プレスリリース

「東京駅前八重洲エリア」の防災力・環境性を向上させる新たなエネルギー拠点 三井不動産・東京ガスの連携による「八重洲エネルギーセンター」が竣工

~東京ミッドタウン八重洲、八重洲地下街に今秋より供給開始~

2022年8月1日
三井不動産株式会社
東京ガス株式会社

八重洲スマートエネルギープロジェクトの概要

(1)東京駅前の八重洲エリアにおけるスマートエネルギープロジェクト
・「日本の玄関口」東京駅の八重洲口前に位置する「東京ミッドタウン八重洲」ならびに、都内最大の売り場面積を誇る地下商店街である「八重洲地下街」を対象に自立分散型のエネルギー(電気・熱)供給を実施
・防災力・環境性の強化により、高い国際競争力を有した街づくりに貢献

(2)高いエネルギーレジリエンスによる防災力の向上
・高い耐震性をもつ中圧の都市ガス導管が実現する安定的なエネルギー供給、中圧の都市ガスを燃料とした大型CGS※1と系統電力による電源の多重化により、災害時・非常時の企業の事業継続に貢献
・バスターミナルや小学校、一時滞在施設等の公益施設にも電気と熱を継続供給し、街の防災力向上に貢献
・電力需給逼迫時の電力不足解消に貢献

(3)エネルギーの地産地消により省エネ・省CO2に貢献
・CGS発電時の廃熱の有効活用と高効率機器の採用、ICTを活用したエネルギーマネジメントシステム(以下「EMS」)による機器の最適運転により、一般的なビルと比較して約26%のCO2排出量を削減
・トラッキング付非化石証書の活用により実質的な「電力グリーン化」も実現し、企業のRE100への取り組みに貢献

※1 コージェネレーションシステムの略称。都市ガス等を燃料に電力と熱をオンサイトで製造し、総合効率の高いエネルギーを供給するシステム

 三井不動産株式会社(所在:東京都中央区、代表取締役社長:菰田正信、以下「三井不動産」)と東京ガス株式会社(所在:東京都港区、代表執行役社長:内田高史、以下「東京ガス」)が共同で設立した三井不動産TGスマートエナジー株式会社(所在:東京都中央区、代表取締役社長:水元潔、以下「三井不動産TGスマートエナジー」)は、7月31日に「八重洲エネルギーセンター」を竣工しました。2022年9月1日より、「東京ミッドタウン八重洲」と「八重洲地下街」への電気と熱の安定供給を開始し、「八重洲スマートエネルギープロジェクト」(以下「本プロジェクト」)が始動することをお知らせします。

供給エリア

本プロジェクトの特長

 本プロジェクトは、三井不動産TGスマートエナジーが2019年4月に供給を開始した「日本橋スマートエネルギープロジェクト」、2020年4月に供給を開始した「豊洲スマートエネルギープロジェクト」に続く第三弾となり、東京駅前に広がる八重洲エリアに自立分散型のエネルギー供給を行うことで、日本の交通および経済の重要拠点である八重洲の国際競争力をさらに向上させる取り組みです。供給先には、オフィス・商業・ホテルに加えバスターミナル・小学校を含むミクストユース※2型の大規模再開発である「東京ミッドタウン八重洲」だけでなく、既存施設であり都内最大の売り場面積を誇る地下商店街である「八重洲地下街」も含まれており、街全体の防災力と環境性の向上に貢献します。また、隣接地区で現在開発が進行中の「八重洲二丁目中地区第一種市街地再開発事業」においても、完成後の建物にエネルギーの供給を予定しています。

 三井不動産と東京ガスは、地域の特性・街の発展に応じたスマートエネルギープロジェクトに取り組み、レジリエントでエコフレンドリーな街づくりを推進してまいります。
※2 一つの建物、街区等に住宅、店舗、オフィス、文化施設など複数の用途をもたせること

(1)東京駅前の八重洲エリアにおけるスマートエネルギープロジェクトを実施

 八重洲エリアは、1914年の東京駅開業、1929年の八重洲口の開設をきっかけに、地方から企業・ビジネスパーソンが集まる「日本経済の中心地」として、さらに、日本を代表する企業が八重洲を拠点に東京に進出し、日本そして世界各国へと活動を広げていく出発点になりました。また、経済だけでなく、日本全国につながる新幹線をはじめ、鉄道、地下鉄、バスなどが結節する「日本の玄関口」ともいえる街でもあり、防災力と環境性の向上が重要な課題と考えています。本プロジェクトでは、CGSを中心とした自立分散型のエネルギーシステムを東京駅前の再開発「東京ミッドタウン八重洲」内に整備し、八重洲エリアへの非常時のエネルギー供給を継続するとともに、平常時は最新のICTを活用した効率的な機器運転などによる省CO2を実現し、ここ八重洲エリアの国際競争力向上に貢献します。

