東京ガス株式会社(社長:鳥原光憲、以下「東京ガス」)は、太陽熱集熱器で集めた太陽熱を冷暖房および給湯に優先利用する「太陽熱利用システム」を、東京ガス熊谷支社(埼玉県熊谷市銀座3−71、支社長:中島靖夫、以下「熊谷支社」)に導入し、本年7月から運用を開始します。
熊谷支社は、このたび、空調・給湯設備の更新時期を迎えたことから、設備改修工事を行い、低炭素社会実現に貢献するため、先進的な省エネルギーシステムである「太陽熱利用システム」を導入しました。これにより、従来の設備に比べ、一次エネルギー消費量を約32%、CO2排出量を約29% 削減する効果が期待できます。
熊谷市は、日本の最高気温記録(40.9℃)を持つ夏の暑さが非常に厳しい地域であることから、「暑さ」を地域の資源として活用する取り組みを進めております。本年3月策定の「熊谷市地球温暖化対策地域推進計画」において、CO2の排出削減は市民・事業者・市の協働・連携による取り組みを基本とし、その重点的な取り組みのひとつに太陽熱の利用も位置付けられております。今回の熊谷支社への「太陽熱利用システム」の導入は、「自然エネルギー」「地域エネルギー」の新しい利用形態の可能性を開くものとして、熊谷市からご支援・ご協力いただくとともに大きな期待を寄せていただいております。
東京ガスは、2010年度を目処に「太陽熱利用システム」の商品化および販売開始を目指しており、熊谷支社に設置した「太陽熱利用システム」で得られた知見を商品開発に活かしてまいります。
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「太陽熱利用システム」の概要 |
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このたび熊谷支社に導入した「太陽熱利用システム」は、太陽熱集熱器で集めた太陽熱を、夏場は太陽熱駆動吸収冷凍機で冷水に変換し冷房として利用し、冬場は暖房用熱交換器で温水に変換し暖房として利用します。あわせて、貯湯槽にためた給湯に使用する水の予熱にも利用します。
天候により太陽熱が不足する場合は、空調にはガス吸収冷温水機で冷水・温水をつくり冷暖房に利用するとともに、給湯には業務用潜熱回収型高効率給湯器「エコジョーズ」で貯湯槽の水を加熱し給湯します。 |
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「太陽熱利用システム」の特長 |
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1.集熱効率が優れた太陽熱集熱器 |
「太陽熱利用システム」では、暖房用・給湯用には60℃程度、冷房用には80℃程度の高温水を得る必要があるため、集熱効率が優れた真空管式太陽熱集熱器を採用しました。熊谷支社における集熱面積は約72m2、ピーク時の集熱量は約47kW※1が見込まれます。
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2.太陽熱を優先利用する空調・給湯システム |
「太陽熱利用システム」は、自然エネルギーである太陽熱を優先的に利用するように設計されています。太陽熱集熱器で得た太陽熱は、冷房時には太陽熱駆動吸収冷凍機に送られ冷水に、暖房時には暖房用熱交換器に送られ温水に変換されます。また、給湯用に貯湯槽を設置し、太陽熱を給湯に使用する水の予熱にも利用します。
気象状況により太陽熱が不足する場合は、空調用にはガス吸収冷温水機で冷水および温水をつくるとともに、給湯用には貯湯槽内の水を業務用潜熱回収型高効率給湯器「エコジョーズ」で加熱し給湯します。不安定な太陽エネルギーを高効率なガスシステムでバックアップし、安定した空調・給湯を実現しています。 |
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3.太陽熱集熱量を最大化するシステム設計 |
今回のシステム設計では、太陽熱集熱器を建物屋上に設置するにあたり、集熱面積を最大化できる設置レイアウトとしております。また、刻一刻と変化する日射状況などの気象条件と空調・給湯負荷の変動に同時に対応するよう、システム全体を最適運転させています。これにより、省エネルギーおよびCO2削減を効率的に行うことが可能となります。
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熊谷支社屋上に設置された「太陽熱利用システム」
(稼働前のため、太陽熱集熱器には保護カバーを取り付けております) |
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主要機器仕様 |
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機器名称 |
仕様 |
太陽熱集熱器 |
真空管式 |
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集熱面積 |
約72m2 |
ピーク集熱量 |
約47kW※1 |
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太陽熱駆動吸収冷凍機 |
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ガス吸収冷温水機 |
冷房能力 |
141kW |
暖房能力 |
125kW |
冷房COP |
1.36※3 |
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業務用潜熱回収型高効率給湯器「エコジョーズ」 |
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熊谷支社の概要 |
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住所 |
: |
埼玉県熊谷市銀座3−71 |
竣工 |
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1984年7月 |
延床面積 |
: |
1,400m2 |
構造・階数 |
: |
RC構造・地上3階建て |
用途 |
: |
1階・・・ショールームおよび料理教室、2階・3階・・・事務所 |
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東京ガスは、今後も、低炭素社会実現に貢献するため、環境性に優れた天然ガスのさらなる普及に努めるとともに、新エネルギーの導入拡大を積極的に推進してまいります。
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