東京ガス株式会社(社長:岡本 毅、以下「東京ガス」)とパナソニック株式会社(社長:津賀 一宏、以下「パナソニック」)は、世界で初めて、マンション向けの家庭用燃料電池「エネファーム」(以下「本製品」)を共同で開発しました※1、2。東京ガスは、本製品について2014年4月1日(火)に発売します。
マンションのパイプシャフト内※3に燃料電池ユニット、貯湯ユニット、バックアップ熱源機を全て設置できる仕様として製品化したのは、世界初※4となります。
本製品は、戸建て住宅に比べ、より設置条件に制約があるマンション向けに、機器本体の気密性を高めることなどにより、開放廊下側※5のパイプシャフト内への設置を可能にしました。また、マンションの設置基準に対応するため、機器本体をアンカー固定する脚部の強度を向上させることで耐震性を高めるとともに、給排気構成の変更などにより強風時でも運転できるように耐風性を高め、高層階での設置も可能にしました。
本製品は、火力発電所からの電気と都市ガス給湯器からの給湯を行なう方式※6と比べ、定格発電時にCO2排出量を約49%、一次エネルギー消費量を約37%削減できます※7。モデルケースでの年間光熱費は約3〜4万円節約、年間CO2排出量を約1.0トン削減できます※8。
東京ガスは、本製品を2014年度に500台受注する計画です。
なお、東京ガスは本製品の発売について、2013年度中に発表する予定であることを昨年度から表明しており、本日10月21日(月)時点で、総合地所株式会社および東急不動産株式会社から自社が供給する分譲マンション(計2物件、456戸)に本製品を採用する意向をいただいています※9。
東京ガスとパナソニックは、これからも「エネファーム」の普及を通じてお客さまの快適な暮らしと地球環境の保全、電力ピークカットなどに貢献してまいります。
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商品外観(パイプシャフト内設置時) |
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パイプシャフトの扉を開いた状態 |
パイプシャフトの扉を閉じた状態 |
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設置レイアウト例(単位:mm) |
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平面図 |
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立面図(側面) |
立面図(正面) |
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マンション開放廊下側パイプシャフト内への設置イメージ例 |
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※1 |
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開発にあたっては、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託業務の結果得られた成果を一部活用しています。 |
※2 |
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エネファームの「貯湯ユニット」および暖房用温水の加熱や貯湯タンクにお湯がなくなった場合にお湯をつくる「バックアップ熱源機」は、東京ガス、株式会社ガスターおよびリンナイ株式会社が共同で開発しました。 |
※3 |
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パイプシャフトとは、マンションの上下階を貫通する給水管やガス管などを収納するスペースで、多くのマンションではパイプシャフトは玄関横に配置されています。 |
※4 |
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これまでは、戸建用エネファームに個別の改良を施し、マンション設置のための基準に準拠させ、パイプシャフト外(マンションの玄関前で、外壁面から少しくぼんだ形になっているアルコーブと呼ばれる空間)などに導入した事例はありますが、本製品は標準仕様としてマンション設置のための基準に準拠し、パイプシャフト内に燃料電池ユニット、貯湯ユニット、バックアップ熱源機を全て設置できるものです。 |
※5 |
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開放廊下とは、マンションなどで、片側に住戸が並び、もう一方に外に面した廊下が配置されている場合の廊下のことをさします。 |
※6 |
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電気は火力発電所から供給し、熱は東京ガスが供給する都市ガスを使用する方式です。 |
※7 |
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定格運転時の発電量(0.75kWh)と熱回収量(1.08kWh/約37L・40℃)を、従来の火力発電所からの電気と、都市ガス給湯器からの給湯を行なう方式でまかなった場合との比較です。 |
※8 |
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[試算条件]
(1) |
一次エネルギー換算値:電気9.76MJ/kWh(エネルギーの使用の合理化に関する法律)、ガス45MJ/m3(東京ガスデータ)、給湯効率80% |
(2) |
CO2排出係数:電気0.69kg-CO2/kWh(「中央環境審議会地球環境部目標達成シナリオ委員会中間取りまとめ」平成13年7月より)、ガス2.29kg- CO2/m3(東京ガスデータ) |
