2026.11.05

脱炭素は設備導入で終わらない。計画から実行まで企業に伴走する東京ガスグループの「IGNITURE」

CO2排出量の削減は近年の企業活動において、重要なテーマです。
しかし、ものづくりにおいて、事業を成長させながら、CO2排出量を減らすのは、簡単ではありません。
目標を掲げても、何から手をつければよいのかわからない。そんな悩みを抱える現場も少なくないでしょう。
脱炭素を進めるためには、設備の導入にとどまらず、自社の状況に合った対策を立て、実行につなげていくことの積み重ねが求められます。
東京ガスグループのソリューションブランド「IGNITURE」は、お客さまを取り巻く変化や現場の状況から課題を捉え、必要なソリューションを組み合わせながら、計画から実行まで一貫して行うことで、お客さまの複雑な課題を解決しています。
今回紹介するのは、住宅設備機器メーカーのタカラスタンダード社と取り組んだ、製造現場の脱炭素プロジェクト。
計画から実行まで、プロジェクトを担った東京ガスエンジニアリングソリューションズ(TGES)で営業を担当する松尾、東京ガス ソリューション事業推進部 太陽光発電事業グループの霧生(キリュウ)、同 環境価値ビジネスグループの久保に話を聞きました。

左から)松尾/霧生/久保

さらなるCO2排出量削減要請と、やり尽くした現場

いま、製造業を取り巻くビジネス環境は大きな転換期を迎えています。なかでも、多くの企業が直面しているのが「脱炭素化」という極めて高い壁です。

これまで、多くの企業では、自社で使用する燃料や電気などに伴うCO2排出量の削減を中心に、省エネや設備更新を進めてきましたが、近年は、取引先やサプライチェーン全体から、さらなるCO2排出量の削減を求められる場面が増えています。

しかし、長年脱炭素に取り組んできた企業ほど、削減余地が少なくなってきているのが実情です。求められる水準は高まる一方で、「次になにをすればいいのか」が見えにくくなってきています。

「目に見えて効果が出る対策は、多くの工場がすでにやり尽くしています。そこからさらに絞り出さなければならないのが、とても厳しい。現場の皆さんの本業はあくまで製造ですから、その合間に省エネ策を考えることになります。そこへ本社からは『さらなる削減を』という指示が届く。現場は苦しい、という声をよく耳にします」(霧生)

「IGNITURE」の総合力で、お客さまの脱炭素化を支援

CO2排出量の削減目標はあるのに、手段が定まらない。そうしたお客さまの課題に向き合い、共に未来を切り拓くために生まれたのが、東京ガスグループが展開するソリューションブランド「IGNITURE」です。

絶えず変化する社会の中で、お客さまの「課題の見える化」から「解決策の創出」までを一貫してサポート。「脱炭素・最適化・レジリエンス」の3つを提供価値に掲げ、これまで培ってきた確かな安心の、その先へと挑み続けます。

脱炭素においては、まず現状を把握し、削減余地を見極めたうえで、できる限り排出量そのものを減らし、それでも残る排出量に対して適切な手段を検討する。
こうした考え方に基づき、お客さまの状況や課題に合わせて、脱炭素への道筋を描き、実行までつなげています。

そうしたなか、次の一歩を踏み出したのが、住宅設備機器メーカーのタカラスタンダード社です。同社はCO2排出量の削減について2030年を目標年とする中間目標を掲げていましたが、さらなる削減に向け、次の一手をどう具体化するかが課題となっていました。

タカラスタンダード 関東工場(第二工場)の外観

そんな行き詰まりのなかで同社関東工場(第二工場)のCO2排出量削減のため、連絡を取ったのが、電力契約で付き合いのあったTGESでした。当時、TGESの営業担当であった松尾は次のように話します。

「お声がけがあったのは2023年ごろのことです。タカラスタンダード社さまとは電力契約を通じてお付き合いがありましたが、当時はまだ、脱炭素に関する具体的なお取り組みの実績はありませんでした。それでも、関東に広くエネルギーを届けている東京ガスグループだからこそ、と信頼を寄せてお声がけをいただいた。それならば、エネルギーに関する『IGNITURE』の様々なソリューションをご提案することで、タカラスタンダード社さまにとって最適な解決策をお示しできるのではないかと考えました」(松尾)

