3 【対処すべき課題】

エネルギー市場は、規制緩和の進展によって、電気・ガス事業者の相互参入や新規事業者の参入が加速され、本格的なエネルギー大競争時代を迎えている。また、資本の国際化と経営の透明性の要請や、CO2排出による地球温暖化等の環境問題、わが国における一世帯あたり家族人員数の減少等の需要構造変化など、当グループを取り巻く経営環境は急激なスピードで変化しており、今まで以上に的確かつ迅速な対応が求められている。

当グループは、激化するエネルギー競争に打ち勝つため、グループを挙げ最大限の経営効率化を継続して進めているが、一方、こうした変化の流れを大きなビジネスチャンスと捉えている。とりわけ電力事業領域においては、この1年間に鞄結档Kスベイパワー、川崎天然ガス発電鰍ネどの新社を設立し、事業の展開に力を入れるとともに、小型コージェネレーションシステムとして開発の進んでいるマイクロガスタービンの普及や、家庭用コージェネレーションシステムとして小型燃料電池の開発にも力を注いでいる。ガス上流分野においては、LNGタンカーの自社所有に加え、豪州のビクトリア州沖ガス開発事業、豪州・東チモール沖のバユ・ウンダン・ガス田開発プロジェクトに参画する。

当グループは現在、平成11年に策定した「中期経営計画(2000〜2004年度)」に基づき「お客さまや株主の皆さま、そして社会からその存在を常に評価される企業への変革」を目指す「新しい公益事業」の実現に向け、グループ一丸となって取り組んでいるが、グループ全体として、より徹底した経営効率化と競争力強化により企業グループ価値の最大化を図る「グループ中期経営計画(2003〜2007年度)」を今秋を目途に策定していく。

この新たなグループ中期経営計画では、来たるべきエネルギー自由化の時代を先取りしたガス事業ビジネスモデル自体の変革や新たなグループ経営戦略の構築等による経営と事業の変革を通じて、天然ガスに加え熱・電気を供給し、エネルギー周辺領域の新規分野へも積極的に進出する「エネルギーフロンティア産業」として発展していくことを目指していく。

当グループは、エネルギー間の競合がますます激化する中にあっても、保安・サービスの向上に努め、お客さま満足度を高めるとともに新たなビジネスモデルの追求と企業価値の増大を実現し、株主の皆さまのご期待にお応えしていきたいと考えている。

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当する事項はない。

 

5 【研究開発活動】

当グループは、技術戦略を経営戦略のひとつとして位置づけ、東京瓦斯鰍フR&D本部を中心として、主に以下の観点から研究開発に取り組んでいる。

@ 省エネ性・環境調和性にすぐれた天然ガス利用の高度化

A 天然ガス事業基盤の拡充(効率的な製造・貯蔵・輸送・供給システムの構築など)

B 新しい事業機会の創出

研究開発の推進にあたっては、投入原資の選択と集中を図るとともに、スピードと採算性を重視して取り組んでいる。

当連結会計年度の研究開発費総額は 12,225百万円である。

主な研究開発活動は、次のとおり主力事業であるガス事業を中心に行われており、11,440百万円である。

@ 天然ガス利用の高度化

・300kWクラスのガスタービンコージェネレーションシステムで、容量において従来比で40%の小型化、NOx排出量において従来比で2/3に削減可能な燃焼器を搭載した機種を開発した。

・業務用店舗向けの小型コージェネレーションシステムで、28kWのマイクロガスタービンと蒸気及び温水を同時回収できる新設計の排熱回収装置をワンパッケージとし、総合エネルギー効率で70%以上を可能にする機種を開発した。

・天然ガスの新しい用途として期待される固体高分子型燃料電池(PEFC)を用いた家庭用コージェネレーションシステムにおいて、当社開発の燃料改質装置を組込んだ量産仕様の試作機で実用発電効率(AC送電端)34%(高位発熱量ベース)を達成し、実際に家庭に設置し商用電源と系統連係した状態での運転を実現した。

A 天然ガス事業基盤の拡充

・ガス用ポリエチレン管の融着接合作業の効率化を目的として、管継手に付したバーコードの読取りにより融着条件の設定を自動的かつ確実に切替えるシステムを開発した。

・ステンレスフレキシブルガス管による内管工事の効率化を目的として、工具を要することなくワンアクションで接合できる継手を開発した。

・掘削工事に伴い発生する舗装廃材(アスファルト廃材)を現場でリサイクルする小型再生装置を開発した。

ガス器具及びその他の事業については、当該事業を営む連結子会社が中心となって、商品化開発等を行っている。

ガス器具事業に係る研究開発費は 480百万円である。

その他の事業における主な研究開発の状況は次のとおりであり、当該事業に係る研究開発費は304百万円である。

B 新しい事業機会の創出

・都市ガスやLPGから工業原料向けの水素をオンサイトで製造する大型の製造装置(200m3/hの能力)を実用化した。