(3) |
年間負荷/給湯:13.01GJ、風呂保温:1.45GJ、調理:1.8GJ、冷房:4.15GJ、床暖房:7.75GJ、エアコン暖房:2.77GJ、照明他:11.41GJ(マンション(延床面積80m2)3人家族を想定) |
(4) |
電力需要/ガス・電気併用住宅の電気消費量:3,643kWh(東京ガス調べ) |
(5) |
ガス料金/従来システム:「暖らんぷらん」適用、エネファーム:「エネファームで発電エコぷらん」適用。電気料金/従来システム、エネファームともに従量電灯B適用、契約40アンペア。
ガス・電気料金/2013年1月時点での調整単位料金に基づく試算。 |
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※9 |
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採用の意向をいただいている企業、物件は以下のとおりです(五十音順)。
総合地所株式会社 |
(物件名:(仮称)ルネスカイプレミア品川中延 戸数100戸(予定)、 所在地:東京都品川区西大井6丁目、販売開始予定:2014年2月) |
東急不動産株式会社 |
(物件名:ブランズシティ品川勝島、戸数356戸(予定)、
所在地:東京都品川区勝島1丁目、販売開始予定:2014年4月) |
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主な特長 |
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(1)パイプシャフトに設置可能 |
機器本体の気密性の向上や外装パネルの素材を厚くすることなどにより、開放廊下側のパイプシャフト内に燃料電池ユニット、貯湯ユニット、バックアップ熱源機を設置することを可能にしました。また、燃料電池ユニットの排気等の吹き出し口を1箇所に集約し、パイプシャフトの扉内への設置に対応するとともに、バックアップ熱源機と隣接して設置した際にも統一感のある構成にしました。
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(2)マンション設置のための基準に準拠 |
マンションの設置基準に準拠するため、機器本体をアンカー固定する脚部の強度を向上させて耐震性を高めました。また、燃料電池ユニットの給排気等の吹き出し口を集約した構成への変更や機器内部への風圧の影響低減により、秒速30mの強風時でも運転できるように耐風性を高め、高層階での設置も可能にしました。
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(3)さまざまな設置方法に対応 |
燃料電池ユニット、貯湯ユニット、バックアップ熱源機の3つのユニットを1つのパイプシャフトにまとめて設置する以外に、複数のパイプシャフトに分離して設置することもできます。また、燃料電池ユニットとバックアップ熱源機に複数の排気方法を用意することや、バックアップ熱源機については標準型以外にスリム型を用意することで、集合住宅のさまざまな設置方法に対応します。
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仕様概要 |
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発売日 |
2014年4月1日予定 |
性能 |
発電出力 |
200W〜750W |
定格発電効率 |
39.0% (LHV) ※10、35.2% (HHV) |
定格熱回収効率 |
56.0% (LHV) ※10、50.6% (HHV) |
総合効率 |
95.0% (LHV) ※10、85.8% (HHV) |
貯湯タンク容量 |
147リットル |
寸法 |
燃料電池ユニット |
H1,750mm×W399mm×D395mm |
貯湯ユニット |
H1,850mm×W400mm×D560mm |
バックアップ熱源機 |
給湯暖房(標準)H750mm×W480mm×D250mm
給湯暖房(スリム)H900mm×W250mm×D450mm |
重量 (乾燥) |
燃料電池ユニット |
99kg |
貯湯ユニット |
54kg |
バックアップ熱源機 |
給湯暖房(標準)44kg
給湯暖房(スリム)49kg |
希望小売価格 |
オープン価格 |
無償メンテナンスサポート |
10年間 |
※10:低位発熱量基準(Lower Heating Value)の略。燃料ガスを完全に燃焼したときの発熱量から水蒸気の凝縮潜熱を差し引いた値。(対比:HHV=高位発熱量基準、HHV≒0.903×LHV)
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エネファームについて |
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「エネファーム」は都市ガスから取り出した水素を空気中の酸素と化学反応させて発電し、発電した電気は家庭内で利用します。その際に出る熱も給湯に利用します。電気をつくる場所と使う場所が同じであるため送電ロスがなく、また発電時に出る熱を無駄なく活用できる環境に大変やさしいシステムです。
東京ガスは2009年5月に世界で初めて「エネファーム」の一般販売を開始し、2013年9月末までにパナソニックが全国で累計約31,000台を出荷、内東京ガスが累計約24,000台の販売を行なっています。2013年度は、パナソニックが年間15,000台以上の生産体制を構築し、東京ガスが12,000台の販売を目指しています。また、東京ガスは、2020年に累計300,000台の販売を目指しています。
以上
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