風力発電事業

風力事業の取り組み

東京ガスグループでは自社用地に建設・設置した陸上風力の経験や海外での風力発電事業の経験を活かし、陸上風力事業や風力発電所からの電力購入を行っています。今後は、着床式洋上風力の開発を推進するとともに、将来的に拡大が見込まれる浮体式洋上風力にも積極的に取り組んでいきます。

風力発電事業の流れ

風力事業では、以下のプロセスを経て事業を推進していきます。

プロジェクト開発、環境影響評価・環境調査

地域環境への配慮はもちろんのこと、地域の方々のご意見を伺うとともに地域住民の皆さまへ事業内容を丁寧に説明しご理解をいただきながら、事業を推進していくことをお約束します。

発電所設計・建設・据付工事

サプライチェーンを管理して、環境にやさしく安全な発電所の設計・建設工事を進めます。

発電所運営・メンテナンス

皆さまに愛される発電所を目指し、長期的に地域の皆さまとパートナーシップを構築しながら、安定した電源を供給してまいります。

風車撤去

役目を終えた風車は安全・安心に配慮したうえで撤去を速やかに進めます。

風力の再エネ電源開発

再エネ資源開発

鹿島港洋上風力発電事業

2018年4月に株式会社ウィンド・パワー・エナジーが茨城県鹿島港の港湾区域において計画を進める鹿島洋上風力発電事業へ参画し、事業化に向け検討を行っています。
2021年4月には株式会社ウィンド・パワー・グループ、日本風力エネルギー株式会社(以下「ヴィーナ・エナジー」)および当社グループは、鹿島港洋上風力発電事業の開発を共同で推進していくことを決定いたしました。
茨城県発の風力発電事業会社として豊富な経験のあるウィンド・パワー・グループ、関東圏を中心としたエネルギーの安定供給実績のある当社グループ、また国内外において風力発電事業の開発・建設・運営管理の実績を多数有するヴィーナ・エナジーの3社が、それぞれの強みを発揮し連携しながら、2024年度の着工を目指し本事業の開発を進めていきます。

*イメージ図

発電所名 鹿島港洋上風力発電所(SPC名:株式会社ウィンド・パワー・エナジー)
所在地 鹿島港湾区域
発電容量 約16万kW
株主構成 (株)ウィンド・パワー・グループ、東京ガス(株)、日本風力エネルギー(株)
スケジュール 2024年度着工予定

浮体式洋上風力

当社は2020年5月に、洋上風力発電向けの浮体基礎システムであるウインドフロート技術※1を開発・保有するスタートアップ企業であるプリンシプル・パワー社に20億円超の出資を行いました。
プリンシプル・パワー社が開発・保有するウインドフロート技術は、洋上での安定性に優れ、今後、世界各地での浮体式洋上風力プロジェクトへの採用・普及が期待されており、欧州では既に大型風車への採用実績※2を有しています。
当社グループは、同社の技術を活用し、国内外の海域において浮体式洋上風力開発を推進してまいります。

浮体式洋上風力と着床式洋上風力は、ともに洋上に風車を設置する点において共通しますが、水深50m以浅が適地とされている着床式は、水深が深くなるにつれ設置が困難になります。一方、浮体式洋上風力は、風車を洋上に浮かぶ構造物に設置する方式で、遠浅の海域が少なく水深の深い場所が多い日本国内での導入拡大が期待されています。

  • ※1:
    オイル・ガス分野で実績豊富なセミサブ式浮体構造。構造的な安定性に加え、動バラスト制御(構造を中空構造にして軽量化しつつ、その中に水を満たし、気象環境に合わせて水量を調節・制御する方法)による安定化をおこなっているため、浮体基礎の動揺による風車の発電量・耐久性への影響を軽減する効果がある。
  • ※2:
    実績:ポルトガル沖にて実証試験(2MW)で5年間の運転、同沖にて商用案件(8.5MW×3基)を運転中。

