東京ガスグループトピックス

累計契約拠点数200件を達成!◆カーボンニュートラル都市ガス

2024年7月10日

東京ガスの「カーボンニュートラル都市ガス」(以下CN都市ガス)の累計契約拠点数が、2024年2月に200件(※1)に到達しました!

東京ガスグループは、経営ビジョン「Compass2030」において、東京ガスグループの事業活動全体で、お客さま先を含めて排出するCO₂をネット・ゼロにすることに挑戦すると掲げており、その一環として、東京ガスではCN都市ガスの導入を推進しています。
CN都市ガスの導入推進のための東京ガスの取り組みや、今後の展望について詳しくご紹介します!

※1:卸先ガス会社さま経由でのカーボンニュートラル都市ガス供給件名及びカーボンニュートラルLNG供給件名を含む合計契約拠点数

「CN都市ガス(カーボンニュートラル都市ガス)」とは?

「CN都市ガス(カーボンニュートラル都市ガス)」は、天然ガスの採掘から燃焼に至るまでの工程で発生する温室効果ガスを、CO₂クレジットで相殺(カーボン・オフセット※2)し、燃焼しても地球規模ではCO₂が発生しないとみなすLNG(CNL)を、ガス導管で供給する都市ガスにしたものです。東京ガスでは法人営業窓口を担う東京ガスエンジニアリングソリューションズ株式会社を通じてお客さまへお届けしています。

「CN都市ガス」は東京ガスが2019年に日本で初めてお客さまに供給を開始し、2024年に累計契約拠点数200件を達成しました!
 
 

※2:「カーボン・オフセット」とは

出典:環境省『我が国におけるカーボン・オフセットのあり方について(指針)第4版』

「カーボン・オフセット」とは、市民、企業、NPO/NGO、自治体、政府等の社会の構成員が、自らの温室効果ガスの排出量を認識し、主体的にこれを削減する努力を行うとともに、削減が困難な部分の排出量について、カーボン・クレジット(※3)等により、その排出量の全部又は一部を埋め合わせることです。

出典:環境省『カーボン・オフセットガイドラインVer.3.0』

カーボン・オフセットは自らの活動に伴い排出する CO2等の温室効果ガスを認識・削減した上でその排出量を埋め合わせる取組であり、①知って(排出量の算定)、②減らして(削減努力の実施)、③オフセット(埋め合わせ)の 3 ステップで実施します。

※3:「カーボン・クレジット」とは

プロジェクトの一例(森林保全)

プロジェクトの一例(植林)

「カーボン・クレジット」とは、バイオマスボイラーや太陽光発電設備の導入、森林管理などのプロジェクトを対象に、そのプロジェクトが実施されなかった場合の温室効果ガスの排出量および除去量の見通し(ベースライン排出量等)と実際の排出量等(プロジェクト排出量等)の差分について、測定・報告・検証を経て、国や企業等の間で取引できるよう認証したものです。

クレジットを購入することを通じて、森づくりや再エネの利活用・高効率省エネ機器の導入といった活動により多くの資金が循環することになり、更なる温暖化対策が実現できるようになります。カーボン・オフセットは、クレジットを活用することで誰でも実施できる仕組みであり、自らの削減以上に更なる温室効果ガス削減を進めることができる社会貢献活動でもあります。

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CN都市ガスの質・透明性を担保!東京ガス独自の取り組み

クレジットには、国が制度として認める「コンプライアンスクレジット」と、民間の認証機関が評価して発行する「ボランタリークレジット」があり、量としては後者のボランタリークレジットが圧倒的に多い状況です。
ただ、民間が認証する「ボランタリークレジット」は国が認める「コンプライアンスクレジット」と比べて品質にばらつきがあり、より高品質なものを明確に定義するためのルール整備が進められている途上にあります。

