東京ガスグループトピックス

エネルギー地産地消・CO₂排出量を約26%削減◆八重洲スマートエネルギープロジェクト

2022年12月18日

(撮影時のみマスクを外しております)

「日本の玄関口」東京駅。その八重洲口前に位置し、オフィス・商業・ホテルに加えバスターミナル・小学校を含むミクストユース※1型の大規模再開発である「東京ミッドタウン八重洲」、そして都内最大の売り場面積を誇る地下商店街「八重洲地下街」への電気と熱の安定供給を行う「八重洲スマートエネルギープロジェクト」が、2022年9月に始動しました。
本プロジェクトの取り組み内容と、その特長をご紹介します。

※1…一つの建物、街区等に住宅、店舗、オフィス、文化施設など複数の用途をもたせること

「八重洲スマートエネルギープロジェクト」とは

三井不動産株式会社と東京ガスが共同で設立した三井不動産TGスマートエナジー株式会社による「八重洲スマートエネルギープロジェクト」が2022年9月に始動しました。
東京駅前八重洲エリアの新たなエネルギー拠点「八重洲エネルギーセンター」から、東京ミッドタウン八重洲および八重洲地下街へエネルギー(電気・熱)を供給します。

三井不動産TGスマートエナジー株式会社による「スマートエネルギープロジェクト」は、”面的なエネルギーレジリエンスの向上”と”地球環境に優しい街の実現”が日本の都市にとって大きな課題と認識している三井不動産株式会社と、”都市におけるエネルギーレジリエンス向上”と”環境共生の実現”を目指す東京ガスが、両者の強み・ノウハウを活かし、街全体にエネルギーネットワークを構築することで、平常時・非常時問わずエネルギーの安定供給をおこない、レジリエントでエコフレンドリーな街づくりを推進する取り組みです。

八重洲スマートエネルギープロジェクト(東京ミッドタウン八重洲)

2019年4月に供給を開始した「日本橋スマートエネルギープロジェクト」、2020年4月に供給を開始した「豊洲スマートエネルギープロジェクト」に続いて第三弾となる本プロジェクトでは、「日本経済の中心地」であるだけでなく、日本全国につながる”日本の大動脈”新幹線をはじめ、鉄道、地下鉄、バスなどが結節する「日本の玄関口」といえる「東京駅前八重洲エリア」の防災力と環境性向上を実現します。

日本橋スマートエネルギープロジェクト
(日本橋室町三井タワー)

豊洲スマートエネルギープロジェクト
(豊洲ベイサイドクロスタワー)

 

本プロジェクトでは、ガスコージェネレーションシステム※2を中心とした自立分散型のエネルギーシステムを東京駅前の再開発「東京ミッドタウン八重洲」内に整備し、八重洲エリアへの非常時のエネルギー供給を継続して防災力を向上するとともに、平常時は最新のICT(情報通信技術)を活用した効率的な機器運転などによる省エネ・省CO₂を実現します。

「八重洲スマートエネルギープロジェクト」の2つの特長、
・高いエネルギーレジリエンスによる防災力の向上
・エネルギーの地産地消による省エネ・省CO₂に貢献
について詳しくご紹介します。

※2…都市ガス等を燃料に電力と熱をオンサイトで製造し、総合エネルギー効率の高いエネルギーを供給するシステム

高いエネルギーレジリエンスによる防災力の向上

コージェネレーションシステム

ジェネリンク

ターボ冷凍機

蒸気ボイラ

特別高圧用変圧器


非常時にもBCP※3に必要な電気と熱の供給(年間ピークの50%)が可能

災害に強い中圧の都市ガスを燃料にガスエンジンで発電し、その廃熱も無駄なく回収して、蒸気や温水として利用する大型のコージェネレーションシステムを導入しております。

系統電力停電時にも中圧の都市ガスの供給が継続する限りコージェネレーションシステムによる発電が可能です。
また、断水時にも、蓄熱槽の水を熱源機器の冷却水として有効活用することにより、熱供給を継続します。
 

非常時には、地域の防災拠点機能の核となる城東小学校に加え、バスターミナルや帰宅困難者のための一時滞在施設といった公益施設にも電気と熱を継続して供給し、近隣エリア含む都市の防災力向上に貢献します。

また、バスターミナルへのエネルギー供給も行うことで、被災者の輸送にバスを活用することも可能となり、災害時における重要な役割を担うことが期待できます。

※3…Business Continuity Planの略。企業の事業継続計画

提供:UR都市機構(撮影:ToLoLo studio)

災害時の信頼性が高い中圧の都市ガス導管からの都市ガス供給

コージェネレーションシステムの燃料となる中圧の都市ガス導管は、大きな地盤変動にも耐えうる強度や柔軟性に優れた「溶接接合鋼管」を採用。さらに中圧の都市ガス導管は、供給ルートをループ化しており、高い供給安定性を確保しています。
 

