1. 高い集熱効率を有する太陽熱集熱器 |
冷房利用に必要な80℃程度の高温レベルの温水を高い集熱効率で取り出す真空管式太陽熱集熱器を対象に調査を行い、集熱効率が世界最高水準※1である60〜70%※2クラスの性能を有する太陽熱集熱器を選定、評価します。中原ビルにおける合計の集熱面積は約140m2であり、ピーク時の集熱量は約100kW※3が見込まれます。太陽熱集熱器で集められた熱は、冷房時は太陽熱駆動吸収冷温水機によって冷熱に変換され、暖房時は暖房用熱交換器により温熱に変換されます。 |
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2. 太陽熱駆動吸収冷温水機 |
本機は太陽熱集熱器で加熱された温水により冷熱を発生させるとともに、太陽熱が不足する場合はガスの加熱でバックアップし、空調負荷に追随する機能を有しています。太陽熱の利用を優先して運転するため、最大限のCO2を削減することが可能です。本機は、コージェネレーションの排熱利用機器として開発した温水とガスの両方の加熱を冷熱に変換する吸収冷温水機「超省エネルギー型ジェネリンク」をベースに、太陽熱の利用を最大化するよう開発したものです(太陽熱のピーク集熱時の冷房COP1.85※4)。なお、ガスの加熱を利用した場合の冷房COPも二重効用サイクルで最高効率の1.50※4となっています。
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3. システム設計および気象状況に順応した省エネルギー統合制御 |
今回のシステム設計では、太陽熱集熱量の取得熱量を最大化するよう設置レイアウトや配管の最適化を図っています。また、日射の状況など変化する気象条件と空調負荷の変動に同時に対応するよう太陽熱駆動吸収冷温水機や集熱ポンプを最適運転させる東京ガスオリジナルの最適統合制御を開発しています。 |
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背景 |
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地球温暖化防止対策としてCO2排出量の削減が強く求められる中、再生可能エネルギーの利用、中でも資源量の多い太陽エネルギーには大きな期待が寄せられています。太陽熱利用は、太陽電池に比べてエネルギーの変換効率が高く、省エネルギーやCO2排出量削減の観点からその利用拡大が強く望まれています。一方、民生用の最終エネルギー消費量は増大傾向にあり、再生可能エネルギーを民生用建物に利用する技術の確立と普及拡大が強く期待されていました。このような背景を踏まえ、東京ガスは、再生可能エネルギーを取り込んだガスシステムの技術開発・導入・販売に積極的に取り組んでまいります。 |
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システム概要 |
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1. 主要機器仕様 |
機器名称 |
仕様 |
太陽熱集熱器 |
真空管式 |
集熱面積 |
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約140m2 |
ピーク集熱量※3 |
: |
約100kW |
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太陽熱駆動吸収冷温水機 |
冷房能力 |
: |
422kW |
暖房能力 |
: |
338kW |
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ガス加熱時の冷房COP※4 |
: |
1.50 |
太陽熱ピーク集熱時の冷房COP※4 |
: |
1.85 |
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2. システムの概観 |
中原ビルの屋上に設置する太陽熱集熱器(合計約140m2)と、太陽熱を冷房・暖房に利用するための太陽熱駆動吸収冷温水機、および暖房用熱交換器を配置しています。 |
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効果試算 |
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従来、中原ビルで実際に稼動していた冷房COP1.1※4の吸収冷温水機を用いた空調システムと比較し、今回、「高効率ソーラー空調システム」を導入することによる省エネルギー性、環境性の効果を試算しました。試算では、今回導入する「高効率ソーラー空調システム」を対象として、実際の太陽熱集熱器の設置状況をモデル化し、周囲建築構造物の陰の影響や年間を通した気象条件を考慮して評価しました。その結果、本システムを導入することにより、従来システムと比較して、太陽熱利用の効果と最新の高効率ガス吸収冷温水機の高効率化により、一次エネルギー消費量を約20%、CO2排出量を約18%それぞれ削減する効果が期待でき、今後、本実証にて検証してまいります。 |
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ENEX2009での展示 |
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東京ガスは、2月10日(火)〜2月12日(木)に行われる「第33回 地球環境とエネルギーの調和展 ENEX2009」において、「高効率ソーラー空調システム」の概要を展示します。 |
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日時 |
:2月10日(火)〜2月12日(木) 10:00〜17:00 |
場所 |
:東京ビックサイト |
主催 |
:財団法人 省エネルギーセンター |
入場料 |
:無料 |
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