エネルギーフロー図

(2)高いエネルギーレジリエンスにより街の防災力を向上

本プロジェクトは、街の防災力向上を実現する以下の特長を持ちます。

・非常時にもBCP※3に必要な電気と熱の供給(年間ピークの50%)が可能
 本プロジェクトでは、中圧の都市ガスを燃料とする大型のCGSを導入しており、系統電力停電時にも中圧の都市ガスの供給が継続する限りCGSによる発電が可能です。また、断水時にも、蓄熱槽の水を熱源機器の冷却水として有効活用することにより、熱供給を継続します。非常時には、地域の防災拠点機能の核となる城東小学校に加え、バスターミナルや帰宅困難者のための一時滞在施設といった公益施設にも電気と熱を継続して供給し、近隣エリア含む都市の防災力向上に貢献します。また、バスターミナルへのエネルギー供給も行うことで、被災者の輸送にバスを活用することも可能となり、災害時における重要な役割を担うことが期待できます。
※3 Business Continuity Planの略。企業の事業継続計画

CGSイメージ

・災害時の信頼性が高い中圧の都市ガス導管からの都市ガス供給
 CGSの燃料となる中圧の都市ガス導管は、大きな地盤変動にも耐えうる強度や柔軟性に優れた「溶接接合鋼管」を採用。さらに中圧の都市ガス導管は、供給ルートをループ化しており、高い供給安定性を確保しています。

・プラントの防災対策を徹底
 本プロジェクトのプラントは、地震の影響の少ない地下に、揺れに強い構造で設置しています。また、万が一の浸水被害に備え、プラントに水が入らないように地下4階から地上2階まで壁を立ち上げた「つぼ型潜水艦構造」を採用。災害からプラント自体を守ることで、非常時にもエネルギー供給を継続します。

・電力需給逼迫時の電力不足解消に貢献
 現下、電力需要が高まる夏季・冬季における電力需給逼迫が見込まれています。本プロジェクトは、分散型電源であるCGSの発電により平常時から系統電力の負荷を軽減し、電力需給バランスの安定化に寄与します。さらに、電力需給逼迫時に系統からの要請があった際には、CGSの発電電力を八重洲エリアに供給した上で、余った電力を系統に融通することで、電力需給逼迫の解消に貢献します。

バスターミナル東京八重洲(CG)

電力需給逼迫解消に貢献

(3)エネルギーの地産地消により省エネ・省CO2に貢献

 本プロジェクトで導入するCGSは、高いレジリエンス性を有するとともに、一般的な火力発電所の発電効率約40%※4に比べて高いエネルギー効率(発電効率48.5%※5、廃熱利用も含めた総合エネルギー効率77%)での運転による省エネを実現します。CGSを含む省エネの仕組みにより、一般的なビルに比べてCO2排出量を約26%削減可能です。

<省エネの仕組み>

  • CGSを活用して高効率で発電するとともに、発電時の廃熱を有効活用して熱供給を実施
  • ICTを活用したEMSを構築し、エリア全体で最適運転を計画・制御

 最新のICT技術により、過去のエネルギー需要実績や天気予報、スケジュール等の情報が蓄積されたビックデータを分析することで、翌日のエネルギー需要を予測。需要に基づきCGSを含む各熱源機器の最適運用を実現することで、効率的なエネルギー供給を実現します。
※4 省エネ法における電力の一次エネルギー換算係数に基づく
※5 メーカーカタログ値に基づく


 また、本プロジェクトが供給する電力は、三井不動産の「グリーン電力提供サービス」の対象となります。本プロジェクトでは、三井不動産が保有・開発した全国5か所の太陽光発電所の環境価値を「トラッキング付非化石証書」として付加することで、実質的な再生可能エネルギーとして電力を提供、使用電力の「グリーン化」を実現します。