プラントの防災対策を徹底

エネルギープラントは、地震の影響の少ない地下に、揺れに強い構造で設置しています。また、万が一の浸水被害に備え、プラントに水が入らないように地下4階から地上2階まで壁を立ち上げた「つぼ型潜水艦構造」を採用し、出入口には、22トンもの水圧に耐えられる厚さ約30cmの水密扉を施しています。災害からプラント自体を守ることで、非常時にもエネルギー供給を継続します。

約30cmの厚さをもつ水密扉

電力需給逼迫時の電力不足解消に貢献

現下、電力需要が高まる夏季・冬季における電力需給逼迫が見込まれています。八重洲エネルギーセンターでは、分散型電源であるコージェネレーションシステムの発電により平常時から系統電力の負荷を軽減し、電力需給バランスの安定化に寄与します。

さらに、電力需給逼迫時に系統電力会社からの要請があった際には、コージェネレーションシステムの発電により系統電力からの買電量を減らすだけでなく、逆に系統に電力を融通することで、電力需給逼迫の解消に貢献します。

エネルギーの地産地消により省エネ・省CO₂に貢献

EMS(エネルギーマネジメントシステム)概念図

中央監視室

高いレジリエンス性を有するコージェネレーションシステムは、一般的な火力発電所の発電効率約40%※4に比べて高いエネルギー効率(発電効率48.5%5、廃熱利用も含めた総合エネルギー効率77%)を誇ります。コージェネレーションシステムを含む省エネの仕組みにより、一般的なビルに比べてCO₂排出量を約26%削減可能です。

<省エネの仕組み>
・コージェネレーションシステムを活用して高効率で発電するとともに、発電時の廃熱を有効活用して熱供給を実施
・ICT(情報通信技術)を活用したEMS(エネルギーマネジメントシステム)を構築し、エリア全体で最適運転を計画・制御

最新のICT(情報通信技術)により、過去のエネルギー需要実績や天気予報、スケジュール等の情報が蓄積されたビックデータを分析することで、翌日のエネルギー需要を予測。需要に基づきコージェネレーションシステムを含む各熱源機器の最適運用を実現することで、効率的なエネルギー供給を実現します。

※4…省エネ法における電力の一次エネルギー換算係数に基づく
※5…メーカーカタログ値に基づく


また、本プロジェクトが供給する電力は、三井不動産の「グリーン電力提供サービス」の対象となります。本プロジェクトでは、三井不動産が保有・開発した全国5か所の太陽光発電所の環境価値を「トラッキング付非化石証書」として付加することで、実質的な再生可能エネルギーとして電力を提供、使用電力の「グリーン化」を実現します。

「八重洲を訪れるみなさんのエネルギーに」プロジェクトメンバーの想い

「安心・安全なまちづくりを」プロジェクトマネージャーのコメント

八重洲エネルギーセンターは、熱だけでなく電気も供給する点に特徴があります。高い品質、信頼性を担保した設備をつくるため、何度も話し合いを重ねて、施工者の協力も得ながら課題を乗り越えていきました。

工事に着手した2020年9月から、約2年間かけて2022年7月31日にエネルギーセンターが竣工し、2022年9月1日から需要家さま(東京ミッドタウン八重洲)へのエネルギー供給を開始しました。2022年11月からは八重洲地下街さまへの供給も始まりました。

今後のプラント運営においても、お客さまの期待に応えるため、決意を新たに取り組んでいきます。

プロジェクトマネージャー 緒方
(撮影時のみマスクを外しております)

 

八重洲スマートエネルギープロジェクトのプラント建設メンバー
(前列左から:竹内、緒方PM、羽深/後列左から:鈴木(道)、藤原、鈴木(淳))
(撮影時のみマスクを外しております)

都心部での大規模な工事となった「八重洲スマートエネルギープロジェクト」。工事を進めるにあたり、東京ミッドタウン八重洲のビル建設工事に合わせたエネルギーセンターの構築、コージェネレーションシステムや特別高圧変圧器などの重量物の搬入、八重洲地下街さまへの電気・熱供給のための地下の推進管工事、コロナ禍における工程遅延、それらのための関係各所への調整や施工者への協力依頼など、本プロジェクトならではの困難が多くありました。

特にエネルギーセンター竣工前の総合試験では、商用系統側や需要家さまとの緻密な調整を実施、約20組織に及ぶ関係者の皆さまにご協力をいただき、実際に停電を発生させて、BCP供給に関わる数多の設備やシステムを一体となって動作させ、問題なくBCP供給ができるかどうかの確認も行いました。

本プロジェクトで沢山の方にご協力を頂いたことを通して、改めて「八重洲エリア」が大都市東京の要であり、多くの人が関わりあう街であることを実感するとともに、八重洲エリアのエネルギーの安心・安全を守り続けるスマートエネルギープロジェクトを無事に発足できたことを誇りに思っています。
「八重洲スマートエネルギープロジェクト」が、これから30年40年50年とこの八重洲エリアを守り、八重洲に訪れるみなさんのエネルギーとなっていくことを願っています。


東京ガスはこれからも、三井不動産と連携し、防災力・環境性の強化により、高い国際競争力を有した街づくりに貢献していきます。

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