東京ガス株式会社(社長:岡本毅、以下「東京ガス」)は、本年5月1日から「第27回建築環境デザインコンペティション」(後援:一般社団法人日本建築学会、公益社団法人空気調和・衛生工学会、株式会社新建築社)の作品募集を開始します。
本コンペティションは、1987年から毎年開催し、今年で27回目を迎えます。一般の建築デザインコンペティションとは異なり、本コンペティションは、「建築と設備のトータルな調和」という考えに基づき、デザイン図面だけではなく、建物の設備計画も合わせて提出いただくことが大きな特徴となっています。また建築業界の著名な先生方が、公開審査による選考を実施することも本コンペティションの魅力となっています。本コンペティションは、設計事務所や建設会社などの実務に携わっている方々や、若手の設計者、建築専攻の学生の方々などから高い評価をいただいており、前回は91作品のご応募がありました。
東京ガスは、本コンペティションの実施を通して、ますます活躍が期待される建築業界の方々や建築を専攻する学生の方々の飛躍の一助となって建築業界の発展に貢献するとともに、「環境にやさしい都市づくり」に貢献することをめざしています。
■課題『「設備」を可視化した建築』について(全文は【参考2】をご参照ください。)
建築において設備は構造とともに重要な機能であり、建築空間を心地よいものとするために不可欠ともいえる役割を担っているが、設備機器がデザイン的に配慮されることはなかったと言ってよい。設備機器は包み隠されるものだったのである。
しかし建築のデザインに対する見方が変わってきて、設備は単に隠蔽されるものでなく、建築の主要な一部として姿形を見せるデザインが現れてきた。以降、建築において設備とは隠蔽すべきものなのか、あるいは露出すべきものなのかの議論が始まる。
ただし、設備は構造のような機能と形態が密接に関連するものではない。どこまでを見せ、どこからは見せないかが、建築家の重要な判断になる。
これからの建築において、設備を可視化することで、いままでと異なった空間の魅力を表現することができないだろうか。それは環境をつくることでもある。
可視化の意味を広げて考えて欲しい。求めているのは、設備と建築デザインのハイブリッドだということなのである。
「設備」を可視化することで、さらに豊かな建築空間が現出されることを期待したい。
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【参考1】第27回建築環境デザインコンペティション実施概要 |
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1. |
課題 |
『「設備」を可視化した建築』 |
2. |
応募対象 |
建築設計事務所、総合建設会社、専門設備工事会社、建築専攻学生などの意匠または設備設計(志望)者およびその組合せチーム |
3. |
賞金 |
最優秀賞 150万円(1点)
優秀賞 50万円 (3点)
佳作賞 20万円 (10点) |
4. |
応募登録 |
開始:2013年5月1日(水)、締切:2013年9月25日(水)
・インターネット(http://kenchiku.tokyo-gas.co.jp/)よりご登録下さい。
・郵便あるいはFAX(03-3818-6742)にて登録の場合は、「建築環境デザインコンペティション」と明記し、住所、氏名、年令と、勤務先または学校名、電話、FAX、E-mailアドレスを書き添えてお申し込み下さい。登録票をお送りいたします。 |
5. |
作品応募締切 |
2013年10月15日(火) 16時必着 |
6. |
審査方法 |
作品審査は応募全作品を対象とした一次審査会を経て、一次審査通過者による公開審査(プレゼンテーション/審査委員によるヒアリング)により最優秀賞を決定します。 |
7. |
審査発表 |
2013年12月初旬に公開審査および表彰式を行います。審査結果につきましては、東京ガスの「建築環境デザインコンペティションサイト」、および2014年「新建築」2月号に掲載いたします。 |
8. |
審査委員 |
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委員長 |
古谷 誠章 氏(建築家・早稲田大学 教授) |
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委員 |
伊香賀 俊治 氏(慶應義塾大学 教授) |
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〃 |
田中 孝典 氏(株式会社 山下設計 代表取締役社長) |
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〃 |
西沢 立衛 氏(建築家・横浜国立大学大学院Y-GSA 教授) |
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〃 |
原田 仁 氏(株式会社 三菱地所設計 専務執行役員設備設計統括部長) |
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〃 |
日置 滋 氏(清水建設株式会社 常務執行役員設計・プロポーザル統括) |
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〃 |
安田 幸一 氏(建築家・東京工業大学大学院 教授) |
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〃 |
児山 靖(東京ガス株式会社 都市エネルギー事業部長) |
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コーディネーター |
馬場 璋造 氏(株式会社 建築情報システム研究所 代表) |
9. |
お問い合わせ・作品提出先
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【参考2】『「設備」を可視化した建築』課題全文 |
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建築において設備は構造とともに重要な機能であり、建築空間を人間にとって心地よいものとするために不可欠ともいえる役割を担っているが、ほとんど表に顔を見せることはない。そのもたらす温湿度、風、光などをコントロールすることが主目的だからである。
そうしたこともあって、かつて設備機器がデザイン的に配慮されることはなかったと言ってよい。設備機器は包み隠されるものだったのである。
しかし建築のデザインに対する見方が変わってきて、まず構造がデザイン要素として考えられるようになった。洗練された構造を素直に表現した空間は、美しく魅力的である。
そして、パリのポンピドーセンター(1977)の完成以来、設備は単に隠蔽されるものでなく、構造躯体と共に建築の主要な一部として姿形を見せるデザインが現れてきた。以降、建築において設備とは隠蔽すべきものなのか、あるいは露出すべきものなのかの議論が始まる。
ただし、ここで考慮しなければならないのは、設備は構造のような機能と形態が密接に関連するものではないので、そのまま見せればよいというものでもない。ただ見せるだけでは露悪趣味になってしまう危険性がある。どこまでを見せ、どこからは見せないかが、建築家の重要な判断になる。また見える部分の設備機器にデザイン的配慮をすることで、空間のデザイン要素とすることもできる。
これからの建築において、設備を可視化することで、いままでと異なった空間の魅力を表現することができないだろうか。可視化とはいうが、それはただ見せればよいということではない。直接には見えないが、存在を感じさせることも可視化の範疇に入るであろう。ピアノがその後の関西空港で実現した、気流だけのエアダクトなども、設備そのものは見せたとも隠したとも言えないものだ。それは環境をつくることでもある。
可視化の意味を広げて考えて欲しい。求めているのは、設備と建築デザインのハイブリッドだということなのである。
「設備」を可視化することで、さらに豊かな建築空間が現出されることを期待したい。
以上
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