東京ガスグループトピックス
東京ガス山梨が都市ガス供給エリアを拡張!食品工業団地等に供給開始
2025年8月26日
東京ガス山梨は、山梨県甲府市南部付近にて一級河川を越える供給エリア拡張を行いました。これまで、東京ガス山梨の供給エリアは2つの一級河川に挟まれた限定的な範囲でしたが、今回の拡張により、まちづくりやカーボンニュートラル社会への貢献、レジリエンス向上が期待されます。供給エリア拡張の背景や今後の展望についてご紹介します!
東京ガス山梨とは?
東京ガス山梨は、東京ガス甲府支社ならびに東京ガスカスタマーサービス甲府事業所、地元LPガス会社である昭和物産が、2009年に統合して誕生した東京ガスのグループ企業です。甲府盆地中心部では都市ガスを、それ以外の地域ではLPガスを供給しており、山梨県内全域にガスをお届けするとともに、電力販売も行う地域に根差した総合エネルギー企業です。
河川を横断した拡張!「エネルギーレジリエンス」がきっかけに
東京ガス山梨の供給エリア図(赤丸:2025年工事の橋梁 黄丸:2022年工事済の橋梁)
2025年6月、東京ガス山梨は甲府市南部の笛吹川にかかる橋梁に沿わせる形でガス管を約3キロ延伸し、川の南側へ都市ガスの供給エリアを拡張しました。これにより、食品工業団地等への供給が進んでいます。
今回の供給エリア拡張に至った背景には、その前段となる2022年のエリア拡張があります。
遡ること2018年、当時、供給エリア外であった南アルプス市の企業さまからのご相談が転機となりました。この企業さまは、それまでLNGローリー車の配送により都市ガスをご利用いただいていましたが、2014年に山梨県を襲った記録的な大雪による交通網の寸断で陸の孤島となった経験から、「エネルギーレジリエンス」を重視されていました。そして、設備更新のタイミングで、導管による都市ガス利用のご相談をいただきました。
2014年の山梨県での大雪の様子。甲府市では観測史上最大の114㎝の積雪量を記録。
東京ガス山梨の供給エリアは2つの一級河川に挟まれており、これまで都市ガス供給は甲府盆地内の限られた範囲にとどまっていたことから、川を挟んだエリアである南アルプス市への供給を実現するには、川幅500mを越える一級河川・釜無川を横断する必要がありました。
そこで、河川や橋梁の管理者、山梨県や南アルプス市の協力を得ることで、既存の橋梁に対し「側方添架方式」(橋の側方へ添わせる方式)によりガス導管を架けることが可能となるとともに、大幅なコストダウンが実現しました。
2022年の南アルプス市での延伸工事の様子
南アルプス市 開国橋
また、山梨県は、中部横断自動車道の一部開通により交通の便が向上したことや、リニア中央新幹線の山梨新駅開発などにより、供給エリア近郊での工場の新設や増設の動きが活発になっています。こうした背景から、2022年に初めて南アルプス市での都市ガス供給が始まりました。
経験を活かし、新たなエリア拡張へ!
笛吹川への添架工事の様子
2025年の食品工業団地等(甲府市南部ならびに中央市の一部)に向けたエリア拡張も、企業さまからのご相談がきっかけとなり実現しました。当初課題としては、2022年のケースと同様に笛吹川という川幅約460mの一級河川を越える必要があることが挙げられましたが、前例と同じく橋へ添わせる方法でのガス導管延伸が可能となったこと、また周辺が食品工業団地であり、その他にも都市ガス使用を検討される企業さまがいたことから、エリア拡張・約3kmのガス導管延伸が実現しました。
今回の工事で苦労した点としては、大小3つの連続した河川横断の必要があり、それぞれ橋梁の形状等が異なることから、ガス導管の設置位置について複数のパターンを組み合わせた設計・施工検討が必要だったことが挙げられます。また工期が限られる中、施工時期が限定される区間もいくつかありましたが、協力企業と連携して地域の方のご意見・ご要望に寄り添いながら、安全に施工を進めることができました。
その前段の工事許認可においても、2022年に竣工した導管延伸工事での経験を活かし、都市ガス普及における地域貢献と環境負荷軽減の優位性を強調しながら、橋梁および河川管理者と粘り強く折衝を重ね、河川横断を実現しました。
今後の展望
2022年の南アルプス市でのエリア拡張と、今回の甲府市南部や中央市でのさらなるエリア拡張は、私たちにとって大きな一歩となりました。そしてこれは、当社だけでなく、山梨県全体の発展にもつながるものだと考えています。
山梨県では、今後リニア中央新幹線の開通という大きな出来事が予定されており、交通インフラの整備がますます進んでいきます。そうした中で、私たちが進める都市ガスインフラの整備も、地域の発展には欠かせない重要な要素だと思っています。
ただインフラを整えるだけでは意味がありません。整備したインフラを、いかに地域の皆さまに使っていただけるかが大事です。これからは、リニア山梨新駅周辺のまちづくりにもこのインフラを活かしていただけるよう、行政や企業の皆さまに向けて、東京ガスグループのまちづくり事例を踏まえながら積極的に提案をしていきたいと考えています。
東京ガス山梨(株)ソリューション営業部
産業エネルギーグループマネージャー 井坪