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UR都市機構「ひばりが丘団地ストック再生実証試験住棟」における
「環境負荷低減住宅」および「高齢者向け自立支援型住宅」の
住戸改修工事の完了について

東京ガス株式会社
平成21年9月17日
広報部

 

   東京ガス株式会社(社長:鳥原 光憲、以下「東京ガス」)は、独立行政法人都市再生機構(理事長:小川 忠男、以下「UR都市機構」)が進める「ひばりが丘団地ストック再生実証試験住棟を活用した住戸改修技術にかかる共同研究※1(以下、「本研究事業」)」において、東京ガスが共同研究者として選定された2つのテーマ「環境負荷低減住宅」と「高齢者向け自立支援型住宅※2」に基づく住戸の改修を完了しました。

   本研究事業は、UR都市機構が昭和30年代から昭和40年代前半に建設した住棟・住戸を、少子高齢社会や多様化するニーズに対応して改修・再生する「ルネッサンス計画1※3」の一環で行われています。東京ガスは、最新のガス設備を用いた快適な住空間への改修による生活提案を行うとともに、住戸改修技術についての知見を得ることを目的として本研究事業に参加しました。
   東京ガスとUR都市機構は平成20年9月30日に共同研究協定書を締結し、設計期間を経て、平成21年4月に改修工事を開始していました。

   「環境負荷低減住宅」では、集合住宅のバルコニーに設置した太陽熱集熱パネルに潜熱回収型高効率給湯暖房機「エコジョーズ※4」を組み合わせた「集合住宅用太陽熱利用給湯システム※5」(平成22年2月に商品化予定)の試作機や、エネルギー使用量を“見える化”する「エネルックリモコン※6」などを使用しています。「集合住宅用太陽熱利用給湯システム」や高効率機器の導入などにより、年間のCO2排出量を約42%削減することが可能です。
   「高齢者向け自立支援型住宅」では、高齢者が自立した生活を継続できるように、身体機能の低下予防や認知症予防に配慮するとともに、要介護時や車椅子生活などの状況変化に応じて、居住者自らが間取りを簡易に改造できる住戸改修技術を取り入れています。また、高齢者も安全に使えるガスコンロ「Siセンサーコンロ※7」や、温度のバリアフリー化を実現する「ガス温水床暖房」や「浴室暖房乾燥機」、洗い場でいすに座ったまま入浴でき、入浴介護の負荷低減に寄与する「ミストサウナ」などを導入しています。

   今後、東京ガスとUR都市機構は、日射量の測定やそれに基づくCO2削減量シミュレーション、有識者や介護経験者による住宅の評価・検証などを平成22年3月末まで行ってまいります。

※1: 本研究事業は、東京都東久留米市にある「ひばりが丘団地」(昭和35年管理開始)にある住戸を改修し、その施工の実証試験を行うものです。
※2: 「高齢者向け自立支援型住宅」は、地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターとの共同研究です。
※3: UR都市機構は、現在約76万戸の賃貸住宅を管理しており、その多くは昭和30年代から昭和40年代前半に建設されたエレベーターのない4〜5階建ての住棟(中層階段室型住棟)です。「ルネッサンス計画1」は、この中層階段室型住棟の再生手法として、住棟単位でのバリアフリー化や、21世紀にふさわしい間取りや内装・設備への転換などの改修技術の開発をめざしたものです。
※4: 「エコジョーズ」は、これまで排熱として捨てていた熱を効率的に回収することにより、給湯効率が従来の80%から95%まで向上した高効率給湯暖房機です。
※5: 「集合住宅用太陽熱利用給湯システム」は、集合住宅のバルコニーに手すりと一体となった太陽熱集熱パネルを設置して太陽熱を取り込み、潜熱回収型高効率給湯暖房機「エコジョーズ」と組み合わせることで、いつでも快適にお湯をお使いいただける給湯システムです。東京ガスでは、平成19年度から平成20年度まで独立行政法人建築研究所と共同で、国土交通省先導技術開発助成事業を受託して性能評価を行い、平成22年2月の商品化をめざして開発を進めています。
※6: 「エネルックリモコン」は、ご家庭のエネルギー(ガス、お湯、電気)の使用量、料金目安、CO2排出量などを表示することができる機能を搭載した給湯暖房機の台所リモコンです。
※7: 「Siセンサーコンロ」は、ガスコンロのすべての火口に3つの安全機能−「安心センサー」(調理油が自然発火する約370度に達する前に、約250度で自動で火を消す機能)、「消し忘れ消火機能」(一定時間以上連続使用しているコンロやグリルを自動消火し、万一の消し忘れをカバーする機能)、「立ち消え安全装置」(風などで万が一火が消えた場合もガスを自動的に止める機能)−を搭載したコンロです。東京ガスが現在販売しているコンロは、すべてSiセンサーコンロです(卓上一口コンロおよび七輪を除く)。
 

