三井不動産株式会社 東京ガス株式会社
三井不動産株式会社(代表取締役社長:菰田正信、以下「三井不動産」)と東京ガス株式会社(代表取締役社長:内田高史、以下「東京ガス」)が共同で設立した三井不動産TGスマートエナジー株式会社(代表取締役社長:水元潔、以下「三井不動産TGスマートエナジー」)は「豊洲ベイサイドクロスタワー」内に「豊洲エネルギーセンター」を2020年3月31日(火)に竣工し、2020年4月1日(水)より既存施設を含む豊洲二・三丁目地域に電気と熱を安定供給する「豊洲スマートエネルギープロジェクト」(以下「本事業」)を開始します。
本事業は、三井不動産TGスマートエナジーが昨年4月に供給開始した「日本橋スマートエネルギープロジェクト」(以下「日本橋プロジェクト」)に続く第二弾のスマートエネルギープロジェクトです。 日本橋プロジェクトでは、複数の既存施設を含めた大規模な自立分散型エネルギー供給を行い、街単位での環境性能と防災性能の向上を実現しました。 本事業は、ミクストユース(※1)の街づくりが進む豊洲エリアの駅前拠点施設を対象に、コンパクトな自立分散型エネルギー供給を行い、レジリエントでエコフレンドリーな街づくりを実現するものです。 駅前地区など都市機能が集積する拠点施設を対象としたエネルギー供給システムは、国が推進するコンパクトシティ構想にも活用できるエネルギーソリューションのモデルケースの一つであると考えています。
三井不動産と東京ガスは、日本橋・豊洲に続き他エリアにおいても、地域の特性に応じたスマートエネルギープロジェクトに取り組み、レジリエントでエコフレンドリーな街づくりを国内外に向けて発信してまいります。
三井不動産は、グループステートメント「都市に豊かさと潤いを」のもと、グループ長期経営方針「VISION2025」において、街づくりを通して様々な社会的問題を解決していくことにより、「持続可能な超スマート社会の実現」を目指す先進的な取り組みを推進しています。豊洲エリアにおいては、オフィス・住宅に加え、商業、観光、教育など様々な目的をもった人々が集まるミクストユースの街づくりに1980年代より関わってきました。さらに今般、豊洲エリアの魅力と価値を高め「持続可能な超スマート社会の実現」を目指すべく、街の安心・安全と環境についての取り組みを強化する街づくりを促進していきます。 東京ガスもまた、創業以来、事業活動を通じて、環境問題やエネルギーの安定供給及び保安の維持・向上といった社会課題の解決に取り組んでいます。「国土強靭化基本計画」においてエネルギーにもレジリエンスが求められる中、東日本大震災規模の地震でも、安定したエネルギー供給を実現する都市ガスの供給網を整備するなど、対災害性の強化を図っています。また、CGSの導入や、約半世紀にわたり取り組んでいるエネルギーを有効利用する地域エネルギー供給事業等により、都市におけるエネルギーの強靭化と環境共生の実現を目指しています。経営ビジョン「Compass2030」においても、持続可能な社会の実現に向けた取り組みの一つとして「天然ガスを活用したレジリエンス機能の強化」を掲げており、分散型エネルギーシステムの拡大により、非常時にもエネルギー供給が継続可能な災害に強い暮らし・街づくりを推進しています。 本事業は、三井不動産TGスマートエナジーがCGSを中心とするエネルギーセンターを設置し、電気と熱の地産地消を行うことで、環境にやさしく、災害に対して強靭な街に進化させる取り組みであり、都市の安心・安全の確保と環境負荷の低減を行い、持続可能な社会の実現を目標とするSDGsの達成に貢献します。 本事業においては、SDGs7・9・11・12・13の目標の進捗へ寄与する活動となります。
このたび導入したCGSは、地盤変動にも耐え得る強度や柔軟性に優れた「溶接接合鋼管」を採用した中圧ガス導管からガス供給を行い、発電します。中圧ガス導管は高い耐震性が確認されており、大地震でも十分耐えられる構造になっています。さらに、ガス導管は、供給ルートがループ化しており高い供給安定性を確保しています。
エネルギー供給を行う配管・配線は今回あらたに独自で敷設し、平常時、非常時ともに安定したエネルギー供給を行う強固なネットワークを構築しました。 豊洲エネルギーセンターは耐震性に優れた低層建屋内の地上階に設置しました。主要機器を地下ではなく地上に設置し万一の浸水被害へのリスク対策を講じる等、安定稼働のための万全な対策を行い、非常時でも継続的なエネルギー供給を可能にします。 本事業では大容量のCGSを導入したことで広域停電時にもBCP(Business Continuity Plan)に必要な電気の供給(年間ピークの50%)が可能となります。さらに、断水時に、蓄熱槽の水を熱源機器の冷却水として有効利用することによって、熱供給を継続します。その際、貴重な水の消費を抑制するために、CGSの冷却をラジエータで行う空冷式に切り替え、エネルギー供給を継続します。このように確保したエネルギーを非常時には帰宅困難者のための一時滞在施設にもエネルギーを供給することで都市の防災力を向上させます。 また、供給先には豊洲ベイサイドクロスの他に、まもなく築30年を迎える豊洲センタービルも含まれます。かつて造船所の街であった豊洲が市街地へ転換するときのフラッグシッププロジェクトであった豊洲センタービルが、本事業からのエネルギー供給により高いBCP機能を有するビルとして生まれ変わります。
このたび導入したCGSは高い発電効率のIHI原動機製を採用しています。その他熱源機器も高効率の機器を導入し、省エネの達成に貢献します。さらに、CGSによる発電と発電時に発生する廃熱を有効活用することで、約20%のCO2排出を削減します。 また、情報ネットワークを活用した「エネルギーマネジメントシステム(EMS)」(※3)を構築し、過去の天気予報、イベント等の情報を蓄積したビックデータを分析することで、翌日のエネルギー需要予測を行います。予測した需要に基づき、エネルギーセンター内のCGSや自己熱源設備だけでなく、既存施設の熱源設備も含めた地域全体の機器の最適運用を実現し、環境負荷の低減を目指します。
https://www.mitsuifudosan.co.jp/press/
(※)(仮称)豊洲二丁目駅前地区第一種市街地再開発事業2-1街区 B棟計画