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再生可能エネルギーを利用した建物間融通型エネルギーの面的利用による
省CO2推進モデル事業について
〜東京ガス熊谷支社およびマロウドイン熊谷に熱融通システムを導入〜

熊谷市
東京ガス株式会社
平成21年11月5日

 

  熊谷市(市長:富岡清)と東京ガス株式会社(社長:鳥原光憲、以下「東京ガス」)は、国土交通省が公募していた「住宅・建築物省CO2推進モデル事業※1」に、共同提案プロジェクト「再生可能エネルギーを利用した建物間融通型エネルギーの面的利用による省CO2推進モデル事業(以下「本プロジェクト」)」を申請し、本日採択されました。
  本プロジェクトは、東京ガス熊谷支社(埼玉県熊谷市銀座3−71、支社長:中島靖夫、以下「熊谷支社」)屋上において、既設の太陽熱集熱器から得られる太陽熱の余剰熱を、このたび新たに敷設する熱融通導管を利用し、公道(市道)を挟んで隣接するホテルのマロウドイン熊谷(埼玉県熊谷市銀座1−64)に熱融通するものです。あわせて、熱融通の際に必要となる熱媒の温水を運ぶためのポンプ動力の省CO2を実現する太陽光発電パネル、太陽熱の出力変動をコージェネレーションシステムからの廃熱によって補完し、更なる省CO2を図るためにガスエンジンコージェネレーションシステム(以下「ガスエンジンCGS」)を導入いたします。なお、太陽熱を所有者の異なる民間建物間で熱融通することは、日本で初めてとなります。
  熊谷市は、「年間を通じた快晴日の多さ」や「夏の暑さ」を地域の資源として活用する取り組みを進めており、本年3月策定の「熊谷市地球温暖化対策地域推進計画」における重点的な取り組みのひとつに太陽熱の利用を位置付けております。本プロジェクト実施において、熊谷市は、本プロジェクトの計画指導、熱融通導管の道路占用許可等の行政的支援を行っております。
  本プロジェクトに関わる建設工事は、本年11月に着工し、今年度内に竣工する予定であり、平成23年度末までデータ収集および技術検証等を行ってまいります。
※1 住宅・建築物省CO2推進モデル事業
家庭部門・業務部門のCO2排出量が増加傾向にある中、住宅・建築物における省CO2対策を強力に推進し、住宅・建築物の市場価値を高めるとともに、居住・生産環境の向上を図るため、省CO2の実現性に優れたリーディングプロジェクトとなる住宅・建築プロジェクトに対して、国土交通省が公募・支援する事業。

本プロジェクトの概要

  現在、熊谷支社では、屋上に設置されている太陽熱集熱器から得られる熱を、熊谷支社内の冷暖房や給湯に利用しております。しかし、熊谷支社は事務所ビルであることから、給湯需要は限定的であり、また、空調需要の低い春や秋、出勤者の少ない日曜・祝日等には空調向けの温熱・冷熱需要も低下するため、太陽熱の余剰熱が生じます。一方、熊谷支社と公道を挟んで隣接するマロウドイン熊谷では、年間を通じて安定的な熱需要があります。
  本プロジェクトは、空調・給湯需要パターンの異なる建物間の特性を活用し、建物間融通型エネルギーの面的利用を実施し、太陽熱を最大限に有効活用するものです。あわせて、太陽熱の集熱量等の変動を、環境負荷の低いガスエンジンCGSの廃熱で補完するとともに、熱融通に伴うポンプ動力相当分の電力を太陽光発電により賄うことで、一層の省エネルギー・省CO2を図ってまいります。

