社有地の土壌調査結果と対策の実施について
東京ガス株式会社
広 報 部
平成14年5月27日
東京ガス株式会社は、環境問題への対応を重要な経営課題と位置づけ、積極的な事業活動を展開しており、土壌汚染問題については、環境省の指針等に加え、土壌および地下水の汚染防止に関する時代の要請を先取りする方向で、自主的な対応を行っております。
具体的には、平成11年度から、工場跡地等で土壌汚染の可能性のある全ての社有地を対象に、環境省の「土壌・地下水汚染に係る調査・対策指針および運用基準」等に従って、地歴調査、現地調査等を順次実施しており、汚染が判明した場合には、速やかに行政当局にご報告し、必要な対策を講ずることとしております。昨年1月25日には、弊社の土壌汚染問題への取り組み方向ならびに4用地について、また、その後19用地について順次公表を行い、現在、必要な対策工事を進めております。
この度、横須賀用地、藤沢用地について調査結果と対策案がまとまり、関係行政と協議をしておりましたが、本日、正式にご報告いたしましたので、公表させていただきます。
弊社といたしましては、この問題への対応を極めて重要な課題と認識しており、行政当局のご指導・ご協力と近隣の皆様のご理解・ご協力をいただきながら、必要な対策を講じてまいる所存であります。
1.調査結果および周辺への影響について
今回の調査により、横須賀用地、藤沢用地において、部分的に環境基準を上回る汚染物質(ベンゼン、シアン等)が検出されました。(調査結果は、別紙1、2をご参照下さい)
周辺への影響については、横須賀用地は、現在、支店用地等として使用しており、地表面はアスファルト舗装や人工芝等で被覆されているため、地表面からの飛散による影響はないものと考えております。また、敷地内における地下水の下流方向で汚染は検出されておらず、用地近傍に行政の把握している飲用に供される井戸もないことから、周辺の生活環境への影響はないものと考えております。
藤沢用地では、行政による定期的な水質調査が行われている周辺の井戸および用地に隣接する河川において、弊社敷地内の汚染の影響と思われる水質の汚染はないことから、周辺の生活環境への影響はないものと考えております。なお、当該用地は、現在、支店用地等として使用しており、地表面はアスファルト舗装や健全土等で被覆されております。
2.汚染発生の推定原因
横須賀用地、藤沢用地ともに昭和20年に他ガス事業者を合併したもので、合併以前から、横須賀用地では昭和33年まで、また、藤沢用地では昭和26年まで、石炭を主原料として都市ガスを製造しており、その製造の工程でベンゼン・シアン化合物等の物質が生成されていました。合併前の履歴も明らかでなく、正確に原因を特定することは困難ですが、装置の損傷等による漏洩があり、土壌に浸透したものと推定されます。
なお、弊社は、現在はクリーンな天然ガスを原料にガスを製造しておりますので、これらの汚染物質が発生することはありません。
3.対策の実施について
横須賀用地、藤沢用地については、将来にわたる周辺への影響を防止するため、速やかに対策を実施してまいります。具体的な対策案としては、横須賀用地では汚染土壌中心部の掘削除去、揚水による汚染の浄化等の対策を実施してまいります。また、藤沢用地では揚水による汚染の浄化等の対策を実施してまいります。(対策案は、別紙3をご参照下さい)
なお、対策工事については、用地近隣の皆様に、工事期間中の環境対策も含めて、早急にその内容のご説明をいたします。
弊社では、今後も、全社を挙げてこの土壌問題に取り組んでまいる所存であります。
近隣の皆様ならびに関係各位にはご迷惑をおかけいたしますことを、深くお詫び申し上げますとともに、ご理解・ご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
以上
(別紙1)
横須賀用地の土壌調査結果
1.場所
神奈川県横須賀市若松町1-20-1
2.面積
5,092u(約0.5ha)
3.履歴
当用地は、大正元年に当時の横浜電気株式会社の工場としてガスの製造を開始し、関東瓦斯株式会社等を経て、昭和20年に弊社と合併しています。その後、昭和33年までの約46年間、石炭ガスを製造しておりました。石炭ガス製造停止後は、現在まで、支店用地等として用いられております。
4.調査方法
環境省の指針に従い、14地点の土壌ガス調査により揮発性有機化合物の10項目、3ブロックの表層土壌調査により、土壌溶出量8項目、土壌含有量4項目について分析を行いました。更に、用地内の6箇所のボーリング調査により、標準深度5mまでの土壌を採取し、土壌溶出量21項目、土壌含有量4項目について分析を行いました。また、ボーリング地点の6箇所を井戸仕上げして地下水を採取し、21項目について分析を行いました。
5.調査結果
調査の結果、土壌溶出量の4項目および土壌含有量の3項目で基準または参考値を超過するデータが検出されました。また、地下水については3項目で環境基準を超過するデータが検出されました。カドミウム、六価クロム、アルキル水銀、PCB、ジクロロメタン、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、1,1-ジクロロエチレン、シス-1,2-ジクロロエチレン、1,1,1-トリクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、セレン、ふっ素については基準を超過したデータはありませんでした。なお、当用地は地表面がアスファルト舗装や人工芝等で被覆されているため、汚染土壌が飛散することはありません。
