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現地との対話を通じたカーボンクレジット信頼性確保に向けた取り組み
当社グループは、フィリピン共和国パンガシナン州において、カーボンクレジット創出を企図しAlternate Wetting and Drying(以下、AWD)実証事業に参画しました。
AWD実証事業について
AWDは水稲の栽培期間中、水を抜いて水田の地表面を十分乾燥させた後、再度湛水するという潅水制御を複数回にわたって繰り返す水管理手法です。
当社グループは、クレアトゥラ(株)と(株)クボタとともに、フィリピン共和国パンガシナン州において、カーボンクレジット創出を企図したAWD実証事業に参画しました。
農家の方々との対話を通じて現地に受け入れられる事業に
このようなカーボンプロジェクトは、現地の方々の理解や歓迎なしに、導入できるものではありません。特に、AWDにおいては、これまで常時湛水にしていた状態から、何度か水を抜くという日々の農業における水管理を変える必要があるため、農家の方々の意見を取り入れ、納得を得ながら実施することが重要です。こうした思いから、実際に農家の方々を訪問し、日々の農業の様子や本実証事業への感想や意見等を伺いました。また、今回の実証事業では、農業の高度化も目指しており、現地の方向けに開校した農業スクールでは、水管理の手法だけではなく、種子や肥料の撒き方等をレクチャーしています。農業スクールを通じて、農家の方々からは、実際に収量が増えた喜びと共に「新しいことを学べる良い機会だった」という声を頂きました。
本実証事業は、AWDの実施によるメタン排出量抑制のみではなく、コベネフィットにつながる事業であることを確認しています。
カーボンプロジェクトの影響を把握
当社グループとして、生物多様性に関する影響も注視しています。
本実証事業においては、現地の専門組織を訪問し、AWDによる生物多様性への悪影響がないかヒアリングを実施しました。実際には、直接的に生物多様性に関する大きな悪影響は出ておらず、水が一時的に抜かれることで、稲の生育に害を及ぼすジャンボタニシの影響を抑制できる可能性があるという現地の状況を把握しました。生物多様性の変化や影響は、一律的な判断はできず、地域や時期によって時間差的な変化が観測されるため、情報を集め定期的にモニタリングすることが重要です。これからも、現地政府や研究機関との対話を得て、カーボンクレジットの信頼性確保に向けた取り組みを推進していきます。