そこで東京ガスは、「独自の評価基準の策定と運用」「第3者検証の実施」の二つの取り組みを行い、ボランタリークレジットの質やその運用の信頼性を担保しています。

①独自の評価基準の策定と運用

評価マニュアル表紙

チェックリスト

東京ガスは社内にカーボンクレジットを扱う上でのガバナンス機関を設けており、その中で当社が扱うべきカーボンクレジットに関する質の基準を策定しています。本基準は大項目15、中項目43のチェックリストと100ぺージ弱のマニュアルで構成されており、チェックリストの各項目についてレピュテーションリスク(ネガティブな評判が拡散されることにより、ブランドへの信用低下が発生するリスク)をカバーできる水準か否かをプロジェクト毎に評価しています。
またタイミングとしても、カーボンクレジット購入時はもちろん、定期的な確認として年1回以上のモニタリングを実施しています。

②第三者検証の実施

2020年から東京ガスは日本品質保証機構(JQA)に検証を頂いており、「CN都市ガスが確かに”原料を採掘・運搬して都市ガスを製造・お届けし、最終的に使っていただくまでに排出されるCO₂排出量“をオフセットしているか」や「CN都市ガスを正しくお客さまに届けているか」を確認いただいています。こういった検証結果にもとづいて、東京ガスは供給先のお客さまに供給証明書をお渡ししています。

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お客さまにCN都市ガスをさらにご理解いただくために

東京ガスではCNLバイヤーズアライアンス(※4)の加盟企業のみなさまを対象に、国内外のカーボンクレジット関連の政策動向をお客さまと共有する勉強会を毎年開催しています。
2024年3月に実施した最新の勉強会では、国内の法制度の動向に留まらず、今年開催された国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)の動向やカーボンニュートラルに関する新たな国際規格(ISO14068)についてもご紹介しました。

2023年10月に実施したカーボンニュートラルLNGの特別講演会にて、参加された企業の皆様との集合写真

講演を行うカティンガンメンタヤプロジェクトのCEO ダルソーノ氏

また、法制度の勉強会だけではなくクレジット創出プロジェクトに関する理解を深めて頂くための講演会も2023年10月に開催しています。
CN都市ガスに活用されているカーボンクレジットの創出プロジェクトに当たるカティンガンプロジェクトのCEOをお呼びし、カーボンクレジットをどのように創出しているのか、クレジットによる収益がどのように地域コミュニティや森林保全に役立っているのかについて講演頂きました。

※4:「カーボンニュートラルLNGバイヤーズアライアンス」とは

東京ガスは持続可能な社会の実現に向け、「カーボンニュートラルLNG(CNL)バイヤーズアライアンス」を2021年3月に設立しました。

本アライアンスは、持続可能な社会の実現に向け、カーボンニュートラルLNG(CNL)を調達・供給する東京ガスと購入する企業・法人が一丸となり、カーボンニュートラルLNG(CNL)の普及拡大とその利用価値向上の実現を目的として、2021年3月に設立したものです。本アライアンス参画企業・法人は、2050年の「カーボンニュートラル社会の実現」に貢献することを目指し、CNLを世の中に広く認知させるとともに、投資機関による評価向上や国内各種制度における位置づけの確立に向けて取り組みを推進してまいります。

カーボンニュートラルLNGバイヤーズアライアンス設立記者発表会にて

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今後は東京ガスもクレジットを創出する側へ

東京ガスでは調達するクレジットの品質向上に向けて、クレジットの調達分野で3点取り組みを行っています。

①クレジット創出プロジェクトへの参画

東京ガスは、カーボンクレジットの調達販売事業を展開するハートリー社のグループ会社にあたるバートリー社と、信頼性の高いクレジットの安定調達に向けて、創出プロジェクトの共同開発を目的としたパートナーシップを締結しました。共同でクレジット創出プロジェクトに出資・開発を行うことで、自ら創出に関与した信頼性の高いクレジットを安定的に調達できるようになることを目指しています。

②発行前プロジェクト探索の取り組み

<図:植林プロジェクトのモニタリング例>(提供:サステナクラフト)
複数の光学衛星により取得した衛星画像から植生指数を計算し、可視化したもの(※5)

