プレスリリース
グリーンで美味なウイスキーづくりを目指し世界初ウイスキーの水素「直火蒸溜」実証実験に成功
2024年4月11日
サントリー株式会社
東京ガス株式会社
東京ガスエンジニアリングソリューションズ株式会社
サントリー株式会社(社長:鳥井 信宏、以下「サントリー」)、東京ガス株式会社(社長:笹山 晋一、以下「東京ガス」)、東京ガスエンジニアリングソリューションズ株式会社(社長:小西 康弘、以下「TGES」)は、このたび、サントリー山崎蒸溜所内のパイロットディスティラリー*1において、世界で初めて*2、「直火蒸溜」を水素専焼*3で行う実証実験に成功しました。
蒸溜したニューポット*4は、従来の都市ガスで「直火蒸溜」を行ったときと変わらない“コクがあり力強い味わい(骨格)”をもつ品質であることを確認しており、今後、サントリー白州蒸溜所での実用化に向けて、製造設備規模での技術検証に取り組みます。
水素専焼によるウイスキーの「直火蒸溜」について
サントリーは、1923年にウイスキーづくりへの挑戦を開始して以降、絶えず「ウイスキー文化の創造・発展」「美味品質」に取り組み、品質向上へ弛まぬ研鑽を続けてきました。なかでも、蒸溜工程において高温で加熱する「直火蒸溜」は、コクがあり力強いタイプの原酒づくりにつながる「美味品質」に欠かせない製法と考え、サントリー山崎蒸溜所・サントリー白州蒸溜所の初溜工程*5で実施しています。
水素は、“高温で燃え、燃焼速度が速い”こと等、従来の都市ガスとは異なる特性があり、都市ガス仕様の機器をそのまま使用することが出来ません。今回、サントリーと水素の活用・燃焼技術に知見を持つ東京ガス、TGES、燃焼設備メーカーである株式会社SRC(社長:阿部 智行、以下「SRC」)による技術検証を経て、安全対策を実施の上、パイロットディスティラリー内の燃焼設備を水素燃焼仕様に変更し、これまで同様のコクがあり力強い味わい(骨格)をもつニューポットの蒸溜を実現しました。
今後、サントリー白州蒸溜所での蒸溜において、実用化に向けた製造設備規模での技術検証に取り組みます。なお、サントリー白州蒸溜所への導入の際に使用する水素は、サントリー天然水 南アルプス白州工場およびサントリー白州蒸溜所内の「やまなしモデルP2Gシステム」*6で生成した「グリーン水素」の使用を検討しています
パイロットディスティラリーでの水素「直火蒸溜」実証実験における各社の役割
サントリー | 東京ガス・TGES | SRC |
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●ウイスキーづくり・試験実施主体 ・水素燃焼蒸溜試験の実施 ・水素蒸溜によるニューポットの品質確認 |
●水素活用・燃焼技術支援 ・水素燃焼バーナの開発支援 ・水素利用における安全対策の検討 ・水素燃焼システムの設計支援 ・燃焼試験結果の分析 |
●燃焼設備設計製作 ・水素燃焼バーナの設計・制作 |
サントリーグループの「美味」の追求と環境課題解決を目指す取り組みについて
サントリーグループは、スコットランドにおいても、ビームサントリー社が英国政府の補助*7を受け、スーパークリティカル・ソリューション社との協働の下、グリーン水素*8を活用したウイスキーづくりの脱炭素化を目指しています。今回のサントリー山崎蒸溜所内のパイロットディスティラリーでの実証実験は、“グリーンで美味なウイスキーづくり*9”という共通の目標に向けた取り組みの一環として、この英国政府補助金を一部使用しています。
東京ガス・TGESが提供するIGNITURE(イグニチャー)*10ソリューション
東京ガス・TGESは昨年11月に始動した新ソリューション事業ブランドIGNITUREの下で、水素活用・コンサルティング等、新たな価値を提供しサステナブルでスマートな社会の実現に貢献してまいります。
<参考>サントリーホールディングス株式会社発表資料
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*1:サントリー山崎蒸溜所の一角にある品質研究・技術開発用の小型蒸溜施設。直火加熱に加えて電気式加熱も可能な蒸溜釜を有する、ウイスキーづくりのチャレンジの象徴。
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*2:1KL以上の蒸溜釜でのウイスキー「直火蒸溜」において(サントリー調べ)
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*3:水素100%での燃焼。ただし、安全上の理由で、燃焼開始時・終了時のみ都市ガスも使用。
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*4:ウイスキーの製造工程における「蒸溜」を終えたばかりの無色透明な原酒。
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*5:モルトウイスキーの製造における1回目の「蒸溜」工程。
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*6:
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*7:英国エネルギー安全保障・ネットゼロ省のGreen Distilleries Competition基金。
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*8:製造工程においてもCO2を排出しない水素。
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*9:「美味の追求」と「環境課題への取り組み」の両立を目指すウイスキーづくり。
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*10:IGNITUREの詳細はこちら。
以上