東京ガス株式会社
東京電力株式会社
平成21年11月4日
東京ガス株式会社(社長:鳥原光憲、以下「東京ガス」)と東京電力株式会社(社長:清水正孝、以下「東京電力」)が、1969年11月4日に日本で初めてLNG※1(液化天然ガス)を受け入れてから本日で40周年を迎えました。
両社はLNGの導入にあたり、安定した供給が見込めることや、環境対策上有効な原料・燃料といったLNGの特性に加え、購入および貯蔵基地の運営に関し、両社共同で取り組むことによるコストメリットなどが見込めると判断し、1967年3月にアラスカLNGプロジェクトから購入を決定しました。
東京ガスは、これまでに、アメリカ、ブルネイ、マレーシア、オーストラリア、インドネシア、カタール、ロシアなどから累計約1.7億トンのLNGを受け入れてまいりました。LNGは、それまでの石炭や石油から都市ガスを製造するよりも、少ないエネルギーで都市ガスを製造することができるため、当時からガス販売量が10倍に増加しているにも拘らず、ガス製造時のCO2排出量を約95%以上※2削減することができました。また都市ガスの主原料をLNGに変更したことにより、当時と比べお客さま先の燃焼時におけるCO2排出量を約6%削減※3することができました。今後も、安全かつ安定した都市ガス供給を継続し、低炭素社会の実現に向けて、天然ガスのさらなる高付加価値化による一層の普及・拡大を目指してまいります。
東京電力では、環境対策の観点から「ばいじん」「硫黄酸化物」の発生が無いLNGを世界で初めて南横浜火力発電所において発電用燃料として利用し、これまでに9か国の長期契約を中心に累計約4.3億トンのLNGを受け入れております。今後も、電力の安定供給や環境性・経済性などを踏まえ、CO2排出量の少ない高効率のLNG火力発電の開発を進めるとともに、火力・水力・原子力・再生可能エネルギーなどの電源のベストミックスをさらに推進し低炭素社会を目指してまいります。
※1: |
Liquefied Natural Gas(液化天然ガス)の略語。天然ガスを-162℃まで冷却し液化させたもので、気体の状態に比べ体積は約600分の1になります。この性質を利用し、天然ガスをパイプラインで輸送できない地域へもLNG船などにより、大量輸送が可能となりました。LNGは、天然ガスを液化する過程で、「硫黄」や「ちり」などの不純物をほとんど除去するため、燃焼時においては、大気汚染の原因とされる「ばいじん」や「SOX(硫黄酸化物)」を排出せず、「NOX(窒素酸化物)」の排出も抑えます。また地球温暖化の主要因とされるCO2排出量が、石油・石炭などの化石燃料と比べ、2割〜4割少ないクリーンなエネルギーです。 |
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※2: |
ガス製造時のCO2排出量(1972年度:約460万トン-CO2、2008年度:15.6万トン-CO2) |
※3: |
LNG導入前の都市ガス成分で試算(ガス機器およびガス設備の性能向上分を除く) |
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LNG導入の経緯 |
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天然ガスは、環境に優しく、高い熱量を持つエネルギーという点で、石炭・石油系エネルギーに代わるガス化原料・燃料として早くから注目されておりましたが、天然ガスの液化技術およびLNGの輸送技術が開発されておりませんでした。
1959年に「メタン・パイオニア号」が、アメリカからイギリス間のLNG海上輸送に成功し、天然ガスの液化技術およびLNGの液化輸送技術が実用段階に至ったため、両社は、1967年3月にアラスカLNGプロジェクトからの導入を下記の理由により決定しました(契約当時の調印者:東京ガス 本田弘敏社長、東京電力 木川田一隆社長)。
(1) |
天然ガスの埋蔵量は、21兆m3(1960年当時)※4であり、今後、積極的な探鉱によって埋蔵量が飛躍的に拡大する可能性があること |
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※4:天然ガスの確認埋蔵量は、2008年時点で約177兆m3 |
(2) |
天然ガスは、アメリカ以外ではほとんど利用されておらず、豊富で安定した供給が得られること |
(3) |
天然ガスは、化石燃料の中では最もクリーンなエネルギーであり、環境対策上、有効な原料・燃料となること |
(4) |
アラスカLNGプロジェクトは、LNG安定供給の観点からLNG船が少なくとも2隻以上あることに加え、輸送距離が短く輸送コストの低いLNGプロジェクトであること |
(5) |
東京ガスと東京電力が共同で購入し、さらにはLNGを受け入れる基地を共同で運営することにより、原料・燃料コストの低減を図り、受入・貯蔵・気化設備などの設備投資ならびに運転コストを抑えることができると判断したこと |
その後、東京ガス根岸工場と東京電力南横浜火力発電所からなる両社の共同基地である根岸基地(横浜市磯子区)に、1969年11月4日に、アラスカからLNG船「ポーラアラスカ号」が入船し、日本で初めてLNGが導入されました。

<日本へ初めてLNGを輸送した「ポーラアラスカ号」>
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参考資料 |
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都市ガスの原料構成と製造時におけるCO2排出量について

東京ガスのLNG導入前と現在の比較
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LNG導入前 |
現在 |
お客さま件数 |
348万件(1968年度末) |
1,025万件(2008年度末) |
ガス販売量実績 |
13億m3(1968年度) |
135億m3(2008年度) |
東京ガス社員数 |
9,865人(1968年度末) |
8,345人(2008年度末) |
一人当たりガス販売量 |
13.3万m3/人 |
162.8万m3/人 |
製造時におけるCO2排出量 |
約460万トン-CO2(1972年度) |
15.6万トン-CO2(2008年度) |
燃焼時におけるCO2排出量 |
0.0543kg-CO2/MJ
(当時の6Bガスより試算) |
0.0509kg-CO2/MJ
(13Aガスより試算) |
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以上
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