次の一歩を明確にする、実行を見据えたロードマップ

タカラスタンダード社のCO2削減目標の達成に向けて、まず描いたのが、具体的な道筋となる脱炭素ロードマップでした。東京ガスグループはTGESの営業、省エネ診断を担う技術部門、そして久保たち環境コンサルティングの3者でチームを組んで臨むことに。

このロードマップに決まった型はありません。製造業のお客さまは、工場でつくっている製品も、保有している生産設備も一社ごとに異なるため、既存のテンプレートをそのまま当てはめることはできないのです。だからこそ、企業ごとの実態に合わせたオーダーメイドの計画を描く必要があります。

環境コンサルティングを担当した久保は、まずTGESと連携して現場調査を行い、ヒアリングとあわせて、エネルギー使用の現状や課題を詳細に把握しました。そのうえで、課題の解決に向けた施策を検討し、各施策のCO2削減効果や費用対効果を定量的に評価。効果の高い施策から優先順位を整理し、将来の目標達成に向けて、いつまでに、どの水準まで削減を進めるのか、具体的なロードマップを描いていきました。省エネ診断を含め、策定にかけた期間はおよそ半年でした。

「意識しているのは、自社の商材ありきで考えず、削減につながる施策をすべて洗い出すことです。なかには設備を入れ替えなくても、運用を見直すだけで省エネになるものもある。それは当社のサービスにはつながりませんが、お客さまにとって最適であればご提案します。現場に足を運ばなければ見えてこないことが多いので、一社ごとに一から作り上げていく感覚です」(久保)

実際、TGESの強みは営業窓口の提案力だけではありません。設備に精通した「技術部隊」が同行するため、現場のより深いニーズをキャッチし、より本質的な提案ができる点にあります。

脱炭素への機運が高まるなか、企業に求められるのは目標を掲げることだけではありません。次のフェーズを見据えて、目標をどのように実現していくのかが問われています。久保が策定したロードマップは、実行に向けた具体的な道筋を示すもの。これを指針に、プロジェクトは動き出しました。

グループの知見で導いた環境性と経済性の最適解

久保たちがまとめたロードマップには、施策の一つとして太陽光発電が盛り込まれていました。しかし、タカラスタンダード社側から「太陽光発電は自社でも検討したことがあるが、屋根の耐荷重がネックになって断念した」という声が上がりました。その言葉の裏にある「本当は導入したい」というお客さまの想いを、久保は聞き逃しませんでした。

「そのお話を伺った瞬間、『耐荷重といえばヒナタオソーラーだ』と頭に浮かびました。“断念した”という言葉の裏には、入れられるものなら入れたいという想いがあるはずです。従来とは違う工法も当社にはあります、とその場でご説明しました」(久保)

「ヒナタオソーラー」は、IGNITUREブランドを代表する太陽光発電サービスです。一般的なガラスパネルに加えて、樹脂封止によって薄型・軽量化したパネルもそろえ、屋根の耐荷重に不安がある建物でも、それぞれの条件に合った最適な設置方法を検討できます。

「重いものを載せられない屋根でも、ご提案できる選択肢を複数用意しています。ただパネルを仕入れるだけならどの会社でもできますが、私たちはその軽いパネルに最も相性の良い施工方法(接着材を用いた独自の接着工法)まで自社で検証・確立しました。風に耐える強度や、長期にわたる維持管理までJIS規格などの厳しい基準に準拠した形で、責任をもってご提案できる。そこがヒナタオソーラーの強みです」(霧生)

霧生たちは、工場の屋根の状態や、どの程度の重さまで耐えられるのかを一つひとつ確認していきました。その結果わかったのは、軽量パネルに頼らなくても、通常のガラスパネルを十分に設置できるということ。ガラスパネルであれば初期費用を抑えられ、そのぶんコストも下がるため、お客さまの経済性は高くなります。

