プレスリリース
KAWASAKI DELTA 「サスティナブルなまちづくり」の実践
~ 大規模複合開発ビルで国内初ZEB化/カーボンニュートラル都市ガス導入 ~
2021年6月25日
東日本旅客鉄道株式会社
株式会社ジェイアール東日本ビルディング
東京ガス株式会社
○東日本旅客鉄道株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:深澤 祐二、以下「JR 東日本」)が開発し、2021年4月に街区全体完成を迎えた「KAWASAKI DELTA(カワサキデルタ)」では、脱炭素の実現に向けて「サスティナブルなまちづくり」を実践しています。
○このたび、JR 東日本はカワサキデルタにおいて、2021年6月7日付で、各主用途にてZEB Ready他ZEB(Zero Energy Building)カテゴリーを複数取得しました。なお、10万m2超級の大規模複合開発ビルでのZEBカテゴリー複数取得は国内初※となります。
○また、株式会社ジェイアール東日本ビルディング(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:石川 明彦)と東京ガス株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:内田 高史、以下「東京ガス」)は、カーボンニュートラル都市ガス(以下「CN都市ガス」)供給に関する契約を締結し、脱炭素社会の実現に向けた取り組みの一つとして、カワサキデルタでCN都市ガスを導入しています。本取り組みにより、年間約2,800トンのCO2削減に貢献します。
※(一社)住宅性能評価・表示協会HPを参照(2021/6/7時点)、建築物省エネ法上の用途分類「工場等」及び庁舎・官公庁施設を除く
1. ZEB(Zero Energy Building)カテゴリーの複数取得
JR東日本は、カワサキデルタの各主用途にて、ZEB認証(オフィス部分「ZEB Ready」/ホテル部分「ZEB Oriented」/フィットネス・コンファレンス他部分「ZEB Oriented」)をそれぞれ取得しました。今回国内で初めて、10万m2超級の大規模複合開発ビルの主用途でのZEBカテゴリー複数取得となります。
(参考)ZEBについて
ZEBとは、建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)において、基準一次エネルギー消費量に対する省エネ+創エネによる正味の削減率に応じてZEB Oriented/ZEB Ready/Nearly ZEB/ZEBが認証となるエネルギー特化型の環境性能評価指標です。2014年4月に閣議決定した第4次エネルギー基本計画(経済産業省)では「2030年までに新築建築物の平均でZEB化を目指す」とされており、脱炭素社会の実現にむけたロードマップにおいて、政策上の重要な普及目標と位置付けられています。
ZEBの実現・普及のために経済産業省が設置した「ZEBロードマップフォローアップ委員会」にて、大規模・複合用途のZEB化に対する課題が提起されており、その中で今回、大規模・複合開発ビルでZEBカテゴリーを複数取得したことは大きな意義があるものと考えています。
【その他の環境性能評価指標の取得】
カワサキデルタは、その他の指標について、CASBEE-建築(新築)にて最高評価Sランクを取得しました。
2. カワサキデルタにおける環境配慮の取り組み
(1)CN都市ガスの導入
カワサキデルタでは、脱炭素社会の実現に向けた取り組みの一つとして、CN都市ガスを導入しています。今回導入したCN都市ガスは、東京ガスがシェルグループから購入したカーボンニュートラルLNG(CNL)を活用したものです。天然ガスの採掘から燃焼に至るまでの工程で発生する温室効果ガスとCO2クレジットを相殺(カーボン・オフセット)することで、燃焼しても地球規模ではCO2が発生しないとみなされるものです。なお、対象となるCO2クレジットは、信頼性の高い検証機関が世界各地の環境保全プロジェクトにおけるCO2削減効果をCO2クレジットとして認証したものとなります。
【CN都市ガス 供給概要】
供給サイト | カワサキデルタ JR川崎タワーオフィス棟・商業棟 |
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供給量 | 年間98万m3 |