袖ケ浦風力発電所

2005年に東京ガス袖ケ浦LNG基地内に風車を建設し、その後安定的に操業し、電気を供給することを通じて、自社による運転管理やメンテナンスの経験・知見を得ることができました。2020年に15年間の運転を終え、適切に撤去しています。

発電所名 袖ケ浦風力発電所
発電容量 1,990kW
所在地 千葉県袖ケ浦市中袖1-1 東京ガス袖ケ浦工場内
運転期間 2005年10月~2020年6月

コラム:風車の基本構造

着床式風車

風車の構成要素

風車は大きく ①ロータ、②ナセル、③タワーおよび④基礎 から構成されます。

①ロータ:ブレードとハブから構成される、風を受けて回転する部分
ブレード:風車の羽根の部分。風の力によってブレードに揚力が発生しロータを回転させることで電力を生み出す。
ハブ:ブレードとブレードを連結している部分。

②ナセル:ロータ軸、増速機、発電機、ヨー制御装置、電力変換・制御装置等を格納する部分

 ②-1 増速機:ロータの回転数を発電機に必要な回転数に変換(増速)させる装置。
 ②-2 発電機:ブレードが風の力を受けることで発生させたロータの回転エネルギーを電気エネルギーに変換する装置。
 ②-3 ヨー制御装置:風の力を効率良く回転エネルギーへ変換するため、ロータの向きを風向きに追従させる装置。
 ②-4 電力変換・制御装置:発電機の出力電圧や周波数を調整し、系統電圧や周波数に変換する装置。

③タワー:ブレード、ナセルを支える支柱部分

④基礎:タワー、ナセル、ブレードを支える基礎構造部分

コラム:風車の大きさ

風力発電は自然の風の流れを利用して発電しており、得られる発電量や発電効率は風車の大きさに比例します。近年、風車の大型化による高効率化が進んでおり、将来的にはさらに環境に優しい電気を生み出すことが可能になります。

①東京ガス本社ビル、②札幌テレビ塔、③50階立て高層ビル、④東京都庁、⑤東京タワー

コラム:現場の第一線から~風力発電事業の最前線~

私は、風力発電事業エンジニアリング会社を経て当社に入社しました。現在、再エネの普及により持続的な社会の実現に貢献するべく、陸上・洋上風力発電プロジェクトの推進に向けた事業計画策定や渉外などに取り組んでいます。
風力発電プロジェクトは、その構造物や事業区域など物理的な規模が大きいことから、他の電源種と比べてステークホルダーや必要となる法令許認可が多いことが特徴です。また、地域共有の資源である「風」を利用させていただく事業であり、地域の皆さまの理解なくして事業は成立しません。
地域から長く愛される事業を目指し、地域の皆さまのお言葉を燃料に日々奔走しています。今後も意義だけでなく懸念点に対する考えや姿勢もしっかりとお伝えしご理解をいただきながら、推進してまいります。

東京ガス株式会社
再生可能エネルギー事業部
風力担当
佐藤 卓馬

私は、金融機関および再生可能エネルギー事業会社を経て当社に入社し、現在は主に洋上風力発電事業推進のためのストラクチャー構築などを担当しています。
風力発電事業は、一つひとつのプロジェクトの規模が大きいが故に、効果的なストラクチャーが必要になります。その構築には、税務・財務・法務の専門的な知識を使い社外の関係者と交渉していく力も求められますが、まずはステークホルダーの皆さまと誠実に接することが最も大切だと考えています。何度も協議を重ねていく過程には痺れる場面もあるものの、作り上げたときの達成感は大きく、その結果として得られる関係者との一体感が、その後の事業推進の力強い糧にもなります。当社においても大きな期待が集まるこの事業を実現するため、私は日々仕事に精力的に取り組んでいます。

東京ガス株式会社
再生可能エネルギー事業部
風力担当
杉田 晋一朗

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