東京ガスは、森林保全等の自然系カーボンクレジット創出プロジェクトの評価を手掛ける株式会社サステナクラフトと信頼性の高いクレジットの調達に向け、プロジェクトの評価・選定手法の高度化を目的とした業務提携契約を締結しました。クレジット発行前のプロジェクトは、一般的に入手可能な情報が限られることから、優良案件を見極めるには幅広い「目利き力」が重要となりますが、サステナクラフトは、衛星リモートセンシング(人工衛星に測定器を搭載し遠隔から調査すること)と因果推論技術を組み合わせることで高精度なプロジェクト評価を実施できます。

※5:ピンク色ほど植生が少なく、緑色が濃いほど植物の量や活力が高い状態を表す。画像の例ではウルグアイの植林地を15年間程度に渡り評価した結果。NDVI(Normalized Difference Vegetation Index:正規化植生指標)は最も一般的な植生指数の一つで、森林被覆を示す指標として用いられる。NDFI(Normalized Difference Fraction Index)は森林被覆だけでなく森林劣化を表す指標としても用いられる。

③フィリピンで行われているJCMプロジェクトの共同実証

フィリピンの農家へのトレーニングの様子

途上国と協力して温室効果ガスの削減に取り組み、削減の成果を両国で分けあう「二国間クレジット制度(JCM)」についても株式会社クボタ、クレアトゥラ社と共に取り組んでいます。現在、まさにフィリピンでJCMプロジェクトの実証段階であり、クレジットとして認証されるための方法論の確立から取り組んでいます。
稲作においては湛水(水田に水をはること)が必要ですが、水田土壌内にはメタン生成菌が存在し、常時湛水をして酸素が少なくなると、メタン生成菌がメタンガスを排出します。今回のプロジェクトは、水田の地表面を十分乾燥させた後、再度湛水する湛水制御(AWD)を行うことで、微生物の動きを抑えメタン排出量を削減するものです。
本プロジェクトは、メタン排出量の削減だけでなく、収量向上や水使用の削減、現地の雇用創出等、地域社会にも貢献しています。
東京ガスは、現地のプロジェクト関係者や農家の方々との対話を通じ、現地の状況を確認する等、クレジットの信頼性確保にも取り組んでいます。

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担当者のコメント

カーボンニュートラル都市ガスの累計契約拠点数が200件を到達しましたこと、大変感慨深く、ご採用頂きました数々のお客さまには改めて深く感謝申し上げます。
「カーボンクレジット」は、知れば知るほど大変奥が深く、選択するクレジットの種類によって大きく提供価値が変化するので、お客さまのニーズに合わせて「何通りものクレジットでオフセットされた都市ガス」を世の中に提供することができるのが、本当にこの仕事の大変魅力的で面白い点の一つと考えています。
「カーボンクレジット」に対しては、賛否両論あること、そして対策順序としては最後の取組であるとのご意見もよく頂戴しますが、私たちの商品をご採用頂いているお客さまは実は気候変動対策に先進的に取り組む企業・法人・自治体さまばかりです。そう考えますと、カーボンクレジットは削減活動を鈍化させるものではなく、更なる追加的な取組つまり野心的な取組なのではないかと思っています。
今足りないのは、このような追加的な脱炭素化への取組を、社会全体・取引先・金融機関・消費者・政府等が評価する仕組みが整っていないことだと思っています。“適切なクレジット活用が社会全体の排出削減に資する行動として評価されていく世の中”を是非実現していきたいです。
そして、その際に大前提になるのは、「オフセットされた都市ガス」は、「真に社会全体の排出削減に寄与しているカーボンプロジェクト」から生まれたものでなければならないということです。従って、私たちはこれからもカーボンクレジットの信頼性についてはこだわり続け、お客さまに自信を持ってご提供できる「オフセットされた都市ガス」を供給し続けたいと思っています。
4年目を迎えるバイヤーズアライアンスの活動についても、加盟頂いているお客さまの声に耳を傾けながら、更に進化と深化をさせ、充実した活動にしていきたいと思います。

東京ガス ソリューション事業推進部 カーボンオフセット事業グループ チームリーダー 大川里枝

東京ガスグループはこれからも「CO₂ネット・ゼロ」に挑戦し、脱炭素社会への移行をリードしてまいります。

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