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東京ガス 都市生活研究所が
都市生活レポート 「高齢者の入浴と睡眠」を発行
〜お風呂で健康に 浴槽入浴でよい睡眠を〜

東京ガス株式会社
平成22年9月24日
広報部

 

   東京ガス株式会社(社長:岡本 毅、以下「東京ガス」)都市生活研究所では、このたび、都市生活レポート「高齢者の入浴と睡眠」を発行しました。

   今回健康な高齢者を対象として入浴が睡眠に与える影響について高齢者の自宅での実験を実施し、生理計測による評価と主観評価をあわせた評価をおこないました。

   本研究によると、直腸温と主観評価に有意な差が見られ、浴槽入浴は「よく眠れた」「眠りが深かった」と感じ、睡眠の質がよくなることを示唆する結果となりました。
   10分以上お湯につかる入浴をおこなうことが身体を温め、その結果、体の深部体温の低下に効果をもたらし、高齢者の「よい睡眠」を得たという評価につながったと考えられます。

   「入浴と睡眠」の関連については、健康な大学生を対象にした既往研究で、就寝前の入浴は「睡眠の質」を大きく改善させる効果があることが報告されていますが、今回高齢者を対象とした研究でも同様の傾向が見られました。

   これまで、高齢者向けの入浴・浴室提案では、「安全な入浴」を目的としたものが多くおこなわれてきました。しかし、2009年に発表した「生活空間コンセプトVOL2 高齢者の住空間研究 東京ガス都市生活研究所編2009年」(以下「生活空間コンセプトVOL2」)によると元気な高齢者は、入浴に対して「安全」だけでなく、「気持ちの充実」「体の健康」を求めていることがわかっています。
   また、「高齢者の生活実態」(平成17年度 東京都実施)によると現在の高齢者の約9割が日常生活のことはほぼ自分ででき、ひとりで外出できる「生活自立」タイプであることがわかっています。

   超高齢化社会をむかえる中で、今後は加齢への配慮はもちろん、「気持ちをリセット」する効果や「日々の体調維持」効果といった、心身の健康に役立てる視点が必要と考えられます。

※本研究は、産業技術総合研究所 都築和代先生との共同研究にて実施しました。
※レポートは、10月1日以降東京ガス都市生活研究所ホームページからダウンロードできます。 http://www.toshiken.com/report/

実験の概要

実験期間: 2009年12月〜2010年1月 1週間ずつ3グループに分けて実施
対象者 : 65歳から73歳の男女12名(男性6名、女性6名)
(起床時刻・就寝時刻が比較的規則正しく、服薬していない等健康であることが条件)
実験方法: 健康な高齢者を対象とし、高齢者の自宅で実施。
4条件の実験日を設定し、各条件日の睡眠状態の比較をおこなった。
就寝時刻の1時間から1時間半前までに入浴をすませる。
(1)普段どおりの入浴 (2)入浴なし (3)浴槽入浴I(湯温40℃、10分) (4)浴槽入浴II(湯温40℃、10分を2回)
  睡眠評価 項目   実験概要  
<身体的によく眠れているか>
・睡眠時間が十分である
・寝つきがよい⇒「入眠潜時」が短い
・途中で目が覚めない
  ⇒「睡眠効率」が高い
・生理計測による評価
自宅での睡眠評価を行う。
◆アクチグラフによる身体活動量を計測し「睡眠時間」「入眠潜時」※1.「睡眠効率」※2.を算出。
◆直腸温と皮膚温7か所の測定を行う。
     
<主観的によく眠れていると感じるか>
・朝すっきりと目覚める
・よく眠れたという満足感がある
・主観評価
◆就寝前と起床後にそれぞれ主観申告をおこなう

※1.入眠潜時:入眠するまでの時間。短いほどよい。皮膚温や直腸温が影響するといわれる
※2.睡眠効率=(就床時間-中途覚醒時間)/就床時間

 

実験結果

1. 睡眠中の身体活動量計測による睡眠変数の評価では、有意差は認められない。ただし、 入浴しない場合では、個人差が大きくなり睡眠が悪くなるケースがあると考えられる。
2. 皮膚温・直腸温計測結果によると、皮膚温については、有意さは見られないが、「入浴なし」に比べて「浴槽入浴した」場合のほうが直腸温の低下度が大きい。
3. 主観申告によると浴槽入浴をした場合のほうが、睡眠が深く、最近の眠りと比べてよく眠れたという評価が得られた。
 

以上より、10分以上お湯につかる入浴をおこなうことが身体を温め、その結果、体の深部体温の低下に効果をもたらし、高齢者の「よい睡眠」を得たという評価につながったと考えられる。

参考

「生活空間コンセプトVOL2 高齢者の住空間研究」2009年10月
◆アンケート調査(2008年8月)
・対象者:1,050名(20〜89歳男女)
・調査方法:web調査、訪問面接調査
・調査地域:東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県
 
◆インタビュー調査(2008年10月)
・対象者:65歳〜81歳の男女9名
・調査方法:デプスインタビュー
 
◆第2回アンケート追加調査(2009年1月)
・対象者:20歳〜84歳男女975名(平成17年国勢調査における1都3県の未婚率を割付。また、60代〜80代は被介護者でない者を対象とした)
・調査方法:訪問面接聞き取り方式 (60〜80代の300名)およびインターネット調査400名(比較対象の30代200名と高齢予備軍200名)

 

東京ガス都市生活研究所について

東京ガス都市生活研究所(http://www.toshiken.com/)は、1986年社内シンクタンクとして設立されて以来、都市で生活する人々が求める今後の暮らしについて調査研究をかさね、情報発信をしています。研究分野は入浴、料理、暖房、住まいのあり方、環境意識など、生活者の日々の暮らし全般にわたり、さまざまな角度から調査研究を行うことで、これからの豊かなライフスタイルの方向性や具体的な提案を行っています。

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