1. 調査内容と結果について |
|
(1) |
路面陥没箇所とシールドとの位置関係について |
|
1. 内容: |
路面陥没箇所の測量を実施し、シールドとの位置関係について特定を行いました。 |
|
2. 結果: |
路面陥没箇所はシールドの直上であること、ならびに路面陥没箇所におけるシールドの深さは地表面から6.6mであることが確認されました。 |
|
|
(2) |
シールド施工部における空洞調査について |
|
1. 内容: |
4月17日(金)深夜〜20日(月)早朝にかけての夜間に、安中市板鼻から高崎市藤塚町までの国道18号の地下における延長1.4kmのシールド施工部について、非開削のレーダー探査による地表面から地下2mまでの空洞調査を実施し、その後データの解析を行いました。
|
|
2. 結果: |
当初発生した路面陥没箇所以外に陥没箇所近傍の路肩において疑義信号を1箇所検知し、路面の復旧を行った際に1箇所の空洞があることが確認されました。この空洞は陥没箇所と非常に近い位置でシールド上部にあることから、弊社のシールド工事が原因であると判断し、路面陥没箇所の復旧にあわせて対応いたしました。なお、その他の区間には地表面から地下2mまでに空洞のないことが確認されました。
|
|
|
(3) |
路面陥没箇所におけるシールド施工内容の調査について |
|
1. 内容: |
路面陥没箇所近傍で施工前に実施したボーリングデータから土質について調査を行いました。また路面陥没箇所近傍のシールド施工部について、発注先の作業日報から、シールド全線における土砂取り込み量、裏込め(セメント系硬化剤)注入状況の確認を行いました。
|
|
2. 結果: |
土砂取り込み量は掘削1mあたり5.54m3の計画値で管理しておりますが、路面陥没箇所直下における土砂取り込み量は12.82m3と計画値に対して2倍以上に増加していたことが確認されました。またボーリングデータから安定した砂礫層を掘進しているため即時の対応は不要と判断し、3日後に計画値に対して当該箇所の土砂取り込み量以上の裏込めを注入したことが確認されました。
|
|
|
(4) |
シールド施工範囲における沈下測定調査について |
|
1. 内容: |
4月17日(金)からシールド全線を1日1回、路面陥没箇所を1日2回、計61箇所において毎日、沈下測定を行っております。 |
|
2. 結果: |
4月30日までの測定では、路面陥没箇所近傍以外で沈下傾向にある箇所はなく、道路交通上の安全に問題のないことが確認されました。 |
|
|
(5) |
路面陥没箇所深部における土質変化調査について |
|
1. 内容: |
平成21年4月23日(木)〜24日(金)に路面陥没箇所からシールド上部までの土質の状態を調査するため、路面陥没箇所前後の100m(合計200m)の範囲において「高精度表面波探査システム」により調査を行いました。
|
|
2. 結果: |
路面陥没箇所における土質は、砂礫層が谷状になり沖積砂層が厚くなっていることが確認されました。その結果、陥没箇所手前まではシールドマシンは安定した砂礫層を掘進していたものの、徐々に砂礫層部分が薄くなり、路面陥没箇所において上部の砂層部分を一部取り込んでしまったものと判断しております。また今後、施工を予定している区間においては、砂礫層が谷状になっていないことが確認されました。
|
|
2. 路面陥没とシールド工事との因果関係について |
|
今回の調査結果により、路面陥没箇所はシールドの直上であることや、路面陥没直下における土砂取り込み量が計画値よりも大幅に増加していたにもかかわらず、その後の対応が適切に行われず、計画値に対して当該箇所の土砂取り込み量以上の裏込めの注入を3日後に行うという不適切な対応のみで終了していたことから、路面陥没は弊社シールド工事が原因であると判断いたしました。
|
|
|
3. 路面陥没の原因について |
|
(1) |
シールド工事は砂礫層の上端から約2m下の位置を掘進しておりましたが、徐々に砂礫層部分が薄くなり、路面陥没箇所において上部の砂層部分を一部取り込んでしまったことにより計画値の2倍以上の土砂を取り込んでしまいました。 |
|
(2) |
路面陥没箇所下のシールド工事において土砂取り込み量が計画値よりも大幅に増加していたにも関わらず、ボーリングデータから安定した砂礫層を掘進しているものと考え、本来は工事を中断し速やかに緊急初動措置をとるべきところを現場監督者は即時に裏込めを注入するという対応は不要と判断し、3日後に計画値に対して当該箇所の土砂取り込み量以上の裏込めを注入したことで対策済みとしておりました。 |
|
(3) |
元請会社内において、土砂取り込み量が計画値よりも多く取り込んだ際の初動措置の内容や対応の基準が明確にはなっておらず、元請会社内ならびに弊社に対しての連絡が機能せず、適切な対応がとれませんでした。 |
4. 再発の防止について |
|
このたびの路面陥没が弊社シールド工事による原因であることを重く受け止め、元請会社と連携し、以下の再発防止策を行ってまいります。 |
|
|
(1) |
初動措置における基準の明確化について
「緊急時初動措置対応マニュアル」を作成し、以下の基準を策定しました。 |
|
1. |
土砂取り込みの量が管理値を超えた場合には工事を中断する。 |
|
2. |
元請工事会社内ならびに弊社への連絡を行う。 |
|
3. |
速やかに交通規制を行い、安全の確保を行う。 |
|
4. |
具体的な対策内容・・・速やかに地上からの薬液注入・シールド先端内部からの裏込め注入を行う。 |
|
|
(2) |
連絡体制の再整備
異常事態が発生した場合における弊社ならびに元請会社間との連絡体制について、以下の内容を見直し、弊社ならびに元請会社で周知徹底いたします。
|
|
1. |
弊社ならびに元請会社との連絡系統の再構築 |
|
2. |
業務連絡に関わる以下の内容について基準ならびに手順の見直し・整理 |
|
|
・連絡すべき異常事象の内容
・連絡先ならびに連絡のタイミング
・連絡の方法、手段 |
|
|
(3) |
弊社の管理体制の見直しについて
弊社の管理体制において、以下の内容について見直しを行い、実施してまいります。 |
|
1. |
シールド工事現場における弊社の施工状況確認の強化。(1日1回から1日2回に強化する。) |
|
2. |
新たにチェックシートを作成し、土砂取り込み量や裏込め注入状況について現場における施工状況のチェックを行う。 |
|
3. |
弊社に対する作業日報を見直し、報告内容を変更する。 |
|
|
(4) |
社員教育の実施について 元請会社は、工事再開までに従事作業員全員に対し、再発の防止に向けた社員教育を以下のとおりに行います。なお、弊社が教育内容、ならびに実施状況の確認を行います。
|
|
1. |
このたびの路面陥没の原因について、事例研究を行い、作業内容の再確認を行う。 |
|
2. |
緊急時初動措置対応を含む、連絡体制、管理体制、管理基準の新設ならびに見直しに関する周知徹底を行う。 |
|
3. |
日々の施工管理項目(掘進管理、土砂取り込み量管理、裏込め注入状況管理)ならびに作業手順の再確認を行う。 |
|