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社長 市野紀生 創立120周年記念 挨拶(要旨)
東京ガス株式会社
広 報 部 平成17年10月3日 当社は、明治18年10月1日に東京府瓦斯局の払下げを受けて民間会社として発足しました。当時のお客さま件数343件からスタートして120年、現在では首都圏を中心に天然ガスの供給を通じて、お客さまの豊かな暮らしや産業の発展に寄与し、日本最大かつ世界でも有数の都市ガス会社として、968万件のお客さまにガスをご利用いただいております。
しかしながら創業以来の歴史を顧みますと、当社は必ずしも順風満帆に歴史を重ねてきたわけではなく、幾多の厳しい試練に直面いたしました。 第二次世界大戦では相次ぐ大空襲と家屋強制取り壊しのため、昭和20年末のお客さま件数は、昭和18年末に記録した約106万件から約34万件へと、3分の1に激減し、非常に多くのお客さまを失いました。 また、当社は、石炭から石油への原料転換に続いて、昭和44年に、わが国で初めて液化天然ガス(LNG)の導入を開始しました。当時はその評価も分かれている中にあって、LNGの豊かな将来性を正しく見定めた社運を賭した決断でした。これによって、深刻な大気汚染問題を解決したばかりでなく、二度にわたる石油危機も乗り越え、当社の長期にわたる安定した経営基盤を確立することができました。 LNGの導入に伴う天然ガス転換作業は困難を極めましたが、天然ガスの優位性についてお客さまにご理解いただいたうえで、転換作業の安全性に充分注意しながら地道に作業を重ねた結果、昭和63年に、約535万件に及ぶお客さまのガス器具を全て無事調整することができました。17年間にわたる大プロジェクトで、転換作業だけでも延べ750万人の社員が従事しました。 昭和40年代から50年代にかけては、この天然ガス転換作業のほか、袖ヶ浦工場の建設や環状幹線の建設などの大プロジェクトが推進され、現在の当社の繁栄につながる大きな節目でありました。 いつの時代にあっても変わらずに、お客さまに、「ガス」という商品をいかに安全に、そして安心して、効率的に使っていただくかという事業の原点を大切にし続けてきたこと、併せてガス設備安全点検等では、各ご家庭の中にまで入り、お客さまとのコミュニケーションをしっかりと地道に積み重ねる中で、強固な信頼関係を築いてきたことこそが当社発展の源泉であったと考えます。 現在の状況は、電力・ガス事業における規制緩和が進展し、ガス対ガスの競合激化や電化攻勢の強まりなど、エネルギー業界は未曾有の競争環境下にありますが、先達の苦労を考えれば、乗り越えられない困難はないものと考えます。我々には、こうした激変する事業環境をチャンスとして前向きに捉え、諸課題を克服して当社の発展につなげる使命と責務があると考えます。 本日は、創立120周年という節目の時を迎え、私たちが今何を考え、何をなすべきかについて、3点挙げたいと思います。 第一は、経営として激変する事業環境を踏まえ、次なる当社グループの進むべき道筋を明らかにしていくことであります。 エネルギー需要の構造変化、自由化範囲の拡大と電力との競合の本格化といった事業環境の変化を見据え、2010年代には、家庭用から産業用・業務用までの様々なお客さまに対し、当社ブランドの天然ガスをソースに産み出す分散型電力・系統電力と熱を組み合わせ、エネルギーに関する多様な価値、商材、サービスをワンストップで提供し、お客さまに選択をしていただく、すなわち「総合エネルギー事業」を、協力企業や関係会社を含めた「オール東京ガス」が一体となって推進していく、そのような姿を是非とも実現していきたいと考えています。そして、将来にわたって、天然ガスを基盤とする、「総合エネルギー企業グループ」として、確固たる地位を築きあげていきたいと思っております。その具体像については、現在策定中の新たな「中期経営計画」のなかで明らかにしてまいります。 第二は、「総合エネルギー企業グループ」を目指し、新たな「中期経営計画」を実効あるものとしていくために、何よりも足許の課題・計画を確実になし遂げることに、全力を傾注しなければならないことであります。 我々が保有する先端技術を投入し、電力・ガス需要への対応を両立し、新しいマーケットを創造するため、本年2月、家庭用燃料電池コージェネレーションシステム「ライフエル」を、世界に先駆けて市場投入し、4月には首相公邸にも2台設置いただきました。さらに、ガスエンジン式コージェネレーション「エコウィル」も、熱需要の大きなお客さま向けに、来年1月から販売を開始することといたしました。ライフエルおよびエコウィルを一体的に捉え、家庭用コージェネレーション市場を拡大していくことに特に力を入れていきたいと考えております。 第三は、環境変化に適切かつ速やかに対応しつつも、120年間の歴史の中で、当社グループの良き伝統として築きあげてきたもの、そして今後とも引き継いでいくべき大切なものを再確認しておく必要があるということであります。 諸先輩が脈々と築き上げてこられた「安全・安心・信頼」のブランド価値こそ、当社グループ発展の礎であり、それを絶対に崩さないという固い決意を、改めて確認したいと思います。そのためには、一つひとつの仕事を確実に遂行し、「安定供給」と「保安の確保」、「誠心誠意のサービス」に万全を期していくことが必要であります。 一方、「安全・安心・信頼」のブランド価値を守り抜いていくためには、強い「現場力」が不可欠であります。昨年10月に発生した新潟県中越地震や本年7月に首都圏を襲った震度5強の地震にあたり、協力企業や関係会社を含めた「オール東京ガス」の総力を結集してこそ早期復旧や対応が可能であることを痛感いたしました。 当社グループのみならず、パートナーである協力企業を含めた「オール東京ガス」の総力を最大限に発揮できるような基盤を、さらに強固にしていかなければなれません。そのための環境整備に努めるとともに、緊密にコミュニケーションを図っていきたいと思います。 これからも発展し続ける会社として後世の世代に引き継げるよう、そして一人ひとりが成長しようと思う強い心、会社を良くしようと思う強い心を持ち続けられる会社であり続けられるよう、また、「オール東京ガス」のさらなる発展に向けて、精一杯力を尽くしてまいりたいと思います。
以 上
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