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米国機械学会で東京ガスの論文が最優秀賞を受賞!◆東京ガス 次世代技術研究所

2024年9月27日

このたび、東京ガス 基盤技術部 次世代技術研究所の小貫翔馬氏と三津谷維基氏が、米国機械学会で「ASME PVP2023 Outstanding Conference Paper Award(最優秀論文賞)」を受賞しました!
本論文は「高圧ガスパイプラインの耐震性評価」に関する論文で、耐震工学部門での受賞となりました。論文の内容は?評価されたポイントは?詳しくご紹介します!

「ASME(米国機械学会)」とは?

ASME(米国機械学会)は、米国における機械工学に関する学会であり、蒸気ボイラーや圧力容器の事故が多発したことをきっかけに1880年に創立された由緒ある団体です。
ASMEは世界で最も古くから機械装置の基準を定める規格制定を行ってきた組織としても知られ、これまでに約600を超える規格を制定しています。
ASMEが制定した規格は日本を含む100か国以上で採用されており、機械工学分野における世界最大級の規格制定団体とも言えます。

ASMEが制定する代表的な規格は、ボイラー(水や液体を加熱し、湯や蒸気をつくりだす装置)および圧力容器(大気圧と異なる一定の圧力で気体や液体を貯留するように設計された容器)に関する規格です。これらはガス事業法・電気事業法・高圧ガス保安法など、日本の法律でも引用されています。

ASME(米国機械学会)ロゴ

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「ASME PVP2023 Outstanding Conference Paper Award」とは?

ASMEは、圧力容器および配管に関する国際会議(ASME Pressure Vessels & Piping Conference、以下「PVP Conference」)を毎年開催しています。この「PVP Conference」では、世界中から研究者が集まり、基礎研究から規格基準への反映に至るまで横断的で活発な議論が行われます。今年は、2024年7月28日から8月2日にかけて、米国ワシントン州ベルビューにて開催され、圧力容器および配管に関する研究について494件の論文発表が行われました。

小貫氏(PVP Conference会場にて)

写真左:小貫氏(Technical Committeeにて)

表彰式の様子

その中で、東京ガス小貫氏と三津谷氏が発表した「高圧ガスパイプラインの耐震性評価」に関する論文が認められ、「PVP Conference」の「Outstanding Conference Paper(最優秀論文賞)」を受賞しました。
この賞は、会議参加者全員の評価や各部門のTechnical Committee(技術委員会)の推薦を経て、Honors & Awards Committee(賞選考委員会)の審査に基づき、各部門の最優秀論文1編に与えられる賞です。
今回のPVP Conferenceでは8つの部門から各1件の「Outstanding Conference Paper(最優秀論文賞)」が選出され、東京ガスの論文はSeismic Engineering(耐震工学)部門での最優秀論文です。

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受賞した論文の内容は?

東京ガス 基盤技術部 次世代技術研究所は5つのチームで構成されており、小貫氏と三津谷氏は「インフラ評価高度化チーム」に所属しています。本チームは東京ガスグループの基盤技術の一つである、ガス設備の材料強度や耐震性に関する知見を究め込みながら、それを従来のガス設備だけでなく、火力・風力発電設備といった新たなインフラ設備にも展開し、材料強度評価や補修・トラブル対応に幅広く活かすことがミッションです。
今回受賞した論文「高圧ガスパイプラインの耐震性評価」についても、その一環として行った研究をまとめたものです。

小貫氏と三津谷氏が発表した論文では、「管が損傷し、局所的に管の厚みが減っている(滅肉を有する)鋼管」を研究対象とし、地震を受けた場合に座屈(縦方向に力を加えていったとき、ある限界値に達すると横方向に大きな湾曲が生じること)や亀裂発生に至るリスクの有無を簡易に判定できる評価式を開発しました。

減肉を有する鋼管が地震荷重を受けると、地震時の繰り返し負荷により、薄い部分に変形が蓄積していくことが懸念されます。今回の論文では、このような繰り返す変形挙動を精緻に再現する数値解析技術を新たに確立したうえで、鋼管の仕様(管の直径、厚さ、強度)や減肉の大きさ(縦方向・横方向・深さ方向の長さ)といった多数のパラメータが耐震性に与える影響を定量的かつ簡易に評価できる数式を新たに開発しました。

今回の提案式は、実験および数値解析により信頼性が確認され、かつ、シンプルで扱いやすい式であることから、ガイドライン化などを経て、国内はもちろんのこと、海外においても広く活用されることが期待されます。

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受賞者のコメント

小貫: 本研究は歴代の先輩方から引き継いだテーマで、これまでのチームとしての研究成果がこのような形で表彰されることになり嬉しい限りです。引き続き、技術の深化に努めてまいります。この度の受賞は、ひとえに先輩方やチームメンバー、グループの導管会社である東京ガスネットワークの皆様方のご指導とご支援の賜物です。この場をお借りして、厚く御礼申し上げます。

三津谷:高圧導管の減肉は海外では以前から問題になっており、日本でも備えておく必要があると考えて数十年前から研究を続けていました。強度評価の研究は注目されることが少ない地味な分野ですが、ガス事業の根幹を支える大事な仕事と認識しています。今回の受賞が若手研究者の意欲向上につながれば嬉しく思います。

写真左:三津谷氏 写真右:小貫氏

東京ガスグループではこれからも、みなさまに安心して都市ガスをお使いいただくため、技術の革新に努めてまいります。

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