本文へ フッターメニューへ サイトマップへ
会社情報TOP 会社案内 株主・投資家向け情報 採用情報 取り組み・活動 資材調達 プレスリリース
現在位置:東京ガスサイトTOP > 東京ガスについて > プレスリリース
お問い合わせはこちらへ

日本初! 建物直下のVOC汚染を浄化
「水平井戸を用いたエアースパージング工法」を実用化!

東京ガス株式会社
鹿島建設株式会社
平成15年9月10日

★地下水中のVOCを原位置,非掘削で浄化
鉛直井戸による手法に比べて2〜3割のコスト減
実証実験で良好な結果を取得

 東京ガス株式会社(社長:市野紀生、東京都港区)と鹿島建設株式会社(社長:梅田貞夫、東京都港区)は、このたびベンゼン等の揮発性有機化合物(VOC)によって汚染された地下水を浄化する新しい工法「水平井戸を用いたエアースパージング工法」を共同で実用化しました。

 本工法は、汚染された地下水を含む汚染土壌内に横穴を特殊機械で構築し、その横穴内に通した管から空気を噴出し、地下水内のVOCを揮発させるものです。建物直下の汚染であっても建物をそのままの状態で汚染土壌を浄化でき、また敷地面積が大きいほど従来工法を用いる場合よりもコスト的に有利であることが大きな特長です

 両社は、本工法による実証実験を既に実施した結果、2ヶ月程度で汚染濃度を当初の1/10以下までに低下させることができるなどの良好な結果を得ております。

【背景】
 汚染土壌や汚染地下水の浄化においては、コスト削減の観点から「原位置」(汚染されたサイトでの浄化)」、「非開削」(掘削が必要ない浄化)に対するニーズが高まり、多くの技術開発が行われており、VOCによって汚染された地下水に対する浄化技術の1つとして、「エアースパージング工法」があります。

 この工法は、VOCにより汚染された地下水の中の注入井戸(竪穴)から空気を噴出することによって地下水中に溶解したVOCを地下水の水面上に揮発させ、地下水面上のガス吸引井戸によって汚染物質を回収・処理する技術であり、米国で開発され、近年国内でも適用が進みVOC汚染地下水の有力な浄化技術として注目されています。
 しかし、本技術の欠点は、1本の井戸で浄化できる範囲が限られており、3〜4mおきに注入井戸と吸引井戸を設置する必要があり、建物等の地上障害物があると浄化が困難になることでした。
 そこで、両社は、地面に対して水平方向の水平井戸(横穴)を用いることにより、建物直下でも浄化を可能にする「水平井戸を用いたエアースパージング工法」を実用化しました。


【浄化システムの概要】
 本工法は、ベンゼン等のVOCによって汚染された地下水を対象とした「原位置・非開削」の浄化工法で、汚染地盤周辺から水平井戸(横穴)を構築し、空気注入システムを用いて、横穴から地盤中に均一に空気を噴出します。噴出された空気は地下水中のVOCを揮発させながら地下水中を上昇し,揮発したガスは地下水の水面上に設置したガス吸引井戸から回収するシステムです。


     水平井戸を用いたエアースパージング工法イメージ図




 今回、水平井戸を構築するために用いた工法は、汚染された地盤の下側で横方向となるようにボーリング孔を掘削し、ここにエアースパージング用の空気注入管を設置するものです。


       

           エアースパージング用水平井戸の構造



 地盤中の空気の伝わり易さは場所によって異なるため、同一の圧力で一度に空気を噴出すると、地盤の特定の場所のみに空気が通るバラツキが起こります。このバラツキを無くすために、今回用いた空気注入管はそれぞれの空気噴出部の圧力を独立制御する注入システムとなっています。
 さらに、水平井戸には複数の空気噴出部を有する空気注入管を挿入しますが、地盤と注入管との間からの空気が漏れることを防ぐために、空気噴出部の両脇にはパッカーが空気注入管外周部に装備されており、これによって空気漏れを防ぐ構造になっています。
 これらの空気注入システムの開発により、地盤中の特定の場所にのみ空気が集中してしま
うことを防止することができ、浄化効果の偏りをなくす効果を得ることが可能となりました。


【本浄化システムの特長】
本浄化システムの特長は、次のとおりです。
水平井戸を用いることにより、建物直下の汚染であっても建物をそのままの状態で浄化が可能である。
通常の鉛直ボーリングを用いた方法に比べて23割のコスト削減が可能である。
広い面積に対して浄化を行う場合ほどコストメリットがある。


【実証実験の結果】
 実用化のために実施した実証実験の結果では、水平に構築した注入井戸を中心として距離8m程度まで顕著な浄化効果が見られ、2ヶ月程度で1mg/L以上のベンゼンを含有する地下水中から汚染物質の総量の半分以上除去できたことが確認されました。さらに、水平井戸近くでは汚染濃度が当初の1/10以下となり、環境基準近くまで低下しました。
 この実証実験により、効率的な浄化を行うための様々な設計・解析に関するノウハウを取得するとともに、従来の鉛直井戸を用いた場合と比較した結果、浄化に要するコストの優位性を確認しました。


【今後の展望】
 鹿島では、今回の実証実験に参加した関連施工会社のケミカルグラウト株式会社(社長:柴崎光弘、東京都港区)と共同で、本技術をVOCで汚染された地盤に対する原位置浄化対策工法の一つとして、積極的に営業展開していく考えです。
 
京ガスグループでも、土壌調査・修復事業に参入している東京ガス・エンジニアリング株式会社(社長:廣岡武機、東京都新宿区)を中心に、従来の加熱処理や揚水処理等の保有技術に加え、本技術をVOC浄化工法の一つとして適用していく考えです。


【お問合せ先】
<報道関係>
 東京ガス株式会社 広報部 報道グループ(担当:寺尾)
  TEL:03−5400−7675

 鹿島建設株式会社 広報室 報道グループ(担当:財部)
  TEL:03−3746−7040

<技術関係>
 東京ガス株式会社 管財部 用地環境整備グループ(担当:福田)
  TEL:03−5400−7706

 鹿島建設株式会社 技術研究所 地盤グループ(担当:川端)
  TEL:0424−89−3092

 

 

この件に関するお問合せはこちらへ
はじめへ
[ プレスリリース一覧に戻る ] | [ ひとつ前に戻る ]