プレスリリース

世界初!アスファルトプラント用水素専焼バーナの開発

~アスファルトプラントの乾燥・加熱工程の低炭素・脱炭素化~

2023年3月23日
東京ガス株式会社
日工株式会社

 東京ガス株式会社(本社:東京都港区、代表執行役社長:内田 高史 証券コード:9531以下、「東京ガス」)と日工株式会社(本社:兵庫県明石市、代表取締役社長:辻 勝 証券コード:6306以下、「日工」)は、このたび、世界で初めて*1水素専焼が可能なアスファルトプラント用水素バーナ(以下「本バーナ」)を開発しました。本バーナの用途は乾燥・加熱向けで、0~100%の混合比率で天然ガスとの混焼も可能です。実炉での実証試験等を経て、2024年3月の販売開始を目指します。

アスファルトプラント用水素バーナ
(乾燥・加熱用途)

参考:アスファルトプラントイメージ

 国内のアスファルトプラントは年間約130万t*2のCO2を排出しており、その約80%は材料の乾燥・加熱工程による燃料燃焼によるものです。このため、燃焼時にCO2が発生しない水素はアスファルトプラントの低炭素化実現に向けた、有望な選択肢の一つです。一方、水素の実用化に向けた主な課題は、気体としての特性が天然ガス(メタン)と異なり、燃焼性や火炎の温度の高さのため燃焼時にNOxが大量に生成されることです。

 このたび、東京ガスの天然ガス消費機器で培った燃焼技術と日工のアスファルトプラントおよびバーナ開発の知見により、低NOxと安定燃焼を両立させる水素バーナの開発に取り組み、バーナ内部のノズルを最適化することで、低NOx化を実現しました。東京ガスの実験場で、天然ガスバーナより低いNOx値10ppm以下(酸素=16%換算値、水素専焼)を計測しています。

 両社は、2024年3月に500kWクラスの小型バーナの販売を目指しており、その後は更なるスケールアップを計画しています。今回開発した水素の低NOx燃焼技術を、窯業などの他用途にも応用することで、様々な製品の加熱工程の低炭素・脱炭素化にも貢献してまいります。

本バーナの特長

1. 水素専焼により燃焼時のCO2排出量ゼロ

 燃焼時にCO2が発生しない水素を燃料とすることで、CO2排出量ゼロを実現します。

2. 低NOxと安定燃焼の両立

 従来の天然ガスバーナと同等のNOx値を実現しました。東京ガスが天然ガスバーナの低NOx化で培った燃焼技術を応用し、バーナ内部のノズル最適化に取り組み、低NOxと安定燃焼を両立しています。

3. 水素・天然ガス混焼も可能

 本バーナは0~100%の混合比率で水素・天然ガスの混焼が可能です。現状は高価な水素を天然ガスと混焼させることで、エネルギーコストを低減しながら、天然ガス専焼と比べCO2排出量を削減します。また、再生可能エネルギー由来の水素は天候の影響で供給量が変動する可能性がある等、供給面での課題もある中、混焼を可能とすることで、安定操業にも貢献します。

4. 既設バーナを部品交換するだけで水素燃料への対応が可能

 日工が培ったバーナ設計技術により、既設バーナ本体を活かしながら、バーナ部品を交換するだけで水素燃焼が可能であるため、最小限の設備改造で導入可能です*3

今後の展開

 日工は、前田道路株式会社と、2023年4月に、本バーナを用いて世界初*4となる水素専焼でのアスファルト混合物の製造および施工試験を行います。また、本バーナで製造されたアスファルト混合物の物理性状および施工性を評価し、実装に向けて取り組んでまいります。

(参考:東京ガスの水素バーナ開発状況)

*1:日工調べ(2023年3月現在)
*2:アスファルト合材協会調べ(合材製造業におけるBaU二酸化炭素排出量推計調査概要
*3:供給ユニット、安全装置、着火消火シーケンス等は追加・変更が必要となります。
*4:日工・前田道路調べ(2023年3月現在)
*5:水素燃焼式熱風発生バーナの開発(2022年3月23日発表)
*6:世界初!水素燃焼式リチウムイオン電池電極材用連続焼成炉の開発について(2021年11月4日発表)

以上

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