土壌溶出量・地下水調査結果一覧表
項 目 |
環境基準 |
基準超過試料数
(超過数/全試料) |
最大値 |
最大倍率 |
土壌溶出量
[mg/l] |
全シアン |
検出されないこと |
6 / 43 |
1.8 |
18 |
鉛 |
0.01 |
7 / 43 |
0.052 |
5.2 |
砒素 |
0.01 |
7 / 43 |
0.040 |
4.0 |
ベンゼン |
0.01 |
6 / 43 |
1.4 |
140 |
地下水濃度
[mg/l] |
全シアン |
検出されないこと |
2 / 6 |
0.79 |
7.9 |
ベンゼン |
0.01 |
2 / 6 |
3.3 |
330 |
ほう素 |
1 |
1 / 6 |
2.1 |
2.1 |
備考
1.全シアンの基準超過試料数は、定量限界0.1mg/l以上の試料数をいう。
2.全シアンの最大倍率は、基準として定量限界0.1mg/lを用いた。
土壌含有量調査結果一覧表
項 目 |
含有量参考値 |
参考値超過試料数
(超過数/全試料) |
最大値 |
最大倍率 |
土壌含有量 [mg/kg] |
鉛 |
600 |
3 / 43 |
1200 |
2.0 |
砒素 |
50 |
1 / 43 |
93 |
1.9 |
総水銀 |
3 |
3 / 43 |
14 |
4.7 |
(別紙2)
藤沢用地の土壌調査結果
1.場所
神奈川県藤沢市片瀬92
2.面積
5,480u(約0.5ha)
3.履歴
当用地は、昭和7年に当時の湘南瓦斯株式会社の工場として石炭を原料とした都市ガスの製造を開始し、昭和20年に弊社と合併しています。その後、昭和26年までの約19年間、石炭ガスを製造しておりました。石炭ガス製造停止後は、現在まで、支店用地等として用いられております。
4.調査方法
環境省の指針に従い、12地点の土壌ガス調査により揮発性有機化合物の10項目、5ブロックの表層土壌調査により、土壌溶出量7項目、土壌含有量4項目について分析を行いました。更に、用地内の4箇所のボーリング調査により、標準深度5mまでの土壌を採取し、土壌溶出量21項目、土壌含有量4項目について分析を行いました。また、ボーリング地点の内、4箇所を井戸仕上げして地下水を採取し、21項目について分析を行いました。
5.調査結果
調査の結果、地下水濃度の1項目で環境基準を超過するデータが検出されました。(ただし、排水基準の5分の1のレベルでした。)土壌溶出量及び土壌含有量では基準または参考値を超過するデータはありませんでした。カドミウム、鉛、六価クロム、砒素、総水銀、アルキル水銀、PCB、ジクロロメタン、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、1,1-ジクロロエチレン、シス-1,2-ジクロロエチレン、1,1,1-トリクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ベンゼン、セレン、ふっ素、ほう素については基準を超過したデータはありませんでした。なお、当用地は地表面がアスファルト舗装や健全土等で被覆されております。
土壌溶出量・地下水調査結果一覧表
項 目 |
環境基準 |
基準超過試料数
(超過数/全試料) |
最大値 |
最大倍率 |
土壌溶出量
[mg/l] |
分析を行った21項目の全てにおいて、環境基準値未満 |
地下水濃度
[mg/l] |
全シアン |
検出されないこと |
1 / 4 |
0.2 |
2.0 |
備考
1.全シアンの基準超過試料数は、定量限界0.1mg/l以上の試料数をいう。
2.全シアンの最大倍率は、基準として定量限界0.1mg/lを用いた。
土壌含有量調査結果一覧表
項 目 |
含有量参考値 |
参考値超過試料数
(超過数/全試料) |
最大値 |
最大倍率 |
土壌含有量
[mg/kg] |
分析を行った4項目(カドミウム、鉛、砒素、総水銀)の全てにおいて、
環境省の指針による含有量参考値未満 |
(別紙3)
対策工事について
1.工事概要
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横須賀用地 |
藤沢用地 |
工事場所 |
神奈川県横須賀市
若松町1−20−1 |
神奈川県藤沢市
片瀬92 |
工事期間 |
着工後約5ヵ月を予定 |
着工後約3ヵ月を予定 |
工事内容 |
汚染土壌中心部の掘削除去
揚水による汚染の浄化 |
揚水による汚染の浄化 |
2.対策工事方法(フロー)
「土壌・地下水汚染に係る調査・対策指針及び運用基準」(平成11年1月、環境省。以下「指針」と略します。)に従い、以下の対策工事を実施いたします。

3.周辺環境保全対策
1.工事に伴う周辺環境対策は、指針及び関係法令を遵守して行います。
2.工事に伴う騒音・振動等による周辺への影響を極力少なくするよう工法・使用機械の選定等に配慮します。
3.揚水については、周辺の地盤沈下等の影響がないよう、十分配慮いたします。
4.汚染土壌の掘削・運搬にあたっては、粉塵の飛散等を防止するため、シート等による被覆および散水等の対策を実施します。
5.対策工事は、適宜、作業環境測定を行い、周辺環境への影響がないように実施いたします。
注)具体的な対策工法・工程等につきましては、技術の進展、今後の検討などにより、一部変更される可能性がありますので、ご理解のほどよろしくお願いいたします。
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