東京ガス株式会社(社長:広瀬 道明、以下「東京ガス」)は、本年5月1日から「第29回建築環境デザインコンペティション」(後援:一般社団法人日本建築学会、公益社団法人空気調和・衛生工学会、株式会社新建築社)の作品募集を開始します。
本コンペティションは、1987年から毎年開催し、今年で29回目を迎えます。一般の建築デザインコンペティションとは異なり、本コンペティションは、「建築と設備のトータルな調和」という考えに基づき、デザイン図面だけではなく、建物の設備計画も合わせて提出いただくことが大きな特徴となっています。また建築業界の著名な先生方が、公開審査による選考を実施することも本コンペティションの魅力となっています。本コンペティションは、設計事務所や建設会社などの実務に携わっている方々や、若手の設計者、建築専攻の学生の方々などから高い評価をいただいており、前回は105作品のご応募がありました。
東京ガスは、本コンペティションの実施を通して、ますます活躍が期待される建築業界の方々や建築を専攻する学生の方々の飛躍の一助となって建築業界の発展に貢献するとともに、「環境にやさしい都市づくり」に貢献することをめざしています。
■課題『時計装置』について(全文は【参考2】をご参照ください。)
時の流れを可視化し、刻印し、痕跡を蓄積してゆくことで、われわれがそれを知覚可能にするための「時計装置」となるような建築を提案してください。単に時刻を示す時計ではなく、私たちの身の回りにある時の流れと、それに伴う空間の変化を、増幅し顕在化させる装置のデザインを求めています。
建築や都市も時の流れに沿って、自ずと更新されるものですが、単に老朽化して質の低下するものととらえず、また単純に進化、成長していくというのでもなく、建築が、時を計る装置として機能しながら、時間とともに「優化」して行くためには、どのような手立てやアイディアが必要かを考えてください。
サステイナブルデザインという語も浸透しつつありますが、建築や都市をただ長寿命化すればよいのではなく、逆にメンテナンスフ
リーという考え方は、人々から時間の感覚を遠ざけてしまうため、むしろ時を意識するようなデザインが必要です。年に一度障子紙を貼り替え、数年に一度畳表を打ち替え、十数年に一度茅を葺き替える屋根のデザインは、その更新があるが故に、里山にその材料が生育する環境が維持されるものでもありました。つまりは時とともに形づくられる壮大な時計装置であったとも言えます。
時の流れを消極的に受け止めるのではなく、是非とも今までには無い、意欲的なサステイナブルデザイン、時とともに優化するデザインへの挑戦を期待しています。
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【参考1】第29回建築環境デザインコンペティション実施概要 |
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1. |
課題 |
『時計装置』 |
2. |
応募対象 |
建築設計事務所、総合建設会社、専門設備工事会社、建築専攻学生などの意匠または設備設計(志望)者およびその組合せチーム |
3. |
賞金 |
最優秀賞 150万円(1点)
優秀賞50万円(3点)
佳作賞20万円(10点) |
4. |
応募登録 |
開始:2015年5月1日(金)、締切:2015年9月25日(金)
・インターネット(http://kenchiku.tokyo-gas.co.jp/)よりご登録下さい。
・郵便あるいはFAX(03-3818-6742)にて登録の場合は、「建築環境デザインコンペティション」と明記し、自宅住所・氏名・年令・勤務先(学校名)・勤務先(学校)住所・電話・FAX・E-mailアドレスを書き添えてお申し込み下さい。登録票をお送りいたします。 |
5. |
作品応募締切 |
2015年10月15日(木) 16時必着 |
6. |
審査方法 |
作品審査は応募全作品を対象とした一次審査会を経て、一次審査通過者による公開審査(プレゼンテーション/審査委員によるヒアリング)により最優秀賞を決定します。 |
7. |
審査発表 |
2015年12月中旬に公開審査および表彰式を行います。
審査結果につきましては、東京ガスの「建築環境デザインコンペティションサイト」、および2016年「新建築」2月号に掲載いたします。 |
8. |
審査委員 |
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委員長 |
古谷 誠章 氏(建築家・早稲田大学 教授) |
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委員 |
青木 淳 氏(青木淳建築計画事務所 主宰) |
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〃 |
奥宮 正哉 氏(名古屋大学大学院 教授) |
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〃 |
工藤 和美 氏(建築家・東洋大学 教授) |
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〃 |
車戸 城二 氏(株式会社 竹中工務店 執行役員) |
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〃 |
千鳥 義典 氏(株式会社 日本設計 代表取締役社長) |
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〃 |
野原 文男 氏(株式会社 日建設計 取締役常務執行役員 エンジニアリング部門副統括) |
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〃 |
児山 靖(東京ガス株式会社 都市エネルギー事業部長) |
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アドバイザー |
馬場 璋造 氏(建築評論家) |
9. |
お問い合わせ・作品提出先
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【参考2】『時計装置』課題全文 |
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われわれの暮らすこの世界には、絶えず時が流れています。一日の単位、一月の単位、一年の単位、あるいはもっとずっと長い単位でも、あらゆる生物も、人類も、地球環境も、建築や都市も、その経時的な移ろいの中にあります。こうした時の流れを可視化し、刻印し、痕跡を蓄積してゆくことで、われわれがそれを知覚可能にするための「時計装置」となるような建築を提案してください。単に時刻を示す時計ではなく、流れゆく時を計る装置としての建築です。
太陽や星の運行、月の満ち欠け、潮の干満、季節の移り変わりや天候の変化、動植物の成長、物質の経年的な変化など、私たちの身の回りにある時の流れと、それに伴う空間の変化を、増幅し顕在化させる装置のデザインを求めています。
建築や都市も時の流れに沿って、自ずと更新されるものですが、単に経年劣化、すなわち老朽化して質の低下するものととらえず、また単純に進化、成長していくというのでもなく、時の経過とともに「優化」するという考え方もあります。建築が、時を計る装置として機能しながら、時間とともに優化して行くためには、どのような手立てやアイディアが必要かを考えてください。
サステイナブルデザインという語も、すでに広く浸透しつつありますが、これも建築や都市をただ長寿命化すればよいと考えないでください。逆にメンテナンスフリーという考え方は、人々から時間の感覚を遠ざけてしまいます。むしろ時を意識するようなデザインが必要です。年に一度障子紙を貼り替え、数年に一度畳表を打ち替え、十数年に一度茅を葺き替える屋根のデザインは、その更新があるが故に、里山にその材料が生育する環境が維持されるものでもありました。つまりは時とともに形づくられる壮大な時計装置であったとも言えます。
時の流れを消極的に受け止めるのではなく、是非とも今までには無い、意欲的なサステイナブルデザイン、時とともに優化するデザインへの挑戦を期待しています。
以上