東京ガスグループトピックス
脱炭素化の切り札となる家具◆ カーボンストックファニチャーとは
2022年4月1日
東京ガスグループでは、長期経営ビジョン「Compass2030」に基づく2050年以降を見据えた指針として、脱炭素化社会の実現および「CO2ネット・ゼロ」の実現を掲げています。
この指針に基づき、東京ガスコミュニケーションズ株式会社では、“都市を森林の貯蔵庫に還す”をコンセプトに「CARBON STOCK FURNITURE(カーボンストックファニチャー)」の推進・販売をおこなっています。
1.カーボンストックファニチャーとは
樹木は大気中のCO2(二酸化炭素)を吸収し、木材として使っている間は、炭素を固定(貯蔵)し続けます。
その性質に着目し、森林認証を取得している国産木材で、再利用しやすいように角材の状態を保ったままシンプルなデザインの家具として造作したのがカーボンストックファニチャーです。
森林資源の循環利用を高めながら、今後、オフィスや店舗、公共空間の家具にできるだけ多く利用することで、大気中の CO2 削減に貢献するとともに、産地である森林と都市の関係を強く結び付けていきます。
2.脱炭素社会を目指す3つのアイデンティティ
CO2を都市に貯蔵し、CO2排出を抑制する
—CARBON STORAGE
一般流通材を活用し、木材加工を最小限にする
—REUSABILITY
国産木材を活用し、CO2を可視化する
—AWARENESS
この3つのアイデンティティを持つカーボンストックファニチャーを通して環境保全への取り組みを推進し、2022年3月現在までに日本全国各地に導入、CO2総固定量は19tを超える見込みです。(2022年3月現在)
また、日本での森林保全活動に賛同するため、販売した各製品に固定されたCO2を換算し(1tあたり1万円)、都道府県緑化推進委員会「緑の募金」に寄付を行っています。伐採後の植樹や獣害対策などの森林保全に活用いただく等の社会貢献活動にもつながっています。
都市と森林をつなげる役割の中から、気づきや課題を発見し、持続可能な社会を目指すための取組みを実践することで、SDGsに接続していきます。
3.CO2固定量を見える化
カーボンストックファニチャーの成り立ちと思い
カーボンストックファニチャーの成り立ちと思い
東京ガスコミュニケーションズが東京都から国産木材魅力発信拠点「MOCTION」の設計デザイン・運営を委託されたことをきっかけに、「MOCTION」の設計に携わったHAGISTUDIOの宮崎晃吉氏とカーボンストックファニチャーを立ち上げました。
国産木材の都市活用について、当初は壁などの内装材に国産木材を使うことも考えました。しかし、木材を極力加工せずにそのままの姿で使っていくというインパクトと、SDGsや脱炭素といったメッセージ性をより打ち出せる、オフィスや店舗・公共空間など汎用性もある「家具」が良いのではという結論に至りました。
CO2固定量を見える化
木造住宅などの建材として一般的に利用されている105mm角の角材を積むだけのシンプルでフレキシブルな構造で、木材の産地とCO2固定量を見える化した家具を作ったのが始まりです。
フレキシブルなカーボンストックファニチャーへの期待
シンプルでフレキシブルな構造にしているので、例えば災害時にはソファを組み替えて救護用ベッドに、中に空洞を作って避難用具を入れたり、カウンターを組み替えて避難時の個別の仕切りを作るなど、カーボンストックファニチャーは柔軟に別の形へ変えることが可能で、さまざまな場面での活用も見据えています。
4.カーボンストックファニチャー導入事例
自治体、国立公園、大学、集合住宅の共用部へ広がり
自治体や国立公園、大学、集合住宅の共用部など、森林資源と都市の好循環の取り組みに共感をいただき、脱炭素や環境貢献の取り組みに付加価値をつけたいというお客さまのご要望に応えられる商材としてさまざまなご期待の声を頂いています。
5.最新事例とお客さまの声-1(神奈川県相模原市内22カ所)
相模原市には、市役所本庁舎やまちづくりセンター、図書館、学校など、市内22カ所にカーボンストックファニチャーのソファやカウンターを設置いただきました。写真右の藤野中学校では、生徒の皆さんが落ち着いて読書できるように、図書室にカーボンストックファニチャーを導入しています。
