株式会社サムソン
東京ガス株式会社
大阪ガス株式会社
東邦ガス株式会社
平成30年3月22日
株式会社サムソン(社長:吉岡龍示、以下「サムソン」)、東京ガス株式会社(社長:広瀬道明、以下「東京ガス」)、大阪ガス株式会社(社長:本荘武宏、以下「大阪ガス」)、および東邦ガス株式会社(社長:冨成義郎、以下「東邦ガス」)は、伝熱効率の向上や低負荷でも安定的に燃焼するバーナを採用することなどで、換算蒸発量※11000kg/hボイラクラス最高のボイラ効率98%と、高い運転効率を維持するターンダウン比※21:5を実現した「ガス焚き簡易貫流蒸気ボイラ※3SE-1000APG」(以下、「本製品」)を共同で開発しました。
本製品は、4月1日より東京ガス、大阪ガスおよび東邦ガスが営業を開始し、サムソンが販売開始します。
簡易貫流蒸気ボイラは、取扱い資格やボイラ設置報告書の届出が不要であること、また、低圧ガス※4を使用するため、ビルにおける空調・給湯用途から工場における生産用途まで幅広い分野で普及しています。
本製品は、燃焼ガスと伝熱フィンとの接触時間を増やして伝熱効率を向上させた、高効率丸形缶体や高性能エコノマイザ※5を採用することで、従来機よりも2%高い、クラス最高のボイラ効率98%を実現しました。また、低負荷でも安定的に燃焼するメタルニットバーナ※6の採用と、ガス低圧供給に対応できるベンチュリミキサ※7を新たに開発したことで、従来機のターンダウン比1:2を1:5に向上し、高い運転効率による環境負荷の低減、およびランニングコストの低減を実現しました。加えて、デュアルプロセッサーを搭載することで、燃焼に関する動作と入出力状況、安全装置の健全性など相互に監視することが可能となり、安全性も向上しました。
各社は、本製品を、低圧ガスをご利用で蒸気を必要とするお客様に幅広く提案し、高効率ガスボイラの更なる普及促進を図ることで、省エネルギーおよび環境負荷低減に取り組んでまいります。
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本製品の外観 |
構成部品のイメージ |
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本製品の特長 |
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(1)クラス最高のボイラ効率98%を標準化 |
燃焼火炎からの熱を各水管が均一に吸収できる耐久性の高い丸型缶体で、高性能なフィン付き水管を円筒形に二重で配列し、燃焼ガス流との接触伝熱領域において熱吸収量アップと同時に圧損を低減しました。後段にはダウンフロー設計※8で潜熱回収を高めたエコノマイザを装備し、定格運転時のボイラ効率98%を実現しています。
丸形缶体の構造
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(2)クラス最高のターンダウン比1:5を実現 |
メタルニットによる表面燃焼バーナと、ガス低圧供給に対応できる大容量ベンチュリミキサを新たに開発し、ターンダウン比1:5のワイド燃焼を実現しました。低負荷領域においてボイラのON/OFF回数を低減することで高い運転効率を維持できます。また、4つの燃焼ポジションを切替えることで、蒸気圧力の安定化と負荷追従性も向上します。
燃焼風量はインバータで回転数を調整し、消費電力も大幅に削減できるとともに、ボイラ運転音の静音性にも優れます。
メタルニットによる表面燃焼バーナ
従来機と比べた出力と運転効率の関係
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(3)デュアルプロセッサー搭載 |
独立した2つのCPUが燃焼に関する動作と入出力状況、安全装置の健全性などの信号に矛盾がないことを監視しています。コントローラ自身が常時自己診断しながらボイラの運転をコントロールすることでフェールセーフ※9の観点から安全性を一段と強化しました。
また、ボイラの状態が一目でわかるシステム「SAFETY&STATE EYE」を搭載することでリアルタイムで状態監視が可能になり、より安全・安心な設備運用を行うことが可能になりました。

システムイメージ
※1 |
ボイラの能力を表す指標。大気圧において100℃の水を100℃の蒸気に変える能力。 |
※2 |
最低出力と定格出力の比。 |
※3 |
貫流ボイラは、管によって構成され一端から給水し、他端から蒸気として送り出す方式のボイラ。小型軽量で保有水が少ないため短時間で起動できる。
また、貫流ボイラは最高使用圧力、伝熱面積などにより、ボイラ、小型ボイラ、簡易ボイラに区分される。簡易ボイラはその中で最も規模が小さく、取扱い資格は不要である。 |
※4 |
供給する圧力が最高圧力2.5kPa、最低圧力1.0kPaのガス。13A。 |
※5 |
排ガスの余熱でボイラの給水を加熱する装置。 |
※6 |
金属繊維をニット状に編み込んだ耐熱金属繊維の表面で火炎を形成する表面燃焼バーナ。低燃焼時でも安定的に燃焼が継続するため、大きなターンダウン比を達成する。 |
※7 |
ベンチュリとは、流体の流れの断面積を狭めて流速を増加させることで、圧力が低い部分を作り出す機構。本件では、空気の流れの一部を狭めて、圧力の低い部分を形成し、その部分からガスを吸引し混合ガスを形成している。 |
※8 |
下部の温度を上部より低くすることで、排ガス中の凝縮水が下部に落下する際に再蒸発するのを防ぐ設計方法。 |
※9 |
装置・システムなどにおいて、誤操作や誤動作によって発生する障害に備えて、常に安全側に制御すること。また、それを実現する設計指針。 |
※10 |
負荷率100%、蒸気圧力0.49MPa、給水温度15℃、給気温度35℃。 |
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製品仕様 |
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本製品「SE-1000APG」 |
従来機「Les-1000EP」 |
ボイラ種別 |
簡易ボイラ(多管式貫流ボイラ) |
取扱い資格 |
資格不要 |
換算蒸発量 |
1000kg/h |
最高使用圧力 |
0.98MPa |
燃料種 |
13A(低圧ガス) |
ボイラ効率※10 |
98% |
96% |
ターンダウン比
(最低出力) |
1:5 (20%) |
1:2 (50%) |
ファン動力 |
2.2kW |
3.7kW |
外形寸法 |
幅 |
750mm |
奥行 |
2,400mm |
2,240mm |
高さ |
1,970mm |
2,250mm |
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