東京ガスネットワーク トピックス
「破面画像解析AIの開発」が日本ガス協会「2024年度 技術賞」を受賞
2024年11月6日
東京ガスネットワーク株式会社と大阪ガス株式会社は、「破面画像解析AIの開発」について、一般社団法人日本ガス協会の「2024年度 技術賞(サービス技術部門)※1」を受賞しました。この賞は、ガス事業およびガス事業者の健全な発展と都市ガスの普及に貢献する優れた技術を表彰するものです。
*1「2024年度技術⼤賞・技術賞」の詳細はこちら
配管や圧力容器等の破損の原因究明を行う「破壊モード推測業務」は、高度な専門性や経験が必要とされますが、その人材不足がガス業界・エネルギー業界も含む産業界共通の問題となっています。この業務へのAI適用に向けて、破面画像から破壊モードを判別するAIシステムを開発・実用化したことが評価され、今回の受賞となりました。
東京ガスネットワークは、保安と安定供給に資する技術開発に、最新技術も取り入れながら邁進し、 安心・安全・信頼をより高めた、持続可能で快適な社会の実現を目指します。
「破面画像解析AIの開発」について
【開発概略】
各種設備の破壊・破損時、原因究明のため、破壊・破損した部分の面(以下、破面)の拡大画像を観察し破壊モードを推測していますが、高度な専門性や経験が必要な状況です。
この業務へのAI適用に向け、破面画像から破壊モードを判別するAIシステムを、複数企業等協働体(コンソーシアム)において開発・実用化しました。
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【開発の背景】
配管、圧力容器等の各種設備の破壊・破損時、再発防止策、対外説明等に向けた原因究明のため、破面の顕微鏡による拡大画像を観察し破壊モードを推測してきました。
破壊 | 延性(Ductile) 材料が変形した後に破断 |
脆性(Brittle) 材料がほとんど変形せず破断 |
疲労(Fatigue) 小さな負荷の繰り返しで破断 |
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破面 画像 |
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名称 | ディンプル(Dimple):窪み | ファセット(Facet):切子面 | ストライエーション(Striation):平行溝 |
状態 | 引きちぎられたような状態 | 脆く割れたような状態 | 亀裂が徐々に進んだような状態 |
破壊モード推測には高度な専門性や経験が必要な状況ですが、その人材不足がガス業界・エネルギー業界も含む産業界共通の問題となっています。
そのため、破面画像から破壊モードを判別するAIを開発・実用化し、上記背景における問題解決を進めました。
【開発体制】
信頼性の高いAIの開発に向けて、企業、大学、研究機関等約30団体によるコンソーシアム(協働体)「FraD※2」を設立し、開発を進めました。
※2:フラクトグラフィとディープラーニングの融合研究コンソーシアムの略称:Fractography × Deep learning
【開発内容】
2種類の機能(❶性状分類AI ❷起点推定AI)を有する破面画像解析AIを開発し実用化し,破壊モード判別に役立てています。
機能❶性状分類AI
(破面の種類を判別、分類するAI)
画像より、複数の小領域を抜き出して解析
小領域毎に確率付きで判別 → 説明補強
機能❷起点推定AI
(破壊の起点~最終を推定するAI)
画像を、破壊の起点、亀裂進展部、最終破断部等に領域分け
領域毎にラベルを付与し、塗り分け画像を作成