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「環境負荷低減住宅」と「高齢者向け自立支援型住宅」に関する
住宅改修技術の共同研究について

東京ガス株式会社
平成20年10月3日
広報部

 

 東京ガス株式会社(社長:鳥原 光憲、以下「東京ガス」)は、独立行政法人都市再生機構(理事長:小川 忠男、以下「UR都市機構」)が進める「ひばりが丘団地ストック再生実証試験住棟を活用した住戸改修技術にかかる共同研究※1(以下、「本研究事業」)」に、共同研究者として選定され、本年9月30日付けで共同研究協定書を締結しました。
 本研究事業は、UR都市機構が昭和40年代から昭和50年代前半に建設した住棟・住戸を、少子高齢社会や多様化するニーズに対応して改修・再生する「ルネッサンス計画※2」の一環で行われるもので、本年5月に本研究事業の共同研究者の公募が行われ、東京ガスは、住戸改修技術に関わる2つのテーマ(「環境負荷低減住宅」と「高齢者向け自立支援型住宅」)に関して共同研究者として選定されました。
 今後、東京ガスとUR都市機構は、平成21年4月までに該当住戸の改修を行い、該当住戸の実証試験ならびに評価・検証を平成22年3月末まで行ってまいります。

※1: 本研究事業は、東京都東久留米市にある「ひばりが丘団地」(昭和35年管理開始)にある住戸を改修し、その施工の実証試験を行うものです。
※2: UR都市機構は約77万戸の賃貸住宅を管理しており、その多くは昭和40年代から昭和50年代前半に建設されたエレベーターのない中層(4〜5階建て)の住棟です。このたびの「ルネッサンス計画」は、この「中層階段室型住棟」のストック再生手法として、住棟単位でのバリアフリー化や、21世紀に相応しい間取りや内装・設備への転換などの改修技術の開発を目指したものです。
 

共同研究テーマの概要

(1)「環境負荷低減住宅」
 居住者の生活スタイルを制約せず、環境にやさしい行動をさりげなく促す環境負荷低減住宅
  高効率ガス給湯器「エコジョーズ」と、集合住宅に設置できデザイン性および設置性に優れた「太陽熱温水システム」を組み合わせた「次世代型ソーラー給湯システム(開発品)※3」、節水入浴ができる「ミストサウナ」などを設置することにより、約42%のCO2排出量の削減が可能となることを提案。また日々のエネルギー使用量を分かりやすくお知らせする「エネルックリモコン」を利用することにより、居住者の生活スタイルは制約せずに、地球環境にやさしい行動を促していくなどの提案が、UR都市機構の評価基準により総合的に評価されました。
※3: 「次世代型ソーラー給湯システム」は、少子高齢化や少数世帯の多い集合住宅向けに開発中の商品。デザイン性・施工性を重視し、集合住宅のバルコニーに手すりと一体となるソーラーコレクター(集熱パネル)を設置して自然エネルギーの「太陽熱」を取り込むことで、高効率ガス給湯暖房機(エコジョーズ)との組み合わせにより100%を超えるシステム給湯効率を目指したものです。国土交通省の「平成20年度住宅・建築関連先導技術開発助成事業費補助金」交付を受け、独立行政法人建築研究所とともに実験・検証を行い、平成21年度中を目途に商品開発を進めています。
 