本プロジェクトの実施背景

  鳩山政権が発表した中期目標では2020年のCO2排出量を1990年比25%削減することが掲げられる等、低炭素社会実現に向け、需要の伸びの著しい民生部門の更なる省CO2が求められています。このため、建物単体ではなし得ない更なる省CO2を実現するため、「エネルギーの面的利用」による高効率化や再生可能エネルギー・未利用エネルギーの大幅な導入拡大が有望な対策として期待されております。
  特に、膨大なストックが存在する中小規模ビル向けの具体的な省エネルギー・省CO2対策のため、2008年5月に改正された省エネルギー法により、2,000m2以下の中小規模ビルにも省エネ規制の範囲が拡大されました。本プロジェクトは、こうした動向を背景として、中小規模事務所ビルの熱源改修にあわせて導入された既設の太陽熱利用システムにおいて、ピーク期以外の時期に発生する太陽熱の余剰熱を余すところなく、かつ最大限に有効活用することを主眼に実施いたします。あわせて、空調・給湯需要パターンの異なるホテルが隣接する立地上の特性を活かした建物間熱融通により、建物単体を超えたエネルギーの面的利用による更なる省エネルギー・省CO2が可能なことを検証してまいります。

期待される省CO2効果

  熊谷支社の屋上に設置されている太陽熱集熱器から得られた太陽熱は、これまで、熊谷支社内で使用する空調用および給湯用の熱源として利用されてきました。しかし、季節や曜日によっては、太陽熱集熱器から得られた熱に余剰が生じ得ることから、本プロジェクトでは熱融通導管を通じてマロウドイン熊谷へ供給いたします。
  本プロジェクトを通じ、太陽熱集熱器からの余剰熱をマロウドイン熊谷の厨房で使用する給湯用熱源として活用するとともに、このたび導入されるガスエンジンCGSからの廃熱も融通することで、両建物合計で年間約11トンの省CO2効果が期待されます。

本プロジェクトのシステム構成

■システムイメージ図
(1)隣接する建物に対する建物間融通型エネルギーの面的利用(2)熱融通する際のポンプ動力相当分を太陽光発電から供給(3)環境負荷の低いCGSの廃熱により太陽熱の出力・温度レベルの変動を補完(4)地域への「見える化」を通じた省CO2推進意識の啓発
■システムフロー図
■主要機器仕様
【新設】
機器名称 仕様
太陽光発電パネル
多結晶型  
最大出力 5kW
ガスエンジンCGS
定格出力 25.0kW 200V
発電効率 33.5%(LHV)
廃熱回収率 51.0%
熱融通導管
給湯管 25A 往き・戻り各1系統
 
【既設】(参考)
機器名称 仕様
太陽熱集熱器
真空管式  
集熱面積 約72m2
ピーク集熱量 約47kW※2
太陽熱駆動吸収冷凍機
冷房能力 35.2kW
COP 0.70※3
ガス吸収冷温水機
冷房能力 141kW
暖房能力 125kW
冷房COP 1.36※4
業務用潜熱回収型高効率給湯器「エコジョーズ」
給湯能力 87.2kW
熱効率 95%※5
※2 熊谷支社での設置条件を想定した東京ガス試算結果。
※3 JIS B 8622:2002による。ただし、温水入口温度88℃の条件。
※4 JIS B 8622:2002による。ガス吸収冷温水機の仕組みについては、東京ガスホームページをご参照ください。
http://eee.tokyo-gas.co.jp/product/kyusyusiki/index.html
※5 (財)日本ガス機器検査協会基準JIA D 002-09による。

本プロジェクトの実施スケジュール

平成21年度 平成22年度 平成23年度
11月:着工、年度内:竣工
  ・熱融通導管敷設工事
・太陽光発電システム工事
・ガスエンジンCGS工事
・「見える化」システム工事
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熊谷支社の概要

住所 埼玉県熊谷市銀座3−71
竣工 1984年7月
延床面積 1,400m2
構造・階数 RC構造・地上3階建て
用途 1階・・・ショールームおよび料理教室、2階・3階・・・事務所

マロウドイン熊谷の概要

住所 埼玉県熊谷市銀座1−64
竣工 1986年4月
延床面積 8,940m2
構造・階数 RC構造・地上9階建て
用途 ホテル、レストラン、宴会場
マロウドイン熊谷(左)と公道を挟んで隣接する熊谷支社(右)

  熊谷市および東京ガスは、今後も、低炭素社会実現に向け、再生可能エネルギーの導入拡大等による温室効果ガスの排出削減に対する取り組みを積極的に推進してまいります。

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