東京ガス株式会社(社長:広瀬 道明、以下「東京ガス」)は、本年5月1日から「第28回建築環境デザインコンペティション」(後援:一般社団法人日本建築学会、公益社団法人空気調和・衛生工学会、株式会社新建築社)の作品募集を開始します。
本コンペティションは、1987年から毎年開催し、今年で28回目を迎えます。一般の建築デザインコンペティションとは異なり、本コンペティションは、「建築と設備のトータルな調和」という考えに基づき、デザイン図面だけではなく、建物の設備計画も合わせて提出いただくことが大きな特徴となっています。また建築業界の著名な先生方が、公開審査による選考を実施することも本コンペティションの魅力となっています。本コンペティションは、設計事務所や建設会社などの実務に携わっている方々や、若手の設計者、建築専攻の学生の方々などから高い評価をいただいており、前回は77作品のご応募がありました。
東京ガスは、本コンペティションの実施を通して、ますます活躍が期待される建築業界の方々や建築を専攻する学生の方々の飛躍の一助となって建築業界の発展に貢献するとともに、「環境にやさしい都市づくり」に貢献することをめざしています。
■課題『植物的建築』について(全文は【参考2】をご参照ください。)
生命体としての植物は自立している。また植物は、環境に対してダイナミックに対応することはないが、着実に環境を取り込んで成長していく。長い目でみれば、環境との対話がみごとになされているといえよう。
建築においても、古くから植物の持つ節理を考察し、それを生かしてきた。建築が動かないことは植物と同じであり、年月とともに緩やかに変わっていくことも同じである。そして年を取った建築は古びていくが、古びることで尊厳を増していくことは、伝統的な建築などに見ることができる。植物も年月を重ねることで存在感を醸し出し、群となって環境を形成していく。生命体のダイナミズムということができるであろう。
今回の課題では、そうした植物に学んだひとつの建築のあり方、群としての建築のあり方を考えて欲しい。一本ずつの木が集まって林になり森になっていくことは、ひとつずつの建築が集まって集落になり、都市になっていくことと同じではないだろうか。
植物的建築とは、広い意味で自然の摂理に基づく建築のあり方、ということができるであろう。
植物が誕生し生成していく過程にならって、建築が構成されていく過程を考察し、植物的建築とは如何なるものか、そのすぐれた魅力を提案してもらいたい。
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【参考1】第28回建築環境デザインコンペティション実施概要 |
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1. |
課題 |
『植物的建築』 |
2. |
応募対象 |
建築設計事務所、総合建設会社、専門設備工事会社、建築専攻学生などの意匠または設備設計(志望)者およびその組合せチーム |
3. |
賞金 |
最優秀賞 150万円(1点)
優秀賞50万円(3点)
佳作賞20万円(10点) |
4. |
応募登録 |
開始:2014年5月1日(木)、締切:2014年9月25日(木)
・インターネット(http://kenchiku.tokyo-gas.co.jp/)よりご登録下さい。
・郵便あるいはFAX(03-3818-6742)にて登録の場合は、「建築環境デザインコンペティション」と明記し、自宅住所、氏名、年令と、勤務先名(学校名)、勤務先(学校)住所、電話、FAX、E-mailアドレスを書き添えてお申し込み下さい。登録票をお送りいたします。 |
5. |
作品応募締切 |
2014年10月15日(水) 16時必着 |
6. |
審査方法 |
作品審査は応募全作品を対象とした一次審査会を経て、一次審査通過者による公開審査(プレゼンテーション/審査委員によるヒアリング)により最優秀賞を決定します。 |
7. |
審査発表 |
2014年12月初旬に公開審査および表彰式を行います。
審査結果につきましては、東京ガスの「建築環境デザインコンペティションサイト」、および2015年「新建築」2月号に掲載いたします。 |
8. |
審査委員 |
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委員長 |
古谷 誠章 氏(建築家・早稲田大学 教授) |
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委員 |
伊香賀 俊治 氏(慶應義塾大学 教授) |
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〃 |
工藤 和美 氏(建築家・東洋大学 教授) |
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〃 |
車戸 城二 氏(株式会社 竹中工務店 執行役員 設計本部長) |
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〃 |
田中 孝典 氏(株式会社 山下設計 代表取締役社長) |
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〃 |
西沢 立衛 氏(建築家・横浜国立大学大学院Y-GSA 教授) |
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〃 |
野原 文男 氏(株式会社 日建設計 取締役常務執行役員 設備設計部門代表) |
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〃 |
児山 靖(東京ガス株式会社 都市エネルギー事業部長) |
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コーディネーター |
馬場 璋造 氏(建築評論家) |
9. |
お問い合わせ・作品提出先
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【参考2】『植物的建築』課題全文 |
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生命体としての植物は自立している。動くことはなく、その生態は受動的であり一見弱そうにみえるが、風や雨、暑さなどにも耐えて着実に成長する。そして種子を育み、それらを独立させることで、遺伝子を伝達していく。昆虫や鳥などを遺伝子伝達の手段として巧みに利用する知恵もある。
植物は重力に逆らって土から栄養を吸収することで成長し、体内に発生する老廃物は適切に排泄して生命を保っている。冬には木の葉を枯らして落とし、本体のエネルギー消費を最小限にする。そして春になれば太陽から受ける光や熱を、自らの成長に役立てる。環境に対してダイナミックに対応することはないが、着実に環境を取り込んで成長していく。長い目でみれば、環境との対話がみごとになされているといえよう。
建築においても、古くから植物の持つ摂理を考察し、それを生かしてきた。建築が動かないことは植物と同じであり、年月とともに緩やかに変わっていくことも同じである。そして年を取った建築は古びていくが、古びることは決してマイナスだけではない。古びることで尊厳を増していくことは、伝統的な建築などに見ることができる。植物も年月を重ねることで存在感を醸し出していく。またそれは群となって環境を形成していく。生命体のダイナミズムということができるであろう。
今回の課題では、そうした植物に学んだひとつの建築のあり方、群としての建築のあり方を考えて欲しい。一本ずつの木が集まって林になり森になっていくことは、ひとつずつの建築が集まって集落になり、都市になっていくことと同じではないだろうか。無作為につくられたような林や森でも、その過程を考察していくと、そこに自然の摂理を見出すことができる。都市であっても、さまざまなモチベーションが重なり合って、都市になっていく。自然の摂理は都市のつくられ方にも働いているのである。それは、植物が林になり森になっていくのと同じではないだろうか。
植物的建築とは、広い意味で自然の摂理に基づく建築のあり方、ということができるであろう。
それは単体の建築であっても、群として都市を構成する建築であってもよい。植物が誕生し生成していく過程にならって、建築が構成されていく過程を考察し、植物的建築とは如何なるものか、そのすぐれた魅力を提案してもらいたい。
以上