 
次世代型ソーラー給湯システム(試作品、バルコニー手すり設置)
  写真:次世代型ソーラー給湯システム
(試作品、バルコニー手すり設置)
  CO2排出量削減率 年間合計 約42%削減 *URリニューアルI住宅と比較
設置機器・提案機器 CO2排出量(kg-CO2)
従前 従後
省エネ型エアコン 173 96
高効率ガス給湯器エコジョーズ
次世代型ソーラー給湯システム
ミストサウナ入浴
633 345
高効率ビルトインコンロ(ガスコンロ) 95 86
節水型大便器 8 6
その他(ミストサウナによる節水)   -6
年間CO2排出量の合計(kg-CO2) 909
(100%)
527
(58%)
URリニューアルI住宅と比較
(2)「高齢者向け自立支援型住宅」 …共同研究者:東京都老人総合研究所
 自立した生活を継続できるように、身体機能の低下予防や認知症予防に配慮した在宅長寿対応住宅
  自立した生活を継続できるように、身体機能の低下予防や認知症予防に配慮しつつ、要介護時や車椅子生活などの状況変化にも対応可能な間取りを提案。
高齢者にも安全に使えるガスコンロ「Siセンサーコンロ」や、温度のバリアフリー化を実現する「床暖房」や「浴室暖房乾燥機」を提案。また「ミストサウナ」は浴槽またぎがないので一人でも安心して入浴できるなど、入浴介護の負荷低減に寄与するなどの提案が、UR都市機構の評価基準により総合的に評価されました。

住戸計画

自立可能な高齢者の住まい方(基本プラン)
  • 趣味を楽しめる部屋(ホビールーム、土間収納)
  • 床暖房で室内温度をバリアフリー化(室内活動量の向上)
  • 全口安心センサーを搭載した「Siセンサーコンロ*
    明るい台所で自ら調理することで、認知症予防や低栄養予防
自立可能な高齢者の住まい方(基本プラン)
  • 中央に位置した台所から、寝室まで見通すことが可能
  • 棚の縁を利用して伝い歩きできる室内(身体機能低下を抑制)
自立可能な高齢者の住まい方(基本プラン)
  • 車椅子利用に配慮した、土間収納、取り外し可能な水周り建具
  • ミストサウナにより入浴時の介護負荷の軽減、自立入浴の支援
 

(基本プラン) 自立可能な高齢者の住まい方

  • 基本プランは1LDKとし、2つの玄関を生かして、居室と寝室に直接アプローチできる計画。
  • 外部とのつながりを重視することで、自宅への引きこもりによる身体機能低下を予防する。
  • 居間(ホビールーム)は食事室と建具で間仕切ることで、趣味や友人との集いの場、子どもや孫の来訪時の寝室として多目的な利用ができる。土間収納は趣味の道具などを収納しておく外部物入として利用する。
 
  • もう一方の玄関口は土間収納と兼用し、趣味の道具などを収納するトランクルーム、緊急時用の出入口(救急隊の対応、搬送など)として活用できる。
 
 

(Phase2) 身体機能が低下した高齢者の住まい方

  • 居室食事室と寝室をつなぐ動線上には、ゆとりのある台所・家事コーナーを配置し、調理や家事をしながら部屋全体を見通すことができるように配慮した。
  • 高さの統一された「カウンター」「可変家具」などによって室内移動を補助する。(身体機能の低下を抑制)
 
  • 寝室からトイレへ直接アクセス可能
  • 洗濯機の向きを可変できる。
 
 

(Phase3) 車椅子利用の高齢者の住まい方

  • 要介護時は、居間食事室の仕切りや便所・洗面脱衣室の建具を取り払う。
  • 床暖房などにより室内温度をバリアフリー化することで、局所暖房(コタツや電気カーペットなど)による住宅内の活動量低下を防止する。
  • ミストサウナにより入浴時の介護負荷の軽減、転倒事故防止、および自立入浴を支援する。
  • 土間玄関に車椅子を置くことも可能。室内における車椅子利用を最小限にして歩行機能低下を防ぐ。
全体イメージ
 
  • 車椅子での動線寸法(赤矢印)は800mm以上を確保
  • 洗面とキッチンシンクの下部収納部は容易に改造することで、車椅子での利用も可能となる。
  • ユニバーサルデザイン調理機器(Siセンサーコンロ)なので、車椅子でも自ら調理が可能。
  「Siセンサーコンロ」は全口に安心センサーを搭載したガスコンロです。最先端の賢い(intelligent)なセンサーがSafety(安心)・Support(便利)・Smile(笑顔)をお約束するという意味が込められています。
  • 車椅子で水周り移動をスムーズにできるよう、建具を取り払いカーテンで目隠し、廊下に手すりを増設。
 
 
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