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「水素ハイウェイプロジェクト」における「羽田水素ステーション」の開所について
〜国内初の天然ガススタンド併設型水素ステーション〜

東京ガス株式会社
平成22年12月7日
広報部

 

   東京ガス株式会社(社長:岡本毅、以下「東京ガス」)は、羽田空港近傍の大田区京浜島に「羽田水素ステーション」(以下「本ステーション」)を建設し、本年12月15日に開所いたします。
本ステーションは、経済産業省の「水素利用社会システム構築実証事業」のひとつである「水素ハイウェイプロジェクト※1」において、同事業実施者である水素供給・利用技術研究組合※2(理事長:吉田正寛)からの委託を受けて建設・運用するものです。
   本ステーションは、既存の天然ガススタンドに併設するもので、日本初の天然ガススタンド併設型の水素ステーションになります。本ステーションでは、都市ガスを改質して水素を製造し、その際に発生するCO2の分離・回収を行います。水素ステーションで供給する水素を製造しながら、CO2の分離・回収の実証を行うのは日本で初めてです。
   本ステーションは、本年12月16日から羽田空港(東京都大田区)〜新宿駅西口(東京都新宿区)間、羽田空港〜東京シティエアターミナル(東京都中央区)間に定期営業運行する燃料電池バスに水素を供給します。
   東京ガスは本ステーションで、事業化段階に近い稼働条件での運転データの収集や、水素ステーション利用者へのアンケート調査などを実施し、水素供給の事業化に向けた課題の抽出と解決を図ってまいります。

本ステーションの特長

1.天然ガススタンド併設型水素ステーション

   本ステーションは、大田清掃工場内に東京ガスが設置している天然ガススタンド「京浜島エコ・ステーション※3」に、東京二十三区清掃一部事務組合の協力を得て水素ステーションを併設するもので、日本初の天然ガススタンド併設型水素ステーションになります。
   水素ステーションと天然ガススタンドを併設することで、水素ステーションの立地の確保のほか、将来的には天然ガススタンドと水素ステーションを一体運営することで、運転人員の共通化による人件費削減、メンテナンス費用など維持管理コストの削減、敷地の有効利用などのさまざまなメリットが期待できます。

2.都市ガスから水素を製造する際に発生するCO2を分離・回収

   水素は使用時にはCO2を排出しませんが、都市ガスから水素を製造する際にはCO2を排出します。本ステーションでは、水素製造時に発生するCO2を分離・回収し、液化する実証を行います。今回の実証では、1時間あたり、一般のご家庭1件が約半月で使用する都市ガスに相当する19Nm3の都市ガスを原料として、燃料電池自動車(乗用車)約1.5台分※4にあたる50Nm3の水素を製造し、あわせて、10kgのCO2を液体で回収します。回収したCO2については、工業用原料として有効利用する方法などを検討します。

   東京ガスはこれまで、JHFC千住水素ステーション(東京都荒川区)※5の運転を行うなど、水素供給についての技術的な実証を重ねてまいりました。この知見を活かし、本ステーションの建設・運営を実施いたします。
   東京ガスは今後も、燃料電池自動車の普及に向けた水素供給事業の基盤確立に貢献するとともに、将来の水素利用拡大に向けた準備を進めてまいります。

※1 「水素ハイウェイプロジェクト」は、「羽田水素ステーション」、「成田水素ステーション」、「東京・杉並水素ステーション」の3つの水素ステーションを建設・運用し、日本初となる燃料電池自動車の高速道路経由での定期的な運行を行うプロジェクトです。
※2 水素供給・利用技術研究組合は、燃料電池自動車・水素供給インフラ普及に向けた社会実証試験を実行することを目的として2009年7月31日に経済産業大臣の認可を得て設立された法人で、東京ガスを含む13社が参加しています(2010年12月時点)。
※3 「京浜島エコ・ステーション」は東京ガスが大田清掃工場内の土地を東京二十三区清掃一部事務組合から賃借して設置したものです。
※4 35MPa充填の場合。
※5 経済産業省が実施する「水素・燃料電池実証プロジェクト(Japan Hydrogen & Fuel Cell Demonstration Project)」で、東京ガスと大陽日酸が2003年から運用している水素ステーションです。当初はLPG(液化石油ガス)から水素を製造して燃料電池自動車に供給していましたが、2005年以降は都市ガスから水素を製造しています。2008年には従来の充填圧力35 MPaの2倍の70 MPaで水素を充填する設備を増設しました。

羽田水素ステーション外観

羽田水素ステーション

■羽田水素ステーション


燃料電池バスが停車中の羽田水素ステーションと 京浜島エコ・ステーション

■燃料電池バスが停車中の羽田水素ステーションと 京浜島エコ・ステーション

仕様概要

建設・運用 東京ガス株式会社
水素供給方式 都市ガス改質(水蒸気改質 + PSA)
CO2分離回収
圧縮設備 能力 50Nm3/h
圧力 40MPa
蓄ガス設備 内容積 300L×18本
圧力 40MPa
充填圧力 35MPa
主要構成機器 水素製造装置、水素圧縮機、蓄圧器、ディスペンサー、 CO2分離回収装置
所在地 東京都大田区京浜島3−7−1

システムフロー図

システムフロー図
水素製造装置: 都市ガスの主成分のメタン(CH4)に水(H20)と熱を加え、触媒を用いて水素(H2)、一酸化炭素(C0)、二酸化炭素(C02)に分解します。反応温度は約800℃です。その後、吸着剤を用いて水素以外の不純物ガスを除去し、99.99%の水素を製造します。除去した一酸化炭素などの不純物ガスは、都市ガスとあわせて水素製造時の加熱に利用します。
C02分離回収装置: 水素製造装置で除去した不純物ガスから、吸着剤を用いてC02のみを分離し、回収します。回収したC02を運搬しやすくするため、加圧、冷却し、液化炭酸ガスとして容器に詰めます。
水素圧縮機: 水素製造装置で製造した水素の圧力を、燃料電池自動車に充填するために必要な圧力まで高めます。
蓄圧器: 圧力を高めた水素を貯めておきます。
ディスペンサー: 水素を燃料電池自動車の燃料タンクに充填します。
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