タカラスタンダード 関東工場(第二工場)に設置された太陽光パネル

工場では現在、太陽光発電設備の施工が進んでいます。お客さまとの具体的なやり取りはヒナタオソーラーのチームが担い、進捗はTGESの営業にも随時共有されています。
部門をまたいだ連携がスムーズに進む背景には、チーム間で日頃から知識やノウハウを共有する習慣があります。

「霧生や久保のチームが、私たち営業に向けて勉強会を定期的に開いてくれるんです。おかげで、お客さまのところへ何も知らない状態で伺うことがありません。入口の部分は自分たちでお話しできますし、どんな点を伺っておけば担当チームが動きやすいのかもわかっている。だから話が早く進みます。それに、私たち3人はいずれも製造業を担当する産業分野の法人営業を経験してきたので、一から説明しなくても話が通じるんですよね」(松尾)

お客さまとともに成長し、脱炭素のあるべき姿を追求する

今回のプロジェクトに関わった3名は、IGNITUREの価値をどう捉えているのでしょうか。

「お客さまが求めているのは特定のソリューションではなく、CO2削減目標を実現するための手段です。時代や社会のトレンドは変わるため、ロードマップは一度つくって終わりではありません。その変化に合わせ、お客さまの『長期的に寄り添うパートナー』として何度も計画をアップデートし、次の一手を共に形にしていく。それこそが私たちの果たすべき役目であり、IGNITUREの本当の価値だと思います」(久保)

「営業の窓口として、お客さまの『困りごと』に対して常に意識しているのは、できることとできないことをあいまいにせず、はっきりと明確にしてお伝えするスタンスです。
はっきりと事実をお伝えした上で、どうすれば突破できるかを一緒に考える。
それこそが、IGNITUREというブランドの価値、すなわちお客さまからの『信頼感』にも繋がっていくと考えています。
『東京ガスグループなら、何でも相談できる』と思っていただけるような、お客さまに寄り添い、課題解決まで共にする実行パートナーを目指し、ゆくゆくは日本各地の同じように悩む企業を後押ししていきたいですね」(松尾)

「意識しているのは、関わる全員の“Win”をどれだけ見つけられるかです。誰かが無理をする解決策は長続きしません。だからこそ、既存の提案に満足せず、お客さまと私たちが同じ目線に立ち、お互いにWinとなるポイントを常に探し続けることが重要です。その泥臭いプロセスの先にこそ、これまでにない『新たな解決策』を創り出すことができる。そう信じています。社外にも社内にも同じスタンスで向き合いながら、一緒に成長していきたいです」(霧生)

タカラスタンダード株式会社 ご担当者さまの声

省エネにはこれまでも継続して取り組んできましたが、さらなる削減余地をどこに見いだし、何から取り組むべきかが課題になっていました。2030年の目標達成に向けて、社内でさまざまな議論を重ねる中で、次の一手をより具体的に描くために、専門的な知見も取り入れたいと考えていました。
東京ガスさんのご提案で印象的だったのは、内容がとても具体的だったことです。現場をしっかり見たうえで、どの施策にどれだけの効果があるのかを数字で示し、取り組む順番まで整理していただきました。手をつけやすい改善だけでなく、大がかりな設備更新まで含めて、工場全体で何ができるのかが見えました。私たちの迷いに寄り添い、計画から実行まで伴走してくださった東京ガスグループの皆さまには、本当に感謝しています。


目標を掲げる段階から、実行する段階へ。脱炭素への道筋は一社ごとに異なり、決まった正解はありません。だからこそ、計画づくりから設備の導入、その先の運用まで、同じ目線で伴走するパートナーの存在が大きな意味を持ちます。タカラスタンダード社の工場で進む太陽光発電設備の施工は、その確かな一歩。IGNITUREはこれからも、お客さまとともに歩み続けます。

●IGNITURE

ソリューション事業ブランド「IGNITURE」に関しての詳細はこちらからご確認いただけます。

●ソリューションのご紹介
ヒナタオソーラー | 東京ガス
環境コンサルティングサービス | 東京ガス・TGES

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