東京ガスグループトピックス

メタネーションの鍵となるCO₂を排出しない低コストの「グリーン水素」製造◆新たな水電解触媒の開発に挑戦

2023年9月29日

東京ガスグループは、経営ビジョン「Compass2030」において、事業活動全体で、お客さま先を含めて排出するCO2をネット・ゼロにすることに挑戦すると掲げています。

その鍵を握るのが、CO₂から都市ガスの原料となるメタンを生成する「メタネーション」という技術。将来的にこのメタネーションにより生成されたメタンが広く使用され、エネルギーの脱炭素化に大きく貢献することが期待されます。
未来を背負い、メタネーションの推進・開発をおこなう最先端の現場と日々挑戦を続けている社員をご紹介します。

メタネーションに必要な「水素」の製造
鍵を握るCO₂を排出しない「グリーン水素」

東京ガス 水素・カーボンマネジメント技術戦略部 水素・メタネーション材料技術グループ 内野です。
東京ガスは経営ビジョン「Compass2030」で「CO₂ネット・ゼロ」への挑戦を掲げ、カーボンニュートラル実現に向けてガス体エネルギーの脱炭素化・メタネーションの技術開発を推進しています。

メタネーションは水素とCO₂を化学反応させ、e-メタン(合成メタン)を製造する技術ですが、その原料となる「グリーン水素」の製造が重要な鍵を握っています。

参考:資源エネルギー庁ウェブサイト

 
水素はその製造方法によって「グレー」「ブルー」「グリーン」に区分けされています。化石燃料を原料に製造する「グレー水素」、化石燃料を原料にしつつも発生したCO₂を回収・利用して、CO₂排出量を削減する「ブルー水素」、そして、再生可能エネルギーを利用して水の電気分解(水電解)で製造する、CO₂を一切排出しない水素は「グリーン水素」と呼ばれています。

カーボンニュートラルなe-メタンの普及には、グリーン水素の大幅なコストダウンが必要不可欠です。グリーン水素が高コストとなっている要因は、大量の電力が必要であることに加え、水を水素と酸素に分解する反応を起こす「水電解触媒」に高価な貴金属が多く使用されていることが挙げられます。私はその課題を解決すべく、「水電解触媒」と向き合った技術開発に携わっています。(PEM(固体高分子電解質膜=Polymer Electrolyte Membrane)型水電解を対象)

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水電解による「水素」製造のコストダウンを目指して

燃料電池エネファームの開発で培った技術・ノウハウを活用

東京ガスは、都市ガスを改質することで得られる水素と空気中の酸素を化学反応させて発電する「家庭用燃料電池エネファーム」の開発の歴史と知見があり、水から水素と酸素を取り出すPEM型水電解では燃料電池の逆反応が進行することから類似点も多く、そのため燃料電池開発で培った技術を活用することができます。

一方で作動条件が異なるため、燃料電池で使用していた触媒や構成材料をそのまま使用することはできず、コストダウンを実現する新たな技術開発が必要です。その取り組みの一つが、高価な貴金属の使用量の削減です。
 
 

水電解装置における触媒の工夫・新しい触媒の開発

脱炭素社会の実現に向け、世界中で水電解装置の開発が進んでいます。水電解の触媒として高い活性を持つのが、イリジウムやルテニウムなどの貴金属です。

ルテニウムや、白金の精錬時に得られる副産物として採取されるイリジウムは、供給量が限定的かつ非常に高価なレアメタルの一種です。

 

高価な貴金属の使用量の削減のため、適正な貴金属の塗布(使用)量の検討を進めています。ただ単に使用量を削減するだけでなく、塗布の方法もコストに密接に関わってきます。塗布量を削減した上で、PEMとの高い密着性や劣化抑制を実現する、安価な塗布法の開発も重要なテーマです。

さらに、貴金属を使わない新しい触媒の開発では、汎用的で安価な金属の最適な配合を、AI(人工知能)を使って探索し、水電解反応の活性を向上させる「多元金属触媒」の開発にも取り組んでいます。

CDEで合成した電極触媒の活性を評価している様子(H2U社提供)
触媒探索エンジンCDEは、高速で水電解触媒を合成し、反応活性を評価できる

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カーボンニュートラルの実現に大きく寄与
水電解装置における触媒の使用量削減への挑戦

現在、私が最も力を注いでいる取り組みの一つは、イリジウムを限りなく削減した触媒の開発です。安定で多様な機能性を有する結晶構造に着目し、この結晶構造内に極めて微量のイリジウムを添加した触媒の合成・評価・分析を進めています。
私たちのチームはこうした取り組みによって、従来の触媒コストの半減を実現しました。これはイリジウム使用量を半分に削減した成果であり、近い将来、3分の1まで削減することを目標としています。究極的にはイリジウム・ゼロを実現したいと考えています。

またPEM型水電解システムのデバイスの耐久性確保のためにはめっきが必要ですが、これも触媒同様に白金や金など高価な貴金属が採用されています。白金、金に代わるめっき材料の開発も、私が力を注いでいる重要なテーマです。

東京ガス 水素・カーボンマネジメント技術戦略部
水素・メタネーション材料技術グループ 内野

 
これら、触媒、塗布方法、めっきの技術革新は、水素製造コストの大幅低減を可能とするものであり、低コストグリーン水素を製造し、水素供給事業やメタネーションに適用することでカーボンニュートラルの実現に大きく寄与すると考えています。

自分自身や身近な人たちだけでなく、未来の世代までもが、豊かで平和に暮らすことができる世界の実現に貢献できることにやりがいを感じています。

サステナブルな地球のため、必ず低コストのグリーン水素製造を成し遂げたい。それは技術者としての使命だと思っています。

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