東京ガス株式会社(社長:広瀬 道明、以下「東京ガス」)都市生活研究所※1では、このたび「生活定点観測レポート 2014」を発行しました。
東京ガス都市生活研究所では、首都圏に暮らす人々の生活・意識・行動の現状及びその変化を経年的に把握するために「都市生活者の意識・行動観測(通称:生活定点観測)」調査を定期的に行っています。調査は1990年を始点に3年ごとに実施し、今回で第9回目となります。
本レポートでは、24年にわたる「生活定点観測調査」のデータから、各生活分野※2のトピックスを紹介しています。1990年から2014年までの間、生活者をとりまく状況が年々変化している中で、暮らしの中のどこがどのように変わってきたのか、また変わらずにきたのか、各分野の変化の特徴を示しました。
前回調査(2011年7月)からの3年間にも様々な出来事がありました。震災復興事業や原発再稼働問題など、東日本大震災に関する動きや議論が続く一方で、アベノミクスによる景気持ち直しへの期待、2020年オリンピック・パラリンピックの東京開催決定などの明るい話題もありました。そして、今回の調査は、2014年4月の消費税増税により、その明るさにやや陰りが見えた時期(2014年7月)の実施となりました。
このように、生活者をとりまく状況は変化してきましたが、「生活定点観測調査」のデータが示す人々の暮らしは、急激に変化することはなく、変化するとしてもゆるやかに、これまでと同じ方向へ動き続けるものが多いことがわかりました。長時間継続してデータを取り続けることで見えてくることもあり、本レポートが今の、そしてこれからの暮らしを考えるための一助となれば幸いです。
なお、都市生活研究所では、「生活定点観測調査」の実施ごとに、この分析を基に、「生活トレンド予測」を実施しています。今回も、2014年度のデータを踏まえてこれからの暮らしを予測する研究を行っており、まとまり次第レポートとして発行する予定です。
※1 |
都市生活研究所は、1986年に社内シンクタンクとして設立されて以来、生活者の立場から食生活や入浴、家事、室内環境など、エネルギー利用に関わる暮らしのあり方を考え、研究・発信を行っています。 |
※2 |
本レポートでは、次の8つの分野にわけてトピックスを紹介しています。
食、入浴、住まい、コミュニケーション、家事、環境・省エネ、仕事・余暇、生活者の考える暮らし |
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結果の概要 |
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1. 食
- 夕食を家で食べていることは変わらないが、毎日作る人は減少
- ご飯や味噌汁を毎日食べたい人、朝食にご飯を食べる人は減少
- 調理は『時短・省力化』の傾向
- 揚げ物はしたくない、焼き魚や煮込み料理も減少
2. 入浴
- 毎日入浴し、髪を洗うことが定着
- シャワーだけの入浴は緩やかに増加、朝シャンや朝のシャワーは増加せず
- 浴室設備の不満は解消方向へ
- 浴室に暖房がある家が増加
3. 住まい
- 都心志向、集合住宅志向が高まる
- 住宅内の空気環境への関心が高まる
- 和室のある家や、和室が欲しい人は減少
- 住まいと生活様式が洋風化
4. コミュニケーション
- 毎日家族揃って夕食を食べる人が増加
- 家族以外を家に招くことには消極的
5. 家事
- 男性の家事参加が進む
- 家事はお金をかけて外部化はせず、作業の工夫や機器の利用などで軽減
- 食料品の買い物回数は減少
6. 環境・省エネ
- 省エネ・節電行動や自家発電への関心は11年に比べて低下
- 日常生活の中で定着した環境のための行動
- 環境問題への関心や意欲が低下
7. 仕事・余暇
- 仕事よりも家庭や余暇を重視する傾向
- インターネットの利用が増加
- 自然の中でのレジャーを楽しむ人は減少
8. 生活者の考える暮らし
- 現在の暮らしに満足している人は多いが、11年と比較すると満足度は低下
- 将来的には「世の中一般の人の暮らし」は良くなると感じる人が増加
- 今後充実させたいのは食生活
- 老後は都心・集合住宅志向が拡大
- 体が弱ったら施設で暮らしたい人が増加
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調査概要 |
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1. 調査方法 (赤枠内が今回の調査)
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※登録モニターは一都三県(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)在住の20代以上の方 |
2. 調査項目
1990年から下記について同一質問の継続調査。
ただし、世の中の動向に合わせ、一部質問内容の修正及び削除、追加などを適宜実施。
(1)5つの生活分野
(食生活、住生活、入浴・健康・環境関連、余暇・仕事・家庭観、その他生活全般)
(2)5つの対象者別質問
(家事担当者、家族同居者、既婚者、高校生以下子あり、勤労者)
(3)属性
(年齢、性別、配偶関係、職業、住居、年収など)
3. 時系列データの比較方法について
各回の調査データの時系列比較にあたっては、調査時点での一都三県の性別・年代別人口構成比に沿うよう、回収サンプルに調整ウェイトをかけて集計を行い、その時々の母集団を反映する形での比較分析を実施。
(第9回のウェイト値は直近の「平成22年国勢調査」より算出)