東京ガスグループトピックス
日本初の実証試験の取り組みも!◆東京ガス・野村不動産による芝浦スマートエネルギーネットワークが始動
2025年6月2日
BLUE FRONT SHIBAURA完成イメージ
東京ガス株式会社(以下、「東京ガス」)と野村不動産株式会社(以下、「野村不動産」)が共同で設立した東京ガス野村不動産エナジー株式会社(以下、「東京ガス野村不動産エナジー」)は、芝浦エネルギーセンターを竣工し、3月より東京・芝浦地区エリアにてエネルギー供給を開始しました。
芝浦エネルギーセンターは、東京ガスエンジニアリングソリューションズ株式会社(TGES)が運営している既存の芝浦地域冷暖房センター(以下「芝浦地冷センター」)と連携して、芝浦スマートエネルギーネットワーク(以下「芝浦スマエネ」)を構築しています。
今回は、街区開発一体となってエネルギー連携を高度化している「芝浦スマエネ」の特長や関係者の想いをお伝えします!
いよいよ始動!「芝浦スマエネ」とは?
芝浦スマートエネルギーネットワーク 全体図
スマートエネルギーネットワーク(以下「スマエネ」)とは、ガスコージェネレーションシステム※1や熱源設備によって高効率に電気と熱を作り、再生可能エネルギーや地域の未利用エネルギーも活用しながら、ICT(情報通信技術)を用いてエリア全体で最適な運用・管理をワンストップで行うシステムです。
「芝浦スマエネ」の特長は、再開発事業と既存の地域冷暖房事業の連携により、エネルギー供給を最適化すること。
芝浦エネルギーセンターは、エネルギーの供給先となる「BLUE FRONT SHIBAURA」 TOWER Sの中に建設され、TGESが熱供給事業を行う芝浦地域冷暖房の区域内に位置しています。初期段階から芝浦エリアでの再開発事業と連携し、TGESの芝浦地冷センターの既存設備を最大限に活かすことで、エリア全体でエネルギー供給を最適化しています。また、エネルギー需要に合わせて、芝浦地冷の機器と芝浦エネルギーセンターの機器を最適運用することで、区域全体のエネルギー効率を約15%向上※2できます。
「BLUE FRONT SHIBAURA」は、TOWER S(ホテル・オフィス・商業施設)とTOWER N(住宅・オフィス・商業施設)の二棟構成。今回、TOWER Sが竣工し、2030年度にはTOWER Nが竣工予定です。TOWER Nにもプラント設置を計画しており、街区開発一体となってエネルギー連携の高度化を進めます。
※1:都市ガス等を燃料に電力と熱をオンサイトで製造し、総合エネルギー効率の高いエネルギーを供給するシステム
※2:既存プラントとの比較による
「芝浦スマエネ」を支える「芝浦エネルギーセンター」の特長とは
停電時も発電可能なガスコージェネレーションシステム
高効率燃料電池システム FC-6MとCCU装置
芝浦エネルギーセンターの特長は、「高いエネルギーレジリエンスによる防災力の向上」、「CO₂排出量実質ゼロの実現と、脱炭素最新技術の導入・日本初の実証実験の取り組み」になります。
①高いエネルギーレジリエンスによる防災力の向上
災害時にも供給可能な中圧の都市ガスを燃料とし、停電時も発電可能な仕様※3のガスコージェネレーションシステムにより、電気を発電しながら廃熱を有効利用することで平常時の環境性向上を実現しながら、系統電力停電時にも、都市ガスの供給が継続する限り電力供給が可能なシステムを構築しています。また、全てのユーティリティ(電気・都市ガス・上水道)が途絶した際にも、非常用発電機の電力のみで稼働可能な空冷ヒートポンプチラーを採用し、非常時の事業継続に貢献します。プラントを中間階に設置することにより、万が一の浸水被害からもプラント自体を守り、熱と電気の供給継続を図ります。
②CO₂排出量実質ゼロの実現と、脱炭素最新技術の導入・日本初の実証試験の取り組み
芝浦エネルギーセンターでは、使用する電力・ガスの全量を、野村不動産グループ開発物件において創出した再エネ電力等と、東京ガスグループのカーボンオフセット都市ガス(地球環境貢献型)※4とすることで、供給するエネルギーのCO₂排出量実質ゼロを実現しています。また、世界最高レベルの発電効率を誇る高効率燃料電池システムFC-6M※5を導入。その排ガス中のCO₂を利用した除菌水(炭酸次亜水)を製造する日本初の※6CCU実証試験※7にも取り組んでいます。
※3:非常用発電機との連係起動及び、停電状態から発電機を自立起動させ運転を再開するブラックアウトスタートが可能
※4:バリューチェーン全体で排出される温室効果ガスを、森林保全等で創出されたCO₂クレジットで相殺することにより、地球規模では排出量がゼロとみなされる都市ガス。詳細はこちら
※5:発電効率63%の高効率燃料電池システム「FC-6M」の販売開始について(2024年3月26日東京ガス株式会社・三浦工業株式会社発表)
※6:東京ガス調べ
※7:Carbon dioxide Capture, Utilizationの略。ここで実証試験を行う除菌水(炭酸次亜水)の用途は建物内の清掃等を想定
「芝浦スマエネプロジェクト」のこれから。担当者の声
芝浦スマエネプロジェクト プロジェクトメンバー(一部)
TOWER Sが竣工し、第1期のエネルギー供給が開始されました。これに続いて、2030年度にはTOWER Nが完成予定です。TOWER Nのプラントでは、未利用エネルギー活用やデマンドレスポンス、AI活用、水素、メタネーション技術導入など次世代のエネルギー供給実現を検討していきます。エネルギー供給は半世紀以上にわたって続く事業。チーム一丸となって取り組み、着実に未来につなげていきます。
(TGES スマエネ事業推進部 兼 東京ガス野村不動産エナジー(株) 総務部 高津)
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