供給開始時期 | 2021年4月 |
導入機種 | CGS 700kW×2台/ジェネリンク(廃熱投入型ナチュラルチラー)×2台/ボイラ×3台 |
CO2削減効果 | 年間2,800トン |
(参考)CGS(コージェネレーションシステム)について
CGSは、電気をつくる際の廃熱を冷房・暖房・給湯などに有効利用する省エネ性の高い環境に優しいシステムです。また、災害に強い中圧ガスを燃料とし、停電時も電力供給が可能となるため、建物のエネルギーセキュリティを高めることも可能です。脱炭素の実現に向けては、省エネルギー化とともに、自然災害へのレジリエンス対応の観点も重要であり、再生可能エネルギーの導入拡大とともにそれを補完するCGSのような分散型リソースの役割が高まるものとされています。
カワサキデルタでは、700kW×2台のCGS導入により、本開発ビル全体の電力需要の約24%を賄う発電量と、熱需要の約31%を賄う廃熱利用を想定しています。
(2)導入したその他主な環境配慮メニュー
〇日射の遮蔽を目的として、水平庇・縦フィンによる彫りの深い外装パッシブデザインを採用しています。合わせて、Low-Eペアガラスや日射遮蔽制御型ブライトを採用し、空調負荷低減を図っています。
〇オフィス専用部にて、センサー制御システムLED照明を採用し、画像センサーによる人検知・点滅や明るさセンサーによる調光を可能とし、効率的な照明制御を実現しています。
〇屋上緑化などを含めて敷地全体に対して緑被率15%を確保すると共に、在来種など「地域の植物」による植栽や、地域の自然的魅力を紹介する外構ネイチャーサインを随所に設置し、地域環境の保全やまちなみ・景観への配慮を行なっています。
3. JR東日本グループ「ゼロカーボンチャレンジ2050」
JR東日本グループは、グループ経営ビジョン「変革2027」において「ESG経営の実践」を経営の柱と掲げ、環境長期目標「ゼロカーボンチャレンジ2050」を設定し、2050年度のCO2排出量の「実質ゼロ」に挑戦しています。
カワサキデルタでは、その経営ビジョンに基づく「サスティナブルなまちづくり」を志向し、建物主用途のZEB化や、CN都市ガスの導入などを実施しました。本街区開発は、脱炭素の実現に向けた先導的な取り組みの一つと位置付けられます。
4. 東京ガスグループ「CO2ネット・ゼロへの挑戦」
東京ガスは、グループ経営ビジョン「Compass2030」において、東京ガスグループの事業活動全体で、お客さま先を含めて排出する CO2をネット・ゼロにすることに挑戦すると掲げています。CN都市ガスなどの新たなソリューションの提供により、お客さまとともに地球規模での環境負荷低減への取り組みを推進してまいります。
別紙
<KAWASAKI DELTA(カワサキデルタ) 全体概要>
JR川崎タワー オフィス棟 | JR川崎タワー 商業棟 | ホテルメトロポリタン 川崎 | |||||||||||||||||||||||||
事業主体 | 東日本旅客鉄道株式会社 | ||||||||||||||||||||||||||
所在地 | 神奈川県川崎市幸区大宮町1番地5 | ||||||||||||||||||||||||||
敷地面積 | 約12,400m2 | ||||||||||||||||||||||||||
延床面積 | 約137,000m2 | ||||||||||||||||||||||||||
階数 高さ |
地上29階/地下2階 約128m |
地上5階/地下1階 約27m |
地上16階 約59m |
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施設概要 |
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設計・監理 | 株式会社JR東日本建築設計 [構造設計協力(オフィス棟):大成建設株式会社一級建築士事務所 ホテルインテリアデザイン監修 :SUPPOSE DESIGN OFFICE Co., Ltd.] |
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施工 | 大成建設株式会社 | ||||||||||||||||||||||||||
街区全体完成 | 2021年4月 |