〜全国初!真空冷却機で3℃の冷却を実現〜
食品を急速冷却させる「ガス真空冷却機」を開発
東京ガス株式会社
東邦ガス株式会社
大阪ガス株式会社
平成14年11月12日
東京ガス株式会社(社長:上原
英治)は、東邦ガス株式会社(社長:早川
敏生)、大阪ガス株式会社(社長:野村
明雄)、三浦工業株式会社(社長:白石
省三)と共同で、食品を入れた庫内を減圧することで食品を急速に冷却させるガス真空冷却機を開発しました。
本冷却機は、真空冷却機としては全国で初めて3℃の冷却を実現しています。また、本冷却機の登場で、学校給食や弁当・仕出し業等の大量調理分野において、食品の加熱調理から冷却までの一連の行程がすべてガス式で可能となります。
本冷却機は、12月1日から全国で販売いたします。
1.開発の背景
平成8年7月、腸管出血性大腸菌O−157による大量食中毒事件が発生し、大量食中毒を未然に防止するため、HACCP※1の概念に基づいた「大量調理施設衛生管理マニュアル※2」が、平成9年3月に厚生労働省から発行されました。
本マニュアルでは、食品の冷却に関しては加熱調理後、30分以内に中心温度20℃付近または、60分以内に中心温度10℃付近まで下げる必要があることを指摘しています。
また、調理作業の平準化や労働力の合理化、均一で高品質の食事の提供を目的に開発された新調理システムの「クックチル※3」も注目されています。
食品の冷却機としては、電気式のブラストチラーや電気式のスチーム発生器を搭載した真空冷却機が使用されていますが、これまでガス式の食品冷却機は開発されていませんでした。
そこで、今後のHACCP対応強化やクックチルなどの新調理システムなどをにらみ、ガス真空冷却機の開発に取り組みました。
※1 HACCP:食品の危害分析(HA)、重要管理点監視(CCP)の2つの部分から成り立っており、食品の原材料の生産から始まり、製造・加工・保存・流通を経て最終の消費者の手に渡るまでの各段階で発生する恐れのある微生物危害について調査し、危害を防除するために監視を行うことで、食品の安全性、健全性、品質を保証するための計画的監視方式。
※2 大量調理施設衛生管理マニュアル:大規模調理施設(同一メニューを1回300食以上または1日750食以上提供)においては、調理後直ちに提供されない食品は、病原菌の増殖を抑制するために、10℃以下または65℃以上で管理すること、また、加熱調理後、30分以内に中心温度20℃付近または、60分以内に中心温度10℃付近まで下げる必要があることを指摘。
※3 クックチル:HACCPに対応した新調理システム。食品の中心温度を75℃、1分以上加熱調理した食品を、90分以内に3℃以下に急速冷却し、3℃以下で冷蔵庫で保存し、75℃、1分以上再加熱し提供する。この温度、時間を管理することで、最大5日間保存でき、計画生産が可能となる。
2.冷却原理
注射を打つ際に消毒用アルコールを肌に塗ると、その部分が涼しく感じられるのは、アルコールが蒸発する際に肌から熱を奪うからです。この熱は蒸発潜熱と呼ばれるもので、液体が蒸発する際に起きる現象であり、水でも同様に生じます。
一方、水は、気圧が低いと100℃以下で沸騰・蒸発をします。
本機器では、これらの原理を利用して食品を冷却します。
冷却する食品を入れた冷却庫内を、真空ポンプで減圧し、食品に含まれる水分を沸騰・蒸発させます。水分の蒸発時に食品から蒸発潜熱に相当する熱量が奪われることで食品が冷却されます。
本機器では、食品の温度が約45℃付近までは、真空ポンプの減圧により冷却します。それ以下の温度にするため、本冷却機内蔵の蒸気発生器からの蒸気を蒸気エジェクターに通し、その噴出圧力により庫内の空気が引っ張られ、さらに庫内が減圧され、設定温度または設定時間まで食品の冷却を行います。
なお、食品および蒸気エジェクターから噴出された蒸気は、熱交換器で冷やされて水として排水されます。

図.真空冷却の原理
3.本機の特長
(1)真空冷却機で初めて3℃までの冷却を実現
従来の真空冷却機では、最低8℃までしか冷却できませんが、本機器では新型蒸気エジェクターの採用により、約25分で3℃(注)まで冷却が可能で、真空冷却機で初めて新調理システム「クックチル」の冷却基準を満足しています。
また「大量調理施設衛生管理マニュアル」に明記されている10℃までの冷却時間も約18分(注)と、従来と比べて約20%短くなっています。(注)初期温度90℃、質量40kgの温野菜を冷却した場合
(2)蒸気発生器内蔵によりスチーム供給設備がない厨房でも使用可能
都市ガスを熱源とする蒸気発生器を内蔵しているため、蒸気用ボイラーを別途設置する必要
がなく、省スペースで済みます。もちろんボイラー技師は不要です。
(3)食材の種類、量に応じた冷却スピードが選択可能
通常の冷却に使用する急速冷却モードのほか徐冷モードを搭載していますので、食材の量や種類に応じて選択可能です。
(4)衛生的な環境下での冷却を実現
食品に冷風を直接吹き付けて冷却するブラストチラーとは異なり、食材冷却庫内を真空状態にすることで食品を冷却するため、外部からの空気流入もなく衛生的な環境で冷却します。また、食材から発生する水蒸気は、蒸気エジェクターから噴出される蒸気とあわせて一緒に水として排出するため、汚れの堆積がなく衛生的です。
(5)液晶タッチパネル採用で、簡単操作
設定温度・徐冷有無・徐圧有無の冷却条件を4通りプログラム可能ですので、食材毎にワンタッチで使い分けが可能で、パートやアルバイトでも簡単に操作できます。
(6)契約電力増加等がなく低コスト
蒸気ボイラの熱源には都市ガスを使用するため、契約電力の増加や新たな受電設備工事が必要なく、コスト軽減が図れます。
4.仕様
商品名 |
真空冷却機 CMJ-40G |
外形寸法 |
幅1280×奥行き800×高さ1730 |
冷却槽寸法 |
幅750×奥行き635×高さ515 |
冷却処理量 |
40kg /回(比熱0.8換算) |
冷却能力 |
90℃→3℃
約25分(給水温度25℃以下)※急速冷却モード時 |
質量 |
550kg |
消費電力 |
1.28kW |
ガス消費量 |
20.5kW |
5.価格
4,380,000円(消費税、設置工事費除く)
6.年間販売目標
100台(全国)
7.主な販売先
学校給食、病院給食、弁当・仕出し業など
以上
<参考>三浦工業(株)の会社概要
(1)本社所在地:愛媛県松山市堀江町7番地
電話番号 089−979−1111
(2)取締役社長:白石省三
(3)資 本 金:9,544百万円
(4)事業内容 :ボイラー、食品加工機等の製造・販売

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