東京ガスグループトピックス

CO2を洗剤・肥料の原料に!◆日本初となるオンサイトでの「CO2資源化サービス」で脱炭素社会に貢献

2024年3月19日

 
東京ガスは、都市ガス機器利用時の排気に含まれる二酸化炭素(CO2)を使い、洗剤や肥料の原料をお客さま先で作る、「CO2資源化サービス」(以下「本サービス」)を始めました。オンサイトでCO2を資源として活用し炭酸塩(炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム等)を製造するサービスは日本初で、脱炭素社会の実現に向けて普及をめざしています。

日本初となるオンサイトでの「CO2資源化サービス」を開始!(2023年10月25日発表)
 

CO2が洗剤・肥料に?新事業「CO2資源化サービス」とは

東京ガスの「CO2資源化サービス」は、都市ガス機器利用時の排気に含まれる二酸化炭素(CO2)と水酸化物を反応させ、洗剤や肥料の原料をお客さま先(オンサイト)で作るサービスです。

「CO2資源化サービス」によるカーボンリサイクルのイメージ

製品の製造プロセスで炭酸塩をオンサイト利用する工場等の産業用のお客さまを中心に展開します。加えて、オフィスビルや商業施設等、炭酸塩のオンサイト利用が難しいお客さまに向けても本サービスを展開していくことを目指し、炭酸塩を洗剤や肥料等の製品の原料として利用する等、炭酸塩の利用用途を拡大する取り組みも進めます。

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東京ガス独自技術を加えた小型の二酸化炭素回収装置
さまざまな場所でCO2を資源化へ

東京ガス独自技術を加えてサービス化を実現

本サービスでは、カナダのCleanO2 Carbon Capture Technologies 社(CEO:Jaeson Cardiff、以下「CleanO2」)製の二酸化炭素回収装置「CarbinXTM」(以下「本装置」)を使用しますが、東京ガスの独自技術で日本向けに改良しています。
北米と日本では空気の湿度やガス機器の排気性状が異なる中、CleanO2との共同検討や国内での実験を重ね、東京ガスの独自技術を加えることにより、日本においても排気中のCO2を吸収した炭酸塩を安定製造することを可能としました。

お客さま先でのCO2資源化技術の開発について(2021年9月28日発表)

本サービス開始にあたり、東京ガス、CleanO2、岡谷鋼機株式会社の3社で独占ライセンス契約を締結し、「CarbinXTM」をCleanO2社が製造・供給、岡谷鋼機が輸入代行し、東京ガスがお客さまの都市ガス機器利用時の排気のCO2を活用して炭酸塩を製造します。東京ガスが日本で唯一「CarbinXTM」を用いたサービスを展開できます。

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小型でさまざまな場所におけるCO2排出量削減と資源化が可能

本装置は、小型(幅0.85m×高さ1.9m×奥行2.0m)であるため、スペースが限られる場所へも導入ができます。

都市ガス機器を使う工場などに置いて、その場で洗剤や肥料の原料となる炭酸塩を製造することができ、さまざまな場所におけるCO2の排出量削減と資源化を可能にします。

 

従来の炭酸塩の製造工程に比べCO2排出量が約2割削減

2KOH + CO2  → K2CO3 + H2O

 

水酸化カリウム75kgを装置に入れ、排気を取り込むと、排気中の二酸化炭素(CO2)と水酸化物が反応し、1週間ほどで洗剤や肥料の原料となる炭酸カリウム(炭酸塩)が約100 kgできます。

反応時に排気の排熱も利用することで、この製造方法では、従来の製造方法と比べて、原料調達から製造までのプロセスにおけるCO2排出量が約2割削減されます。
(インベントリデータベースIDEAを用いた東京ガス試算)

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炭酸塩の利用拡大に向けたCO2リサイクル製品 洗剤や肥料の開発

炭酸塩のオンサイト利用が難しいお客さまに向けても本サービスを展開していくことを目指し、今回、製造した炭酸塩を原料とする洗剤や肥料を開発しました。都市ガス機器の排気に含まれるCO2を回収・利用した洗剤、肥料の開発は日本初となります。

このようなCO2リサイクル製品がCO2を排出した地域(まち、工場等)の中で利活用される「地域におけるカーボンリサイクル」も視野に、今後、お客さまと共に、CO2リサイクル製品の利用モデル構築を目指します。

CO2リサイクル「洗剤」の開発

ヱスケー石鹸株式会社と共同で、都市ガス機器排気中のCO2を吸収した炭酸塩(炭酸カリウム)を活用した「CO2リサイクル洗濯用液体せっけん」を開発しました。

CO2リサイクル洗濯用液体せっけんの特徴

■環境性
①排気中のCO2の回収・利用
②使用済食用油の利用

■新規性
①ガス機器排気中のCO2を回収・利用した洗剤は日本初

■地域におけるカーボンリサイクル
①排気中のCO2を回収・利用して製造した洗剤を、
②当該エリアの地域住民が使用する
③「地域におけるカーボンリサイクル」も今後検討

 

CO2リサイクル「肥料」の開発

ガス機器排気中のCO2を吸収した炭酸塩(炭酸水素カリウム)が肥料として効能があることを評価・確認し、東京ガス独自で「エコカリウム®」という名称で農林水産大臣による普通肥料の登録を受けました。

肥料(エコカリウム®)の特徴

■環境性
①排気中のCO2の回収・利用

■効能
①カリウム成分は、根の育成を促進し、植物全体を丈夫にする
②有害成分(塩素成分等)が滞留することがなく、土壌障害を起こしにくい

■地域におけるカーボンリサイクル
排気中のCO2を回収・利用して製造した肥料を使い、作物を育成し、当該エリアの地域で販売・利用する「地域におけるカーボンリサイクル」も今後検討

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新事業開発への想いと今後の展開

東京ガスでは、足元で実現可能なカーボンリサイクル技術に着目し、技術開発、サービス化の取り組みを進めております。
今回、カナダでサービス化を実現しているカーボンリサイクル技術を日本に導入し、当社の独自技術を加えることで、日本で初めて「オンサイトでCO2を活用し炭酸塩を製造・利用するサービス」を実現しました。

1か所でのCO2削減量は小規模ながら、設備も小型で、様々な用途に利用可能な炭酸塩を製造する本サービスを通じて、カーボンリサイクルを世の中に広げる「一歩目」として、本サービスを導入頂く国内企業の皆さまと共に、取り組みを進めていきたいと考えています。

東京ガス ソリューション技術部 清水

東京ガスグループは、経営ビジョン「Compass2030」において、東京ガスグループの事業活動全体で、お客さま先を含めて排出するCO2をネット・ゼロにすることに挑戦することを掲げています。これからも、カーボンリサイクル技術をはじめさまざまなソリューションの提供により、お客さまとともに地球規模での環境負荷低減への取り組みを推進してまいります。

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