東京ガス株式会社(社長:鳥原 光憲)と、東京家政大学は、東京ガスにて普及・推進してきた、環境にやさしい食生活「エコ・クッキング」(*1)に関し、2004年度から、効果の定量的解析を行う共同研究を行っています。
この度、日本の一般家庭における食事の上位頻出メニュー(*2)に基づき、家庭での主たる調理担当者に各家庭で行っている調理法で調理を行った場合と、エコ・クッキングの講義を受講後、エコ・クッキングの手法を導入して同様の調理を行った場合とのCO2排出量を比較し、合わせて考えうるエコロジー配慮を全て行った場合のCO2削減量を測定しました。その結果、各家庭での調理過程にエコ・クッキングの手法を導入する事により、家庭レベルでのCO2削減に寄与する事が実証されました。
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研究成果概要 |
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■ 研究担当者 |
東京ガス(株) |
「食」情報センター |
三神彩子 |
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商品開発部 |
十河桜子 |
東京家政大学 |
家政学部栄養学科 |
長尾慶子教授他 |
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■ 調査の目的と概要 |
地球温暖化問題は世界の深刻な状況であり、日本においても、家庭レベルでの二酸化炭素(以下CO2)排出量対策は大きな課題となっている。エコ・クッキングは、食生活における「買い物」「料理」「片付け」を通してエコロジー的配慮をすることを意味しているが、今回の研究では、日本での各家庭での調理時におけるエコ・クッキング導入により、どの程度CO2量を削減できるかを検討し、地域温暖化防止策の1つとしてのエコ・クッキング推進を提案するものである。日本の一般家庭における食事の上位頻出メニューに基づき、家庭での主たる調理担当者(20-50代の主婦)19名を対象に、各家庭で行っている調理法で調理を行った場合と、エコ・クッキングの講義を実施後、エコ・クッキングの手法を導入して同様の調理を行った場合との、CO2排出量を比較した。合わせて、考えうるエコロジー的配慮を行って調理をした場合のCO2削減量も測定した。
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■ 実験対象メニュー(各4人分) |
<朝食献立 5品> |
<昼食献立 3品> |
- トースト(マーガリン、イチゴジャム)
- ベーコンエッグ
- バナナヨーグルト
- コーヒー(温)
- 牛乳(冷)
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<夕食献立A 7品> |
<夕食献立B 5品> |
- ご飯
- 味噌汁
- 魚の和風焼き物
- 野菜の和風煮物
- 野菜のお浸し
- 日本茶(温)
- ビール
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- カレーライス
- ミックス野菜サラダ
- 漬物
- 麦茶(冷)
- ビール
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■ 結果及び考察 |
本条件から、電気、ガス、水の使用量および生ごみ量を測定した。同時に調理中の全工程の動作を観察記録した。その後、生活環境問題、エコ・クッキングの重要性や効果的な調理法についての講義を受講後、同じ献立を再度調理してもらった結果、エコ・クッキングの意識を持つことで、電気、ガス、水および生ごみのいずれにも大きな削減効果が認められた。この実験結果をもとに、日本の全家庭において同じような、エコ・クッキングに配慮した食事づくりをしたと仮定した場合にどの程度のCO2削減効果が得られるかを試算したところ、24%の削減が見込まれ、さらにエコロジーに配慮した徹底した調理操作をすることで最大32%の削減の可能性も期待できた。このことからエコ・クッキングが深刻化する地球温暖化をはじめとする環境問題改善への一助になる事が示唆された。
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■ 問合せ先 |
〒105-8527 東京都港区海岸1-5-20
東京ガス株式会社 「食」情報センター
チーフエコ・クッキングインストラクター 三神 彩子
TEL:03-5400-3766 FAX:03-5400-3754
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*1 「エコ・クッキング」 ※エコ・クッキングは東京ガスの登録商標です。
エコ・クッキングとは、環境のことを考えて「買い物」「料理」「片付け」を行うことです。地球温暖化が深刻さを増す昨今、エコ・クッキングは家庭で簡単に取り組める地球温暖化防止策として、また、ゴミ問題や水問題の1つの解決策として注目を浴びています。地球温暖化防止対策大綱、そして最近では、小・中・高等学校の技術家庭科の教科書にもこの考え方が盛り込まれています。「食」情報センターでは、エコ・クッキングおよびエコスタイルに関する情報提供を講座およびホームページ、書籍などを通してお伝えしております。
http://www.tokyo-gas.co.jp/ecocom/ecocooking/index.html(大人向け)
http://www.tokyo-gas.co.jp/ecocooking/index.html(子供向け)
http://blog.tokyo-gas.co.jp/eco/(ブログ)
*2 「上位頻出メニューの検索方法」
2005年度東京ガス都市生活研究所で調査した「調理実態調査内容」の結果に基づき、現在の家庭での食実態を反映させた年間上位から朝食、昼食、A・B2パターンの夕食献立とした。基としたデータベースは(株)NTTデータライフスクープマーケティングが行っている「食MAP(R)」である。
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