東京ガスグループトピックス

カーボンニュートラルLNGの特別講演会を実施!◆現地の生活向上にも貢献「カティンガン・メンタヤプロジェクト」とは?

2023年12月22日

2023年10月26日、東京ガスはカーボンニュートラルLNGに活用されているクレジットの創出プロジェクトであるインドネシア「カティンガン・メンタヤプロジェクト(Katingan Mentaya Project)」を運営するRMU(Rimba Makmur Utama)社のCEO・ダルソーノ・ハルトノ氏による講演会を赤坂プリンスクラシックハウスで開催しました!当日は、CNLを購入されているCNLバイヤーズアライアンスのお客さまに対して、ダルソーノ氏からプロジェクトの概要や地域との共生を大切にしたさまざまな取り組みについてご紹介いただきました!

本記事では、イベント当日のダルソーノ氏による講演内容や、参加者の感想をご紹介します。

「カーボンニュートラルLNG」とは?

カーボンニュートラルLNG(CNL)は、LNG(液化天然ガス)の採掘から燃焼に至るまでの工程で発生する温室効果ガスを、新興国等における環境保全プロジェクトにより創出されたCO₂クレジットで相殺(カーボン・オフセット)したLNGです。燃焼させても地球規模ではCO₂等が発生していないとみなされるとともに、環境保全プロジェクトは現地での雇用の創出や生物多様性保全等にも貢献しています。

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住民の生活と意識を変えたインドネシア「カティンガン・メンタヤプロジェクト」

カーボンニュートラルLNGが、CO₂クレジットの購入先として支援している取り組みの一つが、インドネシア カリマンタン島 カティンガン地区の森林を保全している「カティンガン・メンタヤプロジェクト」です。

「カティンガン・メンタヤプロジェクト」が行われているカリマンタン島の森林地域は、東京23区の約2.5倍のとなる約15万ヘクタールもの面積に及び、35の村落があります。

カリマンタン島 カティンガン地区

 

プロジェクトエリア内の森林

実際の泥炭の様子

この地域は枯れた草木が分解されずに積み重なっている泥炭地で、大量のCO₂を含んでいるうえ、1990年代にはアブラヤシのプランテーションにするために土地の大規模開発が行われたことにより、乾季になると泥炭が表出してCO₂が放出されるようになってしまいました。

さらに、燃えやすい泥炭の土地は火災を発生しやすいというリスクを抱えており、火災が発生すると膨大な量のCO₂が排出されることから、気候変動対策や生物多様性保全の観点からも大きな脅威となっていました。

 

「カティンガン・プロジェクト」を立ち上げたダルソーノ氏は、火災防止や森林保全のため、これまでの焼畑農業から脱却するように農家の人たちを説得してきました。最初は約500人いる農家のうち、2人しかプロジェクトに加わらなかったといいますが、肥沃な土地が育つにつれ、現在では100人以上が焼き畑をしない、化学農薬も使わなくて済む農法を取り入れています。

このほか、地域の人たちが販売できる商品を生み出すために、ココナッツシュガーの作り方を教える農業スクールも立ち上げました。

「カティンガン・メンタヤプロジェクト」について語るダルソーノ氏

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RMU社CEOダルソーノ氏がプロジェクトにかける強い思い

ダルソーノ氏が「カティンガン・メンタヤプロジェクト」を運営するRMU社を立ち上げたのは、産業化のプロセスで生まれた人間と地球の破壊的な相互作用を、害のない相互に高め合うものに変革していきたいという強い思いがあったからだといいます。

RMU社は、自然をベースとしたソリューションを提供している企業であり、気候変動問題や地域コミュニティ、現地の生物多様性などにプラスの効果をもたらす取り組みを推進し、恒久的に続く遺産として残すことを模索しています。

ダルソーノ氏

現在では、カーボン・クレジットを創出する世界最大級の自然ベースのソリューションプロジェクトに成長した「カティンガン・メンタヤプロジェクト」ですが、元々はダルソーノ氏が2007年にビジネスパートナーとともにたった二人で始めたプロジェクトでした。

初期の頃は活動資金を得ることもままなりませんでしたが、フィランソロピーの会社からの寄付や、日本の企業や政府からの協力を仰ぎながら、6年後にはインドネシア政府から生態系修復コンセッションの認可を取得するまでになったといいます。さらにそれから4年後、ようやく企業としてカーボン・クレジットを創出し、販売を開始することができるようになりました。

「世界を変えたいという夢を見て、それを実現することができた。人と地球を第一に考えた社会や経済をつくる、新しい世代のリーダーとなる人たちを育てていきたい」と、ダルソーノ氏はこれからのビジョンを語りました。

付加価値商品の製造・販売支援
(コミュニティの特産であるバナナを使ったバナナチップスの製造・販売の様子)

カーボン・クレジットで得た収益は、学校教育支援や植樹のほか、トイレなど衛生施設の設置や医療機器の購入といった、地域の強靭力向上のために使われています。「地域に力を与えていくことは、人々のウエルビーングの改善につながるとともに、持続可能な経済発展を推進していくことにもなります」。

道路や学校の建設、太陽光発電の導入などインフラ整備も進める一方、医薬品として活用できる魚粉を得るために魚の養殖にも取り組んでいるそう。「コミュニティの生産性を向上させるとともに、生物多様性を保護していかなければならない。今、行動しなければ、明日はないのです」と、ダルソーノ氏はプロジェクトにかける強い思いを語り、講演を締めくくりました。

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CNLバイヤーズアライアンス参加者のコメント

本講演では、カーボンニュートラル都市ガス(以下、CN都市ガス)を購入されているCNLバイヤーズアライアンスのお客さま(20社34名)が参加いたしました。みなさまの感想の一部をご紹介します。

・現地でどのような活動がなされ、成果を得ているのかについて、プロジェクトを推進する現地の方に説明していただいて理解が深まりました。当社の取り組みの意義を実感することができて良かったです。

・プロジェクトは、SDGsの多くのターゲットに関わりがあり、CNLを利用することで私たちも貢献できているという、カーボンオフセットのさまざまな背景を知ることができました。

・環境保全だけでなく、地域の方々の生活保全にまで関わられていることが魅力的で、当社の取り組みの意義を十分に感じることができました。社内やお客さまにも取り組みを訴求し、今後のカーボンニュートラルへの活動に役立てていきたいです。

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東京ガス 担当者のコメント

本イベントは、カーボン・クレジットの創出元であるインドネシア・カティンガン・メンタヤプロジェクトCEOの「ダルソーノ氏」、CNLの重要なパートナーである「Shell社」の皆様、そして、CN都市ガスを御購入頂いている「バイヤーの皆様」と東京ガスという、CNLバリューチェーンに携わる全ての皆様が一同に介したという大変意義深い会となりました。

昨今、脱炭素に向けた世の中の潮流はますます勢いを増し、脱炭素化の手段としてのカーボンニュートラル都市ガスの重要性も一層増してきておりますが、それと同時に、カーボン・クレジットを利用する商材に関して、そのクレジットの品質に対する目も厳しくなってきております。当社も日々情報をキャッチアップし、考えを修正しながら進めておりますが、本イベントを通して、お客様がクレジットの信頼性や疑問点を少しでも解消して頂き、カーボンニュートラル都市ガスをこれまで以上に安心してご利用いただければ幸いです。

東京ガス ソリューション共創部 松家

東京ガスグループはこれからも「CO₂ネット・ゼロ」に挑戦し、脱炭素社会への移行をリードしてまいります。

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