共同研究テーマの概要

(1)「環境負荷低減住宅」
  居住者の生活スタイルを制約せず、環境にやさしい行動をさりげなく促す環境負荷低減住宅
  集合住宅のバルコニーに設置した太陽熱集熱パネルに潜熱回収型高効率給湯暖房機「エコジョーズ」を組み合わせた「集合住宅用太陽熱利用給湯システム」、節水入浴ができる「ミストサウナ」などを設置することにより、約42%のCO2排出量の削減が可能となることを提案。
また日々のエネルギー使用量を分かりやすくお知らせする「エネルックリモコン」を利用することにより、居住者の生活スタイルは制約せずに、地球環境にやさしい行動を促します。
 
■ 改修住戸に設置した「集合住宅用太陽熱利用給湯システム」試作機
 

「環境負荷低減住宅」におけるCO2排出量削減

  CO2排出量削減率 年間合計 約42%削減 (応募条件に基づき試算)
設置機器・提案機器 CO2排出量
(kg-CO2
従前 従後
省エネ型エアコン 173 96
潜熱回収型高効率給湯暖房機「エコジョーズ」
「集合住宅用太陽熱利用給湯システム」
「ミストサウナ」入浴
633 345
高効率ビルトインコンロ(ガスコンロ) 95 86
節水型大便器 8 6
その他(「ミストサウナ」による節水)   -6
年間CO2排出量の合計(kg-CO2 909
(100%)
527
(58%)
 
(2)「高齢者向け自立支援型住宅」
  自立した生活を継続できるよう身体機能の低下予防や認知症予防に配慮した在宅長寿対応住宅
  自立した生活を継続できるように、身体機能の低下予防や認知症予防に配慮しつつ、要介護時や車椅子生活などの状況変化にも対応可能な間取りを提案。
高齢者も安全に使えるガスコンロ「Siセンサーコンロ」を明るい台所に設置し、高齢者が自ら料理をすることで、認知症予防や低栄養予防につながります。また、「ガス温水床暖房」や「浴室暖房乾燥機」を用いて、水まわりなどの非居室と、リビング・寝室など居室の室温を均一にする“温度のバリアフリー化”を実現します。これにより、急激な温度変化による身体への負担や、室内活動量の向上をめざしています。また、「ミストサウナ」は浴槽またぎがないので一人でも安心して入浴できるなど、入浴介護の負荷低減に寄与します。
■ 従来住宅の浴室
■ 改修後バリアフリー化した水まわり
■ 座ったまま入浴できる「ミストサウナ」

「高齢者向け自立支援型住宅」における住戸計画

自立可能な高齢者の住まい方(基本プラン)
  • 趣味を楽しめる部屋(ホビールーム、土間収納)
  • ガス温水床暖房で室内温度をバリアフリー化(室内活動量の向上)
  • 全口安心センサーを搭載した「Siセンサーコンロ」
    明るい台所で自ら調理することで、認知症予防や低栄養予防
自立可能な高齢者の住まい方(基本プラン)
  • 中央に位置した台所から、寝室まで見通すことが可能
  • 棚の縁を利用して伝い歩きできる室内(身体機能低下を抑制)
自立可能な高齢者の住まい方(基本プラン)
  • 車椅子利用に配慮した土間収納、取り外し可能な水まわり建具
  • 「ミストサウナ」により入浴時の介護負荷の軽減、自立入浴の支援
 

(基本プラン) 自立可能な高齢者の住まい方

  • 基本プランは1LDKとし、2つの玄関を生かして、居室と寝室に直接アプローチできる計画。
  • 外部とのつながりを重視することで、自宅への引きこもりによる身体機能低下を予防する。
  • 居間(ホビールーム)は食事室と建具で間仕切ることで、趣味や友人との集いの場、子どもや孫の来訪時の寝室として多目的な利用ができる。土間収納は趣味の道具などを収納しておく外部物入として利用する。

(Phase2) 身体機能が低下した高齢者の住まい方

  • 居間食事室と寝室をつなぐ動線上には、ゆとりのある台所・家事コーナーを配置し、調理や家事をしながら部屋全体を見通すことができるように配慮した。
  • 高さの統一された「カウンター」や「可変式キャビネット」などによって室内移動を補助する。(身体機能の低下を抑制)

(Phase3) 車椅子利用の高齢者の住まい方

  • 要介護時は、居間食事室の仕切りや便所・洗面脱衣室の建具を取り払う。
  • ガス温水床暖房などにより室内温度をバリアフリー化することで、局所暖房(コタツや電気カーペットなど)による住宅内の活動量低下を防止する。
  • 「ミストサウナ」により入浴時の介護負荷の軽減、転倒事故防止、および自立入浴を支援する。
  • 土間玄関に車椅子を置くことも可能。室内における車椅子利用を最小限にして歩行機能低下を防ぐ。
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