)種だといわれることもあります。
センサーカメラで撮影されたツキノワグマ
木の上にできたクマ棚
関連項目
ニホンジカ
分類:偶蹄目 シカ科 Cervus nippon

「奥山に 紅葉踏みわけ 鳴く鹿の 声きく時ぞ 秋は悲しき」百人一首の歌です。
シカは、東京ガスの森で、最も痕跡の多い動物です。特に秋の交尾期には、オスがメスにアピールするためにつけた角とぎ跡(木の幹)や土に尿をした後にその土の上でごろん、ごろんと転がった跡が見られます。
また、運が良ければ、「フィーヨ、フィーヨ」と、オスがメスに向かって鳴く声も聞こえるでしょう。風情のあるシカですが、数十年前に比べると増えてきており、農作物被害など様々な問題も起こっています。
センサーカメラで撮影されたニホンジカ
関連項目
イノシシ
分類:偶蹄目 イノシシ科 Sus scrofa

時にはツキノワグマをしのぐ体重(オスは最大150kg)にもなるイノシシですが、生まれたては何と500g。平均4、5頭ですが、多い時で10頭も生まれることもあるウリポウ。
しかし、生き残るのはほんのわずかです。平均寿命は1歳以下だといわれています。
たまに子どもを連れたイノシシを見かけますが、母親とその娘、そしてその子どもたちといったように、母親中心の群れをつくることもあります。
雑食性で、地表性のミミズや昆虫類、根っこ類が大好きです。
センターカメラで撮影されたイノシシ
関連項目
キツネ
分類:食肉目 イヌ科 Vulpes vulpes

日本では、ホンドギツネとキタキツネの亜種に分けられますが、世界的にはアカギツネと呼ばれる種類で、北アメリカからユーラシアと広く分布している動物です。
同じイヌの仲間のタヌキに比べ脚が長く、ふさふさの長い尻尾が特徴的です。
雑食性で、ネズミやノウサギを狩ることもありますし、果実類や昆虫類なども食べます。
みなさんご存知のコックリさん。漢字では狐狗狸(コックリ)(キツネ・イヌ・タヌキ)と書くようで、ひょっとし てイヌ科を司る神様かと密かに思っています。
センサーカメラで撮影されたキツネ
関連項目
タヌキ
分類:食肉目 イヌ科 Nyctereutes procyonoides

日本人にとってなじみ深い動物ですが、世界的にみると本来の分布は東アジアに限られています。
また一夫一妻という哺乳類では珍しい繁殖方法をとっています。哺乳類ではメスにお乳があるため、基本的には父親なしで子育てできるものが多いのですが、タヌキのオスは子どもを守ったり、なめたり、暖めたりと、甲斐甲斐しく世話をします。
雑食性ですが、キツネのようにネズミなどの小動物を狩ることは不得意なようで、地表性の昆虫類やミミズ、果実等をおもに食べています。
センサーカメラで撮影されたタヌキ
テン
分類:食肉目 イタチ科 Mustela itatsi

夏は褐色の体に、黒い頭と手足ですが、冬には、体は美しい黄色に、頭は白に変わります。
昔は、冬の毛皮は高級毛皮として取引されていました。
森林性が強く、東京周辺には少なくなりましたが、この東京ガスの森では、安定して生息しているようです。
雑食性で、小型の動物から果実類まで多様なものを食べています。
雪の中にノネズミが作った穴や道をチェックしている、雪上のテンの足跡を見ることもあります。
センサーカメラで撮影されたテン
関連項目
アナグマ
分類:食肉目 イタチ科 Meles anakuma

あまりなじみのない動物に思われるかもしれませんが、もともと日本にいる動物です。
昔からタヌキと混同されており、地域によっては、ムジナ、ササクマなどとも呼ばれています。
シャベルのような手で穴を掘り、トンネルを作ってその中に住んでいます。
この穴は、アナグマたちにとってはとても重要なもので、何世代にも渡って使うこともあります。
また、巣にはいくつものを入口と部屋があり、さながらアナグマアパートのような巣穴を作ることもあります。
センサーカメラで撮影されたアナグマ
ニホンリス
分類:齧歯目 イタチ科 Sciurus lis

日本にはもともと3種類のリスが生息しています。
ニホンリス、キタリス(エゾリス)、シマリスです。ニホンリスは、北海道を除く地域に分布していますが、近年減りつつあるようです。
冬の東京ガスの森に来たら、カラマツのてっぺんあたりに、枝でできた丸いかたまりを探してみてください。
リスの巣かもしれません。
この森では、松ぼっくり、くるみなどを食べているようです。
餌が少なくなる冬の前に、土の中に餌(種子)を貯食しますが、忘れん坊のリスのこと、忘れ去られた種は、春になると芽を出すこともしばしば。
それが成長して森をつくることにもなるのです。
リスの巣
ハクビシン
分類:食肉目 ジャコウネコ科 Paguma larvata

