【エピソード5】僕が思い描く共生社会の実現に向けて。

僕が思い描く共生社会の実現に向けて。

東京2020大会を終えて感じた社会の変化。
それは、共生社会の実現に向けた大きな一歩。

東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(以下東京2020大会)を契機に、日本におけるパラスポーツ、障がい者に対する理解度は日に日に高まっているように感じます。メディアや講演会に呼ばれる機会が増えただけでなく、買い物や食事に出かけた時もスムーズに案内していただけるようになりました。これも、東京2020大会を通じて、障がい者の存在が広く認識されるようになったからだと思います。とはいえ、僕たちが暮らす社会は、急には変わりません。まずは「知る」ことから始まります。障がい者に対して関心を持てば、街で白い杖を持った視覚障がい者を見かけた時に、「どうしたらいいだろうか」と考えを巡らせることもできるでしょう。反対に障がい者の存在を知らなければ、同じような場面に遭遇しても、動揺したり、何もできずに終わってしまうかもしれません。パラリンピックは社会を変えるきっかけになると言われていましたが、東京2020大会をきっかけに、誰もが暮らしやすい社会の実現に向けて一歩を踏み出したと感じています。

導管工事現場のユニバーサル診断トライアル 導管工事現場のユニバーサル診断トライアル

オフィスで展示パネルに点字ラベルを作成して貼付する様子 オフィスで展示パネルに点字ラベルを作成して貼付する様子

「知る」から「行動」へ。
その人が求めていることを探るコミュニケーションを。

障がい者の存在や障がいに対する理解が深まる一方で、難しいのは「知る」の先にある「行動」につなげること。先ほどの例を挙げれば、白い杖を持って歩いている人に対して手を差し伸べたいけど、どうしたらいいのかわからないという人も多いと思います。まず最初に知っておいていただきたいのは、「見えない人が何に困っているのかは、その瞬間、その人によって異なる」ということ。たとえ駅のホームを歩いているからといって電車に乗りたいとは限りませんし、そもそも歩き慣れた場所ではまったく困ることがない、という人もいます。困っていることや必要とすることも千差万別で、画一的な答えがないからこそ、相手とコミュニケーションを取ることが大切。「何かお困りですか?」「お手伝いしましょうか?」と声をかけて、その人の求めていることを探るところから始めてもらえるとうれしいです。

社内で視覚障がい者への声かけの研修なども実施 社内で視覚障がい者への声かけの研修なども実施 社内で視覚障がい者への声かけの研修なども実施

僕が思い描く共生社会の形は
「違い」を楽しむ社会。

パラリンピックでの金メダル獲得という人生最大の目標を達成した東京2020大会、パラスポーツへの関心を高め、スポーツの楽しさを思い出してもらうために挑んだハーフマラソン、いろんな立場の人の可能性を広げるために臨んだメディアへの出演……。様々な経験と出会いを通じて、見えてきた共生社会の形があります。それは、多種多様な人が存在することを特別と感じずに、むしろお互いの「違い」を楽しむ社会。世の中には本当に多様な人が存在します。性別、年齢、人種、国籍など、違いが生まれるのは当然のこと。それを我慢して受け入れるのではなく、「この人はどんな人だろう」と相手に対して好奇心を持ち、その「違い」を楽しめるような社会になると良いと思っています。そんな社会を実現するためには、障がい当事者はこれまで以上に自分たちの存在を知ってもらう努力もする必要がありますし、障がい者と健常者が対話する機会を増やしていくことも大切でしょう。障がいがある・ないを気にすることなく、誰もが遠慮せず暮らせる共生社会の実現に向けて、自分にできることに取り組んでいきたいです。

共生社会の実現に向けた想いを語る 共生社会の実現に向けた想いを語る 共生社会の実現に向けた想いを語る

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