東京ガスグループトピックス

熱の脱炭素への挑戦 ◆東京ガスグループが目指すCO2ネット・ゼロ

2022年3月15日

脱炭素社会の実現が人類にとっての最重要課題になっている今、東京ガスは二酸化炭素をリサイクルしてガスを作る「メタネーション」の技術を柱に、「熱の脱炭素化」に向けた取り組みを進めています。東京ガスのCMやNHKのSDGsキャンペーン動画等に出演し、自身のSNSでもSDGsの発信をしているタレントの山之内すずさんが、東京ガスでメタネーション技術開発を統括している矢加部久孝部長に、その取り組みを詳しく聞きました。

カーボンニュートラルには“熱の脱炭素化”が不可欠です(矢加部)

——山之内さんは、東京ガスの「メタネーション」を紹介するCMに出演しておられます。もともと東京ガスにはどのようなイメージをお持ちでしたか?

山之内 はじめは、火を使うとCO2が出るイメージがあるのに、東京ガスの脱炭素ってどういうことだろうと疑問に思いました。しかも「ガスを使いながらって?」と。

タレント・女優
山之内すずさん

矢加部 そう思う方は多いかもしれませんね。

——矢加部さん、改めて東京ガスの脱炭素社会実現に向けたお取り組みを教えていただけますか。

矢加部 はい。まず、今のままCO2を大気中に出し続けると地球の気温がどんどん上がり、異常気象や自然災害等が頻発し私たちの生活に大きな影響があるかもしれないことは知られていますね。これを避けるには、気温の上昇を産業革命前の平均気温からプラス1.5℃以内に抑える必要があり、できるだけ早くCO2の排出を実質ゼロ(カーボンニュートラル)にしなくてはいけません。

東京ガス株式会社
執行役員
デジタルイノベーション本部 水素・カーボンマネジメント技術戦略部長
矢加部久孝

山之内 CMにも「今が何とかできる最後のチャンス」というセリフがあります。

矢加部 そうですね。そういう危機感があって、世界各国が、CO2の排出を実質ゼロにする、「カーボンニュートラルの実現」に取り組んでいます。日本も2020年に菅前総理がカーボンニュートラル宣言を出しました。

 どれぐらい日本がCO2を出しているのかというと、日本のエネルギー起源のCO2排出量は年間約9.7億トン(2020年度)です。このうち約4割は火力発電などの発電所、約2割が自動車や鉄道などの運輸部門です。そして、約4割が家庭や産業・業務分野で「熱」を得るためにエネルギーから排出されています。再生可能エネルギーやEVなど電気の脱炭素の取り組みに注目が集まっていますが、カーボンニュートラルに向けて、実は「熱」の脱炭素化が非常に重要な取り組みになるんです。
 
 

日本のエネルギー起源のCO2排出量年間約9.7億トンのうち、産業分野・業務分野・家庭分野の熱が約4割も占めている。

山之内 暖房や調理、お風呂などでガスを使うことで排出されるCO2も、ここに入るのですね。

矢加部 はい。他にも商業施設の空調や工場などで、熱を生み出すためにエネルギーがたくさん使われています。東京ガスは地中から掘り出した天然ガスを都市ガスという形に変えて供給している会社です。天然ガスは、石油や石炭と比べてCO2の排出量が少ない燃料です。脱炭素社会実現への移行期間での温暖化対策の一つとして、石油・石炭から天然ガスの効率的な使用への切り替えも重要です。それでも天然ガスが化石燃料であり、使用時にCO2を排出することには変わりありません。

 そこで当社は2019年に、「CO2ネット・ゼロへの挑戦」を経営ビジョンに掲げました。実はこれは、国内のエネルギー企業初の「CO2ネット・ゼロ宣言」で、年間約130億m³の都市ガスを供給しているガス会社としての覚悟を示したものです。

 また2021年、経営ビジョンを実行に移すためのアクションプラン「Compass Action」を発表しました。その中で、「CO2ネット・ゼロ」の実現に向けた切り札の一つとして据えたのが、「メタネーション」です。都市ガス事業の脱炭素化にはメタネーションを利用し、また、もう一つの主力事業である電力事業の脱炭素化には再生可能エネルギーを積極的に導入し、社会のカーボンニュートラルをリードしていく考えです。

ガスを使ってもCO2を増やさないって、どういうこと?(山之内)

——「メタネーション」の説明を初めて聞いた時、山之内さんはどう受け止められましたか?


山之内 最初は「ガスを使いつつ、CO2を増やさないってどういうこと?」と疑問が浮かびましたし、「CO2をリサイクルするという発想」の新しさに驚きました。

矢加部 メタネーションは、水素とCO2を合成してガス燃料となるメタンを作る技術のことです。
 私たちが供給している都市ガスはほとんどメタンでできています。都市ガスはガス導管を通して発電所や工場、各家庭などに送られ、燃焼されることで熱と、CO2と水に変化します。そのCO2を再び回収し、水素と反応させ、メタンにもどし、またガス導管に流す。こうすることでCO2がぐるぐる循環します。

山之内 CMにあった図ですね。

矢加部 はい。燃焼で排出されたCO2を回収・利用するので、大気中のCO2は増えません。またメタネーションに用いる水素を作る時も、CO2を排出しない再生可能エネルギーを使います。作る、使う、リサイクルするという流れのなかでCO2を増やさないことから、このメタンはカーボンニュートラルなエネルギーといえます。

山之内 CO2はどうやって回収するのですか?