日本の動物ではなく、本来は東南アジア、中国南部に分布しています。
いつ日本に入ってきたかは、はっきりとはわかりませんが、ここ10年ほどで国内での分布域は広がり、農作物被害も出すようになってきました。
顔の真ん中に額から鼻まである白い線、これが名前(白鼻芯)の由来でもあり、この動物の特徴のひとつです。
木登りが上手で、木になっている果実や鳥類の卵など小動物を食べる雑食性です。タヌキやネコの子どもを食べることもあります。
胴長ですが、体重はあまり重くなく、4kgくらいです。
センサーカメラで撮影されたハクビシン
ノウサギ
分類:兎目 ウサギ科 Lepus brachyurus

ウサギを飼っている小学校も多いと思いますが、それはアナウサギ(カイウサギ)、いわゆるラビットです。
日本のノウサギは英語ではヘアー(hare)といい、アナウサギよりも耳は短め、後ろ足が大きく、すばらしいジャンプ力を持っています。
アナウサギのように巣穴を掘ることはなく、特別な巣は持ちません。植物の葉や芽、樹皮などを食べます。
冬の東京ガスの森では、たくさんの足跡を見ることができます。
普段なかなか見ることのできないノウサギですが、この足跡を見ると、森で息づく彼らの姿を想像できます。
センサーカメラで撮影されたノウサギ
関連項目
ニホンカモシカ
分類:偶蹄目 ウシ科 Capricornis crispus

カモシカは、低山から亜高山帯に分布する「ウシ」(名前にシカとつきますが)の仲間です。
大きなけものと思っている人も多いようですが、体重は40kg前後とオスのシカの半分ほど。カモシカの雌雄は外見上の区別がつきにくく、オスもメスも角があります。またこの角は一生生え変わりません。
基本的に単独性で「なわばり」を持ちます。
特別天然記念物に指定され、保護増殖がはかられてきましたが、場所によっては野菜などの食害があるということで、駆除の対象になっている地域もあります。
アカネズミ
分類:げっ歯目 ネズミ科 Apodemus speciosus

低地から高山帯まで広く分布する、一番身近な森のノネズミです。赤茶色の光沢のある美しい体色をしていま す。
「ネズミ算式に増える」と言いますが、このネズミは年2回の繁殖。1回の出産あたりの子どもの平均数は、春で3.3頭、秋で5.2頭だそうです。
このノネズミは、おもに土の中に巣穴を掘ります。雪が積もると、雪の中にトンネルを掘っていて、縦横無尽に走るトンネルを見ることもあります。
フクロウなどの猛禽類やキツネ、テンなどの貴重な餌資源となります。
コウモリ
分類:翼手目 Chriroptera

翼手目は、げっ歯目に次ぐ種数の多い哺乳類です。日本には、食虫性の小型のコウモリと果実食のオオコウモリ(2種)の33種が知られています。
食虫性のコウモリは、一晩に自分の体重の半分くらいの昆虫を食べます。近年、農薬の使用や農業形態の変化、森林伐採などのため昆虫や生息環境が減り、多くの種類が「希少種」となってしまいました。
東京ガスの森では、どんなコウモリがすんでいるのかまだわかっていません。自然度の指標としても、どんなコウモリがすんでいるか調べる必要があります。
ムササビ
分類:げっ歯目 リス科 Petaurista leucogenys

ムササビは、夜行性のリスの仲間です。木と木の間を、飛膜を広げて滑空する様は、まるで座布団が飛んでいるようです。
ムササビがすむには、巣として使える穴のある大木が必要です。そのため、ご神木などが残る社寺林にすんでいることもあります。
木の芽、花、葉、果実、種子などがおもな餌で、木の上で食べます。水分は食べる植物からとると言われていますので、ムササビが水辺に降りている左写真(自動撮影カメラにて撮影)は、とても貴重な一枚です。
人が付けた巣箱の利用も多く、民家の天井裏に入りこんで子育てすることも度々です。
ニホンイタチ
分類:食肉目 イタチ科 Mustela itatsi

ニホンイタチは、オス400-500g、メス150-200gとオスがメスの2倍ほどの大きさです。田んぼや川などの水辺近くで生活することが多く、ネズミ、ザリガニ、昆虫などを食べます。
今回、はじめてイタチの後ろ姿が写真に写りました。東京ガスの森の中でも、水辺の近くの石の上などで糞を見つけることがあります。この糞はただの排泄物ではなく、自分の「なわばり」も主張しています。
西日本では、外来種のシベリアイタチ(ニホンイタチよりも大型)が野生化し、ニホンイタチは山間部に追いやられています。
森でみつかったイタチのフン