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高効率酸素製造装置「HT-PSA」

酸素製造時に消費される電力を大幅に削減し、酸素製造コストを低減することで、既存の酸素製造設備の省エネルギー・省コストが可能です。また、低コストの酸素製造が可能になれば、高温の工業炉、製鉄プロセス等における酸素富化燃焼の普及による省エネルギーにつながり、また、将来的には、効率的なCO2回収にも貢献できる技術です。

 

概要


HT-PSA(High Temperature – Pressure Swing Adsorption)は、ガス分離技術として広く利用されているPSA技術を応用したものです。特徴としては、吸着材にペロブスカイト型酸化物を用いている点であり、吸着材を600℃程度の高温に保った状態で、圧力をスウィングさせることにより、吸着材に酸素を可逆的に吸脱着させます。ペロブスカイト型酸化物は、特殊な結晶構造を持ち合わせ、高温かつ高酸素分圧下では酸素のみが酸化物内に取り込まれ、逆に減圧(低酸素分圧)下では酸素が脱着します。また、酸素/窒素分離係数は10以上と高く、吸着材として非常に優れた性能を発揮します。さらに、吸着材を600℃程度に保つために、蓄熱体(リジェネレイター)を用いた熱交換により、高効率な熱回収が可能です。
 
現在、最も高効率に酸素を製造できる深冷分離法においても、酸素製造の電力原単位は0.3 kWh/m3N-O2程度ですが、本技術では、ペロブスカイト型酸化物の優れた吸着材としての性能と、蓄熱体による高効率な熱回収技術により、0.2kWh/m3N-O2程度という優れた電力原単位を実現できます。また、従来のPSA法の酸素製造電力原単位である約0.4kWh/m3N-O2と比べても大きく向上させることが可能です。
 
本技術のコンセプトは、吸着技術工業㈱と国立大学法人九州大学産学連携センター三浦研究室により提案された技術であり、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の2010年度の省エネルギー革新技術開発事業(事前研究)により、基礎試験が行われたものです。
2011年度~2013年度には、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の省エネルギー革新技術開発事業(実用化開発)の助成により、研究開発が行われました。
2014年度からは、NEDOの戦略的省エネルギー技術革新プログラム(実証開発)の助成により、装置の効率向上と大型化、及び吸着材の低コスト化や量産化等を行っています。2015年度に開発した酸素製造量100m3N/hのプロトタイプ機では、目標電力原単位0.5kWh/m3N-O2を上回る0.4kWh/m3N-O2を達成しました。

 
HT-PSAの基本構成
HT-PSAの基本構成



ペロブスカイト型酸化物の吸脱着メカニズム
ペロブスカイト型酸化物の吸脱着メカニズム

600℃程度の高温下で減圧(低酸素分圧)すると、ペロブスカイト型酸化物がブラウンミレライト型構造へ相転移するに伴い酸素が脱着し、加圧(高酸素分圧)すると再び酸素が吸着し元の構造に戻る。この反応は可逆的に起きる。
 

特徴

 
  • 酸素製造電力原単位が0.2kWh/m3N-O2程度と、世界最高レベルの効率で酸素製造が可能
  • 従来のPSA法では不可能だった95%以上の濃度で酸素を発生させることが可能
  • 窒素富化ガスも同時に取り出せるため、酸素富化ガスとの同時製造が可能


 

展望


2016年度はプロトタイプ機のスケールアップを行い、酸素製造量500m3/h、電力原単位0.25kWh/m3N-O2を目標とした実証機を開発しました。その後は順次スケールアップを行い、最終的には酸素製造量が10,000m3N/h程度の装置を開発し、市場導入を計画しています。低コストの酸素製造が可能になれば、従来の酸素富化燃焼が普及していなかった分野においても、酸素富化燃焼による省エネルギーが実現できます。また、純酸素燃焼においては、排ガスから90%以上の濃度でCO2を回収できるため、CCS(Carbon Capture and Storage)の経済性向上へも貢献する技術です。
 
近年の開発状況
開発年度 2013年度 2015年度 2016年度 2018年度~
開発機種 パイロット
スケール機
プロトタイプ機 実証機 商用機
目標酸素製造量[m3N/h] 5 100 500 1000≦
目標電力原単位[kWh/m3N] 1.5 0.5 0.25 ≦0.2

HT-PSA実証機
HT-PSA実証機
 

備考


本技術開発は、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の戦略的省エネルギー技術革新プログラム(実証開発)の助成により行われているプロジェクトです。
 
  • 事業実施先:東京ガス(株)産業エネルギー事業部
  • 共同研究先:吸着技術工業(株)、東京ガスケミカル(株)
  • 実施期間:2014年度~2016年度

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