矢加部 いいご質問です。一つは、特殊な液体を使って吸収する方法があります。吸収させた後にもう一度取り出すわけです。炭酸水を温めると炭酸ガスが出てきますよね。同様に、特殊な液にCO2を吸収させて、温めて取り出すという方法です。火力発電所のように大量にCO2を排出しているところでは最も効率的に回収できます。ほかにもCO2しか通さない膜を使うなどの方法もあります。最新の技術として、大気中から直接回収するという技術も考案されています。

——どこまで研究が進んでいるのでしょうか。

矢加部 皆さんにご利用いただくまでに、乗り越えなくてはならない課題はいくつかあります。カーボンニュートラルメタンの生産量を、今使っている都市ガスの量まで引き上げるためには、装置を大型化しなくてはいけません。また、再生可能エネルギーを使って、原料である安価な水素を作る技術開発も急がなくてはなりません。機器メーカーのみなさまとも連携し、2030年までに実用化の体制を整え、2050年には供給する都市ガスの9割をカーボンニュートラルメタンにしていく計画です。

メタン(都市ガス)を燃やすとCO2が出る。そのCO2を回収し、再生可能エネルギーでできた水素と反応させてカーボンニュートラメタンを合成し、また、都市ガスとして供給する。CO2は供給側と需要側の間で循環し、サイクル全体でカーボンニュートラルになる。

ガス会社としてガスから出るすべてのCO2をゼロにしたい(矢加部)

山之内 私たちの生活にはどう関係してくるのでしょうか。

矢加部 今ある都市ガス導管をそのまま使えるので、お客さまは今まで通りにガスを使っていただけます。ガス機器を取り替える必要もないんですよ。
 東京ガスは、自分たちが供給したガスから出るCO2にも責任があると考えています。お客さまに不便をかけずに、お客さまが排出している分もしっかりゼロにする。それを可能にするのがメタネーション技術だと考えています。

山之内 CMで使われているシンプルな図は、社会をガラッと変える仕組みだったんですね。時間をかけてでも実現しなければいけないのだと分かりました。

矢加部 エネルギーのすべてを再生可能エネルギーに切り替えることが、カーボンニュートラルの近道だと考える人もいます。でも、例えば雨の日は太陽光発電ができない。それを補うために、どうしても火力発電などに頼らざるを得ないのです。また高い温度の熱は電気ではなかなか作れません。熱の需要で出てくるCO2と火力発電から出てくるCO2。この大きな排出量を両方とも減らすことができるのが、私たちが取り組むメタネーションの技術です。
 東京ガスは日本最大のガス会社です。ガス業界を代表して、メタネーションの技術や関連機器の技術開発を引っ張っていく責任があります。お客さまに安定したエネルギーの供給を行いながらカーボンニュートラルが実現できるように、しっかり取り組んでいきたいと思います。

山之内 気候変動で人が住みづらくなる状況って、ずっと先の話のように感じていましたが、勉強するなかで「私が生きている間のことだ!」と気付きました。私たちはもの心ついてからずっと「今年は異常気象だ」といわれ続けているので、この状況に慣れてしまっています。東京ガスのようなガスを扱っている大きな会社が、高い目標を掲げて取り組んでいることは、私のように「ガス会社が脱炭素ってどういうこと?」とか「ガスを使いつつ、CO2を増やさないとは?」と疑問を持ったり、「じゃあ自分はどうしたらいいかな」と考えたりするきっかけを作ってくれると思います。

問題に気付いた人が発信することが大事。これからも向き合っていきます(山之内)

——未来を生きる若い人に知ってもらうにはどうしたらいいでしょうか。

山之内 うーん、テレビやSNSなどで、自然に目やに入るようにしたらいいのではないでしょうか。今はスマートフォンで気軽に音楽を聴くことができるので、歌も耳に残っていいと思います。私もCM撮影の時に、SDGsの歌を口ずさんでいました(笑)。
 最近の流行は、大人が考えたことを、面白いと感じた若い人が拡散するという流れが多いと思います。微力ではありますが、私が東京ガスのCMに出演したことで、私を知っている若い世代の方が「東京ガスが温暖化対策に取り組んでいる」と知ってくれて、その子が友だちや家族に話してくれる。そうしてどんどん広がっていくんだなと感じました。だから最初のきっかけが大切なのだと思います。

矢加部 山之内さんのような発信力のある方が興味を持ってくれたことは、大きな意味がありますね。

山之内 ありがとうございます。これからも状況はすごいスピードで変わっていくと思います。でも発信する立場にある一人として、しっかり向き合って勉強し伝えていきたいと思います。

矢加部 私たちも、お客さまに「お湯を出してもお料理をしてもCO2を増やさないから安心だね」と思っていただける社会を、早く実現したいと思います。

——ありがとうございました。

山之内すずさん:スタイリング/横手 智佳 ヘアメイク/服部 さおり

山之内すずさん出演!「CO2ネット・ゼロへの挑戦」をテーマとしたCMのご紹介

山之内すずさんが未来を担う若者の立場から提議する気候変動問題、地球温暖化への危機感をストレートなメッセージで伝え、そのメッセージに対し、東京ガスグループの脱炭素社会実現にむけた姿勢やCO2をリサイクルしてガスをつくる取り組み(メタネーション)を伝える、「CO2ネット・ゼロへの挑戦」をテーマに制作した3本のCMにご出演いただいております。

「いい先輩になりたい」篇、「今あるものを活かそう」篇は、東京ガス公式YouTubeチャンネルでご覧いただけます。

東京ガスグループは、経営ビジョン「Compass2030」において東京ガスグループの事業活動全体で、お客さま先を含めて排出するCO2をネット・ゼロにすることに挑戦することを掲げています。メタネーションをはじめとしたさまざまな取り組みを通して、CO2ネット・ゼロをリードし、政府が掲げる「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現」に貢献してまいります。

ページトップへ