EMS概念図

中央監視室のEMSイメージ図

エネルギーセンター概要

供給開始予定日 2022年9月1日
設置場所 東京都中央区八重洲二丁目2番1号
エネルギーセンター延床面積 約12,300m2
供給対象面積 約18,000m2
供給対象延床面積 約350,000m2
予定供給能力 電力:21,600kW
冷熱:約120GJ/h
温熱:約105GJ/h
主要設備 ガスエンジン 7,800kW×2台
廃ガスボイラ 4t/h×2台
廃熱投入型蒸気吸収式冷凍機 1,500RT×2台
蒸気吸収式冷凍機 900RT×1台
ターボ冷凍機 1,300RT×3台
蒸気ボイラ 3t/h×8台(ガス専焼)、2t/h×4台(ガス・油切替)

三井不動産のSDGsの取り組み https://www.mitsuifudosan.co.jp/esg_csr/

 三井不動産グループは、「共生・共存」「多様な価値観の連繋」「持続可能な社会の実現」の理念のもと、人と地球がともに豊かになる社会を目指し、環境(E)・社会(S)・ガバナンス(G)を意識した事業推進、すなわちESG経営を推進しております。当社グループのESG経営をさらに加速させていくことで、日本政府が提唱する「Society 5.0」の実現や、「SDGs」の達成に大きく貢献できるものと考えています。
また、2021年11月には「脱炭素社会の実現」、「ダイバーシティ&インクルージョン推進」に関し、下記の通りグループ指針を策定しました。今後も、当社グループは街づくりを通じた社会課題の解決に向けて取り組んでまいります。

【参考】

東京ガスのSDGsの取り組み

 東京ガスは、創業以来、事業活動を通じて、環境問題やエネルギーの安定供給および保安の維持・向上といった社会課題の解決に取り組んでいます。「国土強靭化基本計画」においてエネルギーにもレジリエンスが求められる中、阪神・淡路大震災、東日本大震災規模の地震においても、安定したエネルギー供給を実現する都市ガスの供給網を整備するなど、対災害性の強化を図っています。また、自立分散型電源であるCGSの導入などによりエネルギーを面的に有効活用する地域エネルギー供給事業に約半世紀にわたって取り組んでおり、都市におけるエネルギーレジリエンスの向上と環境共生の実現を目指しています。グループ経営ビジョン「Compass2030」においても、持続可能な社会の実現に向けた取り組みの一つとして「天然ガスを活用したレジリエンス機能の強化」を掲げており、分散型エネルギーシステムの拡大により、非常時にもエネルギー供給が継続可能な災害に強い暮らし・街づくりを推進しています。

 本プロジェクトは、三井不動産TGスマートエナジーがCGSを中心とするエネルギーセンターを設置し、電気と熱の地産地消により環境に優しく、災害に対して強靭な街に深化させる取り組みです。都市の安心・安全の確保と環境負荷の低減を行い、持続可能な社会の実現を目標とするSDGsの達成に貢献します。
 本プロジェクトにおいては、以下の5つの目標の進捗へ寄与する活動となります。

<添付資料>

三井不動産TGスマートエナジー株式会社 会社概要

会社名 三井不動産TGスマートエナジー株式会社
所在地 本店:東京都中央区日本橋室町二丁目1番1号
設立 2016年3月9日
資本金 100百万円
代表者 代表取締役社長 水元 潔
株主 三井不動産株式会社(持株比率:70%)、東京ガス株式会社(持株比率:30%)

「東京ミッドタウン八重洲」概要

街区名称 東京ミッドタウン八重洲
施行者 八重洲二丁目北地区市街地再開発組合
所在地 東京都中央区八重洲二丁目地内 他
用途 (A-1街区)事務所、店舗、ホテル、小学校、バスターミナル、駐車場 等
(A-2街区)事務所、店舗、子育て支援施設、駐輪場、駐車場、住宅 等
区域面積 約1.5ha
敷地面積 (A-1街区)12,390m2 (A-2街区)1,043m2(合計)13,433m2
延床面積 (A-1街区)約283,900m2 (A-2街区)約5,850m2(合計)289,750m2
階数/最高高さ (A-1街区)地上45階 地下4階 ペントハウス2階/約240m
(A-2街区)地上7階 地下2階 ペントハウス1階/約41m
設計/施工 基本設計・実施設計・監理:株式会社日本設計
実施設計・施工:株式会社竹中工務店
マスターアーキテクト:Pickard Chilton
スケジュール 2022年8月末日竣工予定
商業施設:2022年9月17日先行オープン予定、2023年3月グランドオープン予定

東京ミッドタウン八重洲 完成予想

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