お客様の声
相模原市は、市域面積の約6割を占める広大な森林を有しており、これまでも森林・水源環境の維持保全に努めてきました。
今回、佐野川から切り出された杉は、東京2020大会選手村のビレッジプラザ建設資材として提供※し、大会終了後には本市へ返却され、大会のレガシーとして市内で活用することになっていました。
※全国の63自治体が木材を提供
カーボンストックファニチャーをご提案いただいたとき、木材が吸収・固定する二酸化炭素量を製品に印字し、利用者の視覚に訴えるデザインは素晴らしく、ソファを利用される皆さんに分かりやすく伝えられることが魅力だと感じました。本市では、2020年9月に「さがみはら気候非常事態宣言」を表明し、2050年に二酸化炭素の排出量実質ゼロを目指すこととしており、市の取り組みにも合致していることから導入を決めました。
2020年3月下旬には、市役所本庁舎の受付用のカウンターをカーボンストックファニチャーに入れ替えました。市内の至るところでカーボンストックファニチャーに触れることで、本市には豊かな森林があり、そこからさまざまな恩恵を享受していることを子どもたちにも知ってもらうきっかけになってほしいですし、この貴重な財産を皆の力で次の世代に引き継いでいきたいという思いを伝えていけたらと考えています。
6.最新事例とお客さまの声-2(3×3Lab Future)
「経済」「環境」「社会」がバランスよく共存するまちづくりを目指すエコッツェリア協会が運営する施設。会社でも自宅でもないサードプレイスとして業種業態の垣根を越えた交流・活動が行われ、イノベーションの循環を創出しています。会員同士の意見交換など交流が生まれる「コミュニケーションゾーン」の床には建設現場の足場板を再利用し、120名のセミナーが開催可能な「サロン」の机と椅子には日本の伝統的な木工技術“ほぞ組”が使われているなど、施設全体でサステイナブルな空間となっています。
今回、東京ガス 都市エネルギー事業部の提案により、カーボンストックファニチャーはホッと一息つけるスペース「光のガーデン」の植栽エリアに導入されました。
お客様の声
当施設は、環境やSDGs等のさまざまな社会課題に向き合い、セミナーやワークショップを通じて多様な人材のビジネス交流促進に取り組むプラットフォームです。内装に木材がふんだんに使われていることから、カーボンストックファニチャーは相性が良いのではないかと考え、クッション素材のないタイプのベンチを導入しました。また、イベント開催時などシーンによってベンチを動かすことができるよう、キャスター付きにカスタマイズしていただきました。
利用者の方々には、このベンチに対するCO2吸収量から、木造建築物であればどれだけ多くの炭素を貯蔵できるかなどを想像していただくとともに、ご自身の会社や団体、関わる事業で木材の利用を考えるきっかけを提供できればと考えています。
木材がある空間がウェルビーイング※にもつながると感じています。ベンチを見たり腰かけたりしながら、木材が持つやわらかな雰囲気や感触を感じ取っていただけると嬉しいですね。
※幸福で肉体的、精神的、社会的すべてにおいて満たされた状態のこと
今後、金具類等の簡素化・軽量化が実現されることで、設置可能な場所がさらに増えるのではないかと期待しています。今回カーボンストックファニチャーを設置した光のガーデンは、当施設に足を運ぶ方が最初に目にする場所に位置していますので、カーボンストックファニチャーを通してより多くの人に木材の魅力や価値を発信していきたいと思います。
7.ショールーム「国産木材の魅力発信拠点 MOCTION」
国産木材の魅力発信拠点MOCTIONにて、実際の商品をご覧いただけます。
東京都新宿区西新宿3-7-1 新宿パークタワー
リビングデザインセンターOZONE5階
開館時間: 10:30~18:30
休館日:水曜日(祝日除く)/夏期・年末年始
TEL. 03-5322-6500(代)
東京ガスグループはこれからも「CO2ネット・ゼロ」に挑戦し、脱炭素社会への移行をリードしてまいります。