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平成19年度 入社式 社長祝辞(要旨)

東京ガス株式会社
平成19年4月2日
広報部

 

 エネルギー業界では規制緩和が進展し、本年4月からは、ガス市場の自由化範囲が年間使用量10万m3以上のお客さまにまで拡大しました。また、自由化されていない家庭用のお客さまにおいても、電力会社による電化攻勢がかつてないほど強まってきており、文字通り「エネルギー大競争時代」の渦中にあります。こうした中で、昨年度は、ガス機器の不完全燃焼による事故など、ガスの安全性に対する信頼を損なうような事例が多く発生しました。当社はガス事業者としての社会的責任という観点から、速やかに積極的な安全対策強化の方針を打ち出し、すでに諸施策を推進しているところです。今回のことを契機に、「エネルギー大競争時代」を勝ち抜くためにも、長年にわたって築き上げてきた当社グループの「安心・安全・信頼」というブランド価値の重要さを、改めて認識しなければなりません。

 厳しい経営環境にあるとはいえ、当社には、都市ガスの製造・供給インフラやお客さまとの様々な業務接点で築き上げた営業力、世界で初めて商品化した家庭用燃料電池に代表される技術開発力、そして災害時における対応体制など、他のエネルギー会社に負けない大きな強みがあります。また、昨今の原油価格の高騰や地球環境問題などにより、環境性、供給安定性、価格安定性などに優れた天然ガスに対する期待は、かつてないほどに高まっており、私たちにとって大きなビジネスチャンスとなっています。

 今後は、このような我々の強みと天然ガスへの追い風を活かしながら、当社は「天然ガスをコアにした総合エネルギー事業」による将来への発展を目指し、諸施策を展開します。これは、天然ガスだけでなく、熱・電気などの多様なエネルギー形態や関連サービスをワンストップで提供するものです。そのためには、エネスタ・工事会社などの協力企業やグループ関係会社の連携を強め、「オール東京ガス」が一体となって、お客さまニーズに迅速かつきめ細かく対応できる体制を構築することが必要です。私たちは、こうした取り組みを関東圏全域を視野に入れて広域的に展開し、2010年代において「総合エネルギー事業」のトップランナーとして、持続的成長を遂げる企業グループを目指して全力を注いでいかねばなりません。

 今年度は、当社のお客さま件数が1000万件に到達する記念すべき年となりますが、これは皆さんにとっては新しい時代の出発点です。私は、122年の歴史を通じて諸先輩方が築き上げてきたお客さまとの信頼関係に、新入社員の皆さん自身の手でますます磨きをかけていただくことにより、さらなる当社の発展が図れるものと信じています。皆さんの前には、限りない活躍の場が広がっています。今日から、オール東京ガスの一員として、誇りを持って力強い第一歩を踏み出してください。

 当社グループの将来を担う皆さんに、是非とも心がけていただきたいことを3点挙げます。

 第一に、「社会やお客さまのためにという気概を持って切磋琢磨してほしい」ということです。
 会社が存在価値を認められているのは、社会やお客さまが必要としている商品やサービスを責任を持って提供し、役に立つ存在として期待に応えているからです。従って、その会社で働く個々人は、これを心に刻み、自分の仕事に責任を持ち、社会やお客さまのために常に切磋琢磨する努力が必要です。そのような姿勢で仕事に取り組むことによって、社会やお客さまから感謝され、そこに働く喜びを感じ、仕事に対する意欲が自然と掻き立てられ、そしてやりがいのある活き活きとした会社生活につながるものです。
 また、仕事に取り組むにあたって大切なのは、組織で動かなければ高い成果は得られないということです。情報の収集・伝達において、非常に効率的なメールやインターネットといったIT技術に頼りすぎることなく、積極的に人と会話し、お互いの立場を理解して協力し、心の通ったチームワーク形成に努めてください。

 第二に、「新鮮な心で会社の常識を変えてほしい」ということです。
 会社は「社会の公器」であり、それに相応しい高い倫理観に基づく企業行動を常に心がけねばなりません。近年、いわゆる不祥事により、社会的な信頼を損なう企業の事例が数多く発生しています。信頼を築き上げるには長年にわたる営々とした努力の積み重ねが必要ですが、信頼を失うのは一瞬です。それだけに、我々は絶えず会社の組織風土の革新を図り、公正かつ透明性のある企業活動に努める必要があります。
 特に公益性の高い当社の一員となる皆さんは、新鮮な心で常に世の中の情勢を敏感に感じとり、東京ガスでは常識と思われていることであっても、皆さんの目で見ておかしいと思うことがあれば、それを指摘する勇気と、変革しようとする強い意志を持ち続けてほしいと思います。

 第三に、「熱意を持ってチャレンジすれば道は開ける」ということです。
 長い人生において、常に順風満帆という人は誰もいません。時には失敗することもあるでしょう。しかし、昨日より今日、今日より明日といった向上心を持って、少しずつでも前進していくことが大切なのです。会社での仕事は、関係者と意見調整したり、創意工夫が求められたり、困難さを乗り越えなければならない場合がたくさんあります。このような時には、まずは熱意をもって事にあたることが何よりも大切です。熱意があるところに知恵が生まれ、人の輪が生まれ、必ず道が開けるものです。
 誠心誠意取り組んだことであれば、たとえ失敗したとしても、それは必ず皆さんの血となり肉となって将来につながります。皆さんには、壁に突き当たっても決してくじけずに、常に熱意を持って高い目標にチャレンジする人になってほしいと思います。

 東京ガスという、国民生活や産業活動に不可欠なエネルギーを賄う社会的責任の大きい会社に入社された皆さんが、充実した会社生活、そして充実した人生を切り開いていかれることを心からお祈り申し上げます。

以上

参考

  平成19年度 平成18年度
大学卒 文系 21(8) 22(9)
理系 43(9) 27(9)
高専卒 5(1) 5(1)
短大卒 −(−) −(−)
高校卒 44(1) 45(0)
合計 113(19) 99(